019。
気づけば、喉の奥がカラカラに乾いていた。
緑野が俺を指差して、桃音に尋ねる。
「あ? 桃音、こいつ嘘ついてるって? どんな嘘だよ?」
「だって、あか君……」
静かに向けられた瞳に、
「ちょ、ちょっと待って」
無意識にかすれた声で口を挟んだ。
でも、回らない頭で必死に考えても、続きに何を言えばいいかわからない。
黙る俺にイライラと緑野が声を上げる。
「おい、なんだよ。言いたいことがあるなら早く言え」
「お、俺! 好きだよ!」
「……は?」
緑野のが間の抜けた声を出す。
出だしから間違った気しかしないけれど、それでもやけになって続ける。
「このアパート! はじめは変な人ばっかで、あれだと思ったけど、でもいまは嫌いじゃないよ!」
いま自分がどんな顔をしているかわからない。
それでも、叫ぶ。
「さっき、入居条件とかなんとか言ってたけど、もしかしたら条件揃ってないかもしれないけど、でももう俺ここ以外に行くとこないから! だから……っ」
「別に追い出したりなんかしねぇよ」
はっとして顔を上げれば、緑野がロッ君を抱えたまま呆れたように俺を見ていた。
隣にいる桃音もこくり、と頷く。
「いくら私でも出てけとは言ってないです……」
「おい、俺のいないところでお前ら赤城をいじめるな」
振り返れば、朝黄の首根っこを掴んだ青葉が立っていた。
「レッドがこのアパート好いてくれてて、僕嬉しいなー」
「朝黄、」
「レッドがこのアパートどう思ってるか聞けてよかったー。うん、これからもよろしくしよーじゃん」
手を差し出されて、少し鼻がツンとした。
「じゃ、気を取り直してかんぱーい」
朝黄がそう言って、やっと俺の歓迎会が始まった。
step off on the wrong foot(出だしから間違う




