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異世界配信革命〜追放された無能ポーターをバズらせる転生イベント屋、死の大地でダンジョン配信と領地経営を始めます〜  作者: プロテイン長田
第4章「追放者たちの逆転配信」

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第26話「追放アサシンが美人魔族に嫉妬しています」

## 第26話「追放アサシンが美人魔族に嫉妬しています」


### 【あらすじ】


 ダンジョンから生還した一行は、ノクスヴェルト家の基地で向かい合う。ルシアンは攻略失敗の責任をガレスやエマへ押しつけ、エリオットの不正をギルドへ報告すると宣言した。


 ガレスや“バッド・クレイジー・ドッグス”がエマを擁護する一方、ルシアンは聞く耳を持たず、仲間たちへ帰還を命じる。


 ミレイユ、ヴェロニカ、ガレスが席を立つ中、リゼットだけは動かなかった。苛立つルシアンに急かされた彼女は、消え入りそうな声で「嫌だ」と告げる。


### 【本文】


 その日の夜。


 ふと目を覚ましたエマは、隣のベッドで眠るリゼットへ目を向けた。


(リゼットちゃん……本当によかったのかな)


 あの後、リゼットはルシアンの言葉に返事をしなかった。


 何度怒鳴られても俯いたまま動かず、痺れを切らしたルシアンは、とうとう彼女を置いて基地を発った。


 扉が閉まった途端、リゼットの張り詰めていた糸が切れた。


 エマの胸へ縋りつき、声を押し殺して泣き続けたのだ。


 ようやく落ち着いたところで芋料理を食べ、今は静かな寝息を立てている。


「……なかなか根性のある娘だな」


「ひゃっ!?」


 どこからともなく声がした次の瞬間、ベッドの前にクレハが立っていた。


「ク、クレハさん……!」


「今度は背後からではなく、正面から現れたぞ」


「そ、そうですね。お気遣い、ありがとうございます……?」


 なぜか薄着のクレハは、返事も待たずにエマのベッドへ乗り上げてくる。


「えっ……クレハさん? どうしたんですか――」


 エマの言葉が終わるより早く、クレハが彼女へ覆い被さった。


 整った顔が、吐息を感じる距離まで近づく。


「っ~~!?」


「まったく……エリオット少年は、人使い――いや、魔族使いが荒い」


 クレハは気怠そうに息を吐いた。


「攻略中、魔物の湧きを削り続けたのだぞ。もう魔力はほとんど空だ」


「ま、まさか――」


 頬を赤くしたエマが顔を背けようとする。


 しかし、クレハの指が顎へ添えられ、ゆっくりと正面へ戻された。


「少し分けてもらうぞ」


「ちょっと待っ――んっ」


 クレハの唇が、エマの唇へ重なる。


 後頭部へ手を回されると同時に、エマの身体から力が抜けていく。


(あ……私の魔力……)


 以前にも経験した、魔力を吸い出される感覚。


 不思議と不快ではなかった。


(ま、まあクレハさんのおかげで、ダンジョン配信が成功したようなものだし……)


 エマが身体の力を抜いた、そのときだった。


 ふと隣のベッドへ目をやる。


「…………」


 いつの間にか目を覚ましたリゼットが、涙を流しながら二人を見つめていた。


◇◇◇◇◇◇


「本当に、本当に、本当に、本当に!! アンタはいったい何なんだ!!」


 翌朝。


 食堂へ入ったエリオットを迎えたのは、リゼットの怒声だった。


「何だと聞かれてもな。ああでもしなければ、魔力の回復には時間がかかる」


「魔法薬を飲め!」


「魔族には効かん」


「うるさい!!」


「朝から元気ですね。朝食はできていますから早く食べてください」


「うるさい!!!」


 矛先を向けられたエリオットは目を細め、両手を上げて降参の姿勢を取った。


「何だ、騒がしいな……今日はゆっくり寝かせてくれよ」


 寝ぼけ眼のバルガスが食堂へ入ってくる。


 その後ろから、ニック、シグ、カーネルも続いた。


「何だ……また芋ですかい?」


「でも、これ美味しいですよね」


「…………美味」


 クレハが四人の皿へ朝食を盛りつける。


 眠気に空腹が勝ったのか、彼らは黙々と料理を口へ運び始めた。


 しばらくして、カーネルの手が止まる。


 料理を配るクレハの足元から、ゆっくりと視線を上げた。


 腰には、シグのものとよく似た刀。


 凛々しく整った顔。


 そして頭の両側から伸びているのは――。


「ぎゃあああああっ!? ま、魔族ぅぅぅ!?」


 椅子ごと盛大に後ろへ倒れた。


「ん? 何だ……って、おお。本当だな」


 今さら気づいたバルガスが、感心したように頷く。


「それ、飾りじゃねえんですかい?」


 ニックは恐れるどころか、角を覗き込んでいた。


「…………その刀、よければ拝見したい」


「ん? 構わんが」


 シグの関心は、クレハの種族ではなく腰の刀だけに向いている。


「みみみみ皆さん、逃げないと! 食べられちゃいますよぉ!」


 カーネルが震える足で、食堂の出口へ這っていく。


「エリオットさん、いいんですか? クレハさんのこと……」


 憔悴した顔のエマが、心配そうに尋ねた。


「大丈夫ですよ。……というかエマさん、眠れなかったんですか?」


「眠れなかったというか、寝かせてもらえなかったというか――」


「何ですか、それ。詳しく――じゃなかった。大丈夫です。彼らとは契約がありますから」


「契約?」


「はい。“バッド・クレイジー・ドッグス”の皆さんは、この領地へ不利益を与える行為を禁じられています」


「えっ!? あれは、この領地の宣伝大使にする契約だったんじゃ――」


「そうですよ。宣伝大使が宣伝先へ損害を与えてはいけないのは、当然でしょう?」


「それって、皆さんは知っていて契約したんですか?」


「さあ? ですが、契約書にはしっかり書いてありました」


「ちゃんと読んでいませんでしたよね、あのとき……」


「普通は、契約書をもっと真面目に読むものです」


「ひどい!!」


「さて、皆さん。今日は忙しくなりますから、早く食べてください」


「聞いているんですか!? ……って、何か用事があるんですか?」


 エマは抗議を止め、エリオットの意味ありげな言葉に首を傾げた。


「はい。今日――ギルドの人間が来ます」


 食堂の空気が、瞬く間に静まり返る。


 エマは、ルシアンが去り際に残した言葉を思い出した。


 ――今回の件を、ギルドへ報告する。


「でも、昨日の今日ですよ? いくら何でも早すぎるんじゃ……」


「それだけ、むこうも本気ということでしょう」


 エリオットだけが、いつもと変わらない表情で朝食を口へ運ぶ。


 ほどなくして、基地の外から馬車の車輪が地面を踏む音が聞こえてきた。


 審判の時が、迫っている。


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