表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
よろしく
PR
20/105

019。

 


気づけば、喉の奥がカラカラに乾いていた。

緑野が俺を指差して、桃音に尋ねる。


「あ? 桃音、こいつ嘘ついてるって? どんな嘘だよ?」

「だって、あか君……」


静かに向けられた瞳に、


「ちょ、ちょっと待って」


無意識にかすれた声で口を挟んだ。

でも、回らない頭で必死に考えても、続きに何を言えばいいかわからない。

黙る俺にイライラと緑野が声を上げる。


「おい、なんだよ。言いたいことがあるなら早く言え」

「お、俺! 好きだよ!」

「……は?」


緑野のが間の抜けた声を出す。

出だしから間違った気しかしないけれど、それでもやけになって続ける。


「このアパート! はじめは変な人ばっかで、あれだと思ったけど、でもいまは嫌いじゃないよ!」


いま自分がどんな顔をしているかわからない。

それでも、叫ぶ。


「さっき、入居条件とかなんとか言ってたけど、もしかしたら条件揃ってないかもしれないけど、でももう俺ここ以外に行くとこないから! だから……っ」

「別に追い出したりなんかしねぇよ」


はっとして顔を上げれば、緑野がロッ君を抱えたまま呆れたように俺を見ていた。

隣にいる桃音もこくり、と頷く。


「いくら私でも出てけとは言ってないです……」

「おい、俺のいないところでお前ら赤城をいじめるな」


振り返れば、朝黄の首根っこを掴んだ青葉が立っていた。


「レッドがこのアパート好いてくれてて、僕嬉しいなー」

「朝黄、」

「レッドがこのアパートどう思ってるか聞けてよかったー。うん、これからもよろしくしよーじゃん」


手を差し出されて、少し鼻がツンとした。


「じゃ、気を取り直してかんぱーい」


朝黄がそう言って、やっと俺の歓迎会が始まった。

step off on the wrong foot(出だしから間違う

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ