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かりそめアパート。  作者: シュレディンガーの羊
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19/105

018。




「桃音はどうしてそんなに朝黄に、その、なんていうか構うんだよ?」


どう言葉を選べばいいかわからず頬をかく。

桃音が無表情ながら整った顔をこちらを向ける。


「私はあさ君のおかげで思いがけず生き延びれたです……だからあさ君は私の恩人……」

「生き延びれた? 恩人?」


おうむ返しに聞き返せば、青葉が割って入ってきた。


「桃音、余計なことは言わなくていい」

「青葉、余計なことって」


乱暴な物言いに戸惑えば、一人で黙々とお菓子をつまんでいた緑野が眉根を寄せる。


「おい、それ覚悟で連れてきたんじゃなかったのかよ。信頼できる害なしっていうのが入居条件だったはずだろ」

「知らないですむなら知らない方がいいに決まってる。不必要に話すな」


朝黄を連れ戻してくる、と青葉が食堂から出て行く。

話に置いていかれた俺は、不安になる。青葉は俺に何かを隠している。

ふいに指先にピリッとした痛みが走った。

見れば、指先に赤い線ができていてぷくりと赤い玉が浮いている。


「いつのまにこんなの、」


玉が崩れて指を伝う瞬間に、桃音に指を取られた。そのまま口に咥えられる。


「え、な、なにして……っ!」

「こんなの舐めれば治るです……」


緑野ががたりと席から立ち上がり、声を低くした。


「おい、チビがいないからって手ぇ出してんじゃねぇよブス」

「あか君は私の好みじゃないからいらないです……」


ぽいと指を離される。

何が何やらわからず、目を白黒させれば、桃音がこちらをまっすぐと見た。

深い色のその瞳がまっすぐと俺をとらえる。


「だってあか君は嘘つくです……」



live on borrowed time(思いがけず生き延びる

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