017。
可愛らしい外見とは裏腹な毒々しい言葉に絶句していれば、こちらに気づいた緑野が目を険しくする。
「やっときたかブス。おせーんだよ、この遅刻魔」
「みど君は相変わらずそのマリモ並みに刺々です……主役は遅れてやってくるのが相場なのです……」
「マリモじゃねぇ! ローシェルトバークスをばかにすんな! それに歓迎会なんだからお前が主役なわけねぇだろ!」
いつになく緑野がつっこみをして、肩を怒らせている。
それに少女はうるさそうに耳に指を突っ込んでいる。
「桃音、よく来たな」
青葉のほうはいつになく態度が和やかで驚く。
もしや好きなのかと思って見ていれば、横から朝黄が耳打ちしてくる。
「このアパートで自分より背が低い人間には比較的に優しいんだよー」
「あー……そゆこと」
なんだか遠い目をしてしまうのはもうしょうがない。
「あさ君」
ふいに桃音が名前を呼んで、朝黄が分かりやすく反応する。
お面の上からでもわかるわたわたっぷりに、もう逆に可哀相になってきた。
何がそんなに動揺させるのだろう。
「あさ君、今日こそ顔見せてです……」
「い、いやだってー」
わざとらしい、あははという笑い声に桃音の片眉がピクリと動く。
瞬間、シュッと音がして、朝黄のお面に彫刻刀が刺さった。
「え、」
なにこれ、と呆然とする俺とため息を零す青葉、緑野にいたってはすでに興味がなさそうにお菓子に手をつけている。
本人の朝黄はというと、だらだらだらと分かりやすく冷や汗をかいていたと思ったら、脱兎のごとく逃げ出した。
「あさ君行っちゃったです……」
「桃音、いくらなんでも彫刻刀投げるのはやめろ」
「え、これこの子が投げたの!?」
青葉の深いため息を聞いて、底知れぬ恐怖を感じて後ずさる。
無表情がもったいないくらい可愛らしいのに、毒舌でもって暴力的とは本当に人は見かけによらない。
「朝黄と桃音ってどんな関係なんだよ!」
思わず叫べば、桃音が俺を見上げてぽそりと呟く。
「愛人……」
「あ、愛人!?」
「の候補……」
「しかも候補!?」
ぎょっとして叫ぶ。
あんなに朝黄が逃げてるのに。
再度、青葉が重々しくため息をつく。
「堂々とハッタリをかけるな桃音。赤城は素直で純粋で優しいから騙される」
「嘘、じゃないです……私は本気……」
無表情だけれど目が確かに本気で、事情はわからないけれど俺は朝黄に同情した。
うん、ドンマイ。
put on a bluff(はったりをかける




