100。
「あーもう、僕のために争わないでよー」
いつもの間延びした口調が割って入って、俺はどうしてかとても安堵して振り返る。
「だって、おかしいだろ。このクリスマス会、朝黄の復活祝い兼ねてるのに、主役不在とか」
「しょうがねぇだろ、こいつ怪我人で安静第一なんだから」
「まだ血が足りないから、甘いものはだめです……そもそも死にかけてたですから、クリスマスまでに完治するはずないっていう予想は当たりだったです」
呆れたような緑野の向かいで、むすっとしたまま桃音がケーキをフォークで突き刺している。
「それにこれはあさ君が一人で暴走した罰でもあるですから、いまは安静に部屋で私たちの楽しそうな声を一人で聞いてればいいです」
「ピンクってもしかしなくてもやっぱり怒ってる?」
頭をかいた朝黄の顔の横に目にも留まらぬ速さで彫刻刀が刺さる。
朝黄は表情を固定させたまま、あはははーと冷や汗を流した。
結果的に言えば、白夜が朝黄の中の呪いだけを殺すことに成功はした。
ただし、朝黄は同時に鬼の力を失った。
白夜も呪いを長い間、所有していたから軽い睡眠障害が後遺症として残った。
それでも、2人とも生きていて、家も滅びから救われたのだから解決といって違いない。
朝黄の計画的かつ独りよがりな今回の判断には、桃音を筆頭に全員が怒った。
目を覚ました朝黄が皆の怒りにたじたじになっていたのはいい思い出だ。
朝黄は鬼の血を失ったから、俺の顔を模倣できなくなり、自分の元の顔に戻った。
俺の顔より数段、美男子なのが本当に気に食わない。
「そういえば、レッドは賭けに勝ったの?」
朝黄にそう聞かれて、う、と言葉に詰まる。
「全員の秘密を知る前に、あか君の秘密はバレたですよね……、私が吸血鬼だって知らなかったですから……」
「いや、でもあのせっかく一件落着したわけだからさ」
慌てて桃音に言い募ろうとすれば、ぴっとフォークが突きつけられる。
「あか君はここを出て行く、で決定です……」
「え、嘘でしょ、え、本当に……?」
思わず泣きかければ、桃音は俺ではなく白夜に目を移す。
「びゃくさんは明日から正式にここの住人になるですね?」
「うん、よろしくね。もねちゃん」
「もし必要だったら大きな荷物を連れてきていいです……部屋はもう余りがないですけど、物置部屋を片付ければ大きな荷物ひとつぐらいはどうにかなるですから」
ぷいっとそっぽを向いて桃音そう言う。
一瞬、ぽかんとしてからその真意に気がついてわっとなる。
「よかったな、赤城」
「物置は特別に片付けてやろう、オレが」
「まぁロッ君も喜んでるからいいんじゃねぇの」
3人はどこか嬉しそうにそう笑って、朝黄が照れ臭そうに言葉を重ねる。
「おかえり」
俺は白夜も顔を見合わせてから、2人で溢れてくる気持ちのままに顔を綻ばせた。
「ただいま!」
in the jaws and death(死地に陥って




