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異世界配信革命〜追放された無能ポーターをバズらせる転生イベント屋、死の大地でダンジョン配信と領地経営を始めます〜  作者: プロテイン長田
第4章「追放者たちの逆転配信」

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第25話「追放者を責めた英雄が仲間に見限られます」

## 第25話「追放者を責めた英雄が仲間に見限られます」


### 【あらすじ】


 ガレスを見捨てて撤退し用とした“レイド・スターズ”の前へ、“バッド・クレイジー・ドッグス”とエマが駆けつけた。


 追放されたパーティーを救うというエマの決断に、王都中の視聴者が熱狂する。その一方、ルシアンたちへは、これまでになかった失望の声が寄せられ始めていた。


 全員で地上へ生還し、エリオットが配信を終了した直後。ルシアンは彼の首元へ剣を突きつけ、と怒りを露わにする。


### 【本文】


「人聞きが悪いですね。嵌めただなんて」


 死の大地にあるダンジョンの入口。


 首元へ剣を突きつけられても、エリオットは顔色一つ変えなかった。


「俺たちを誘い出し、失敗する様子を配信するつもりだったんだろう! エマを利用してな!」


「利用って……エマさんを手放したのは、あなたたちでしょう」


 エリオットは剣先を一瞥し、ルシアンをまっすぐに見返す。


「僕は彼女の才能を“正しく”評価して、ふさわしい場所を用意しただけです」


「戯言を……! この女に、このレベルのダンジョンがふさわしいだと!?」


「どう思っていただいても結構ですよ。ですが――」


 エリオットの視線が、ルシアンの肩越しへ移る。


 丘の向こうから、複数の魔物がこちらへ向かっていた。


「移動しませんか? それとも、まだ戦う元気があるなら――」


「ふっ何をいうかと思えば……満身創痍なのは、お前らの方じゃないか!」


「ああ……まあ、そうですね」


 振り返ると、“バッド・クレイジー・ドッグス”の四人が地面に座り込み、もう限界だとばかりに手を振っていた。


「僕たちには帰る拠点があります。お話なら、そこで伺いますよ」


 ルシアンの眉間に深い皺が刻まれる。


 聞きたいことは山ほどある。しかし、少年の指示に従うことを、彼のプライドが許さない。


「ルシアン、ついて行った方がいいわ」


 ヴェロニカが丘の向こうを睨みながら告げた。


「このまま、こいつに好き勝手させるわけにもいかないでしょう」


「……チッ。分かった。先導しろ」


◇◇◇◇◇◇


 ノクスヴェルト家の基地、その食堂。


 テーブルの一方では、命懸けの撤退戦を終えた四人が、山盛りの芋料理を一心不乱に頬張っていた。


 その隣で、“レイド・スターズ”の面々と、エリオット、エマが向かい合っている。


「お前の狙いは何だ」


 席に着くなり、ルシアンが切り出した。


「まずは、お礼の言葉を聞きたいんですけどね」


「エリオットさん……!」


 まったく怯まないエリオットに、エマが青ざめる。


「それは、私から言わせてもらおう」


 ガレスが立ち上がった。まだ顔色は悪く、身体には応急処置の包帯が巻かれている。


「命を救われた。エリオット君、ありがとう」


 深く頭を下げたガレスを、ルシアンが鋭く睨みつけた。


「勝手に礼など言うな! こいつらは配信のために、お前を餌にしたんだぞ!」


「ルシアン、いい加減に現実を見ろ。俺たちは自らの意志でここへ来た。誘い出されたなどというのは……ただのこじつけだ」


 ルシアンの拳がテーブルを叩き、食器が跳ねた。


「現実を見るのはお前だ、ガレス! そもそも、お前がヘマをしなければ攻略は続けられた! 配信を中断する必要もなかったんだ!」


「それは……」


「おやおや、仲間割れですか? いっそのこと、これも配信してみたらどうです?」


「エリオットさん!!」


 今度はエマが、はっきりと彼を咎めた。


「皆さん、どうしてそんなに怒っているんですか? 全員無事に帰ってこられたんです。まずは、それを喜びましょうよ!」


 その言葉を聞いたリゼットが、膝の上で拳を握る。


「お前がそれを言うか、エマ!」


 ルシアンの怒声に、エマの肩が小さく震えた。


 それでも逃げずに、彼女はルシアンを見つめる。


「ルシアンさん……ごめんなさい」


「……は?」


 予想外の謝罪に、ルシアンの怒りが一瞬だけ止まった。


「私のせいです。私が不甲斐ないから、パーティーに穴を開けて……結果的に、また皆さんに迷惑を――」


「そ、そうだ! お前はパーティーを抜けた後まで俺たちに迷惑をかける! 後ろの連中と同じ、大馬鹿者だ!」


「ん? なんだぁ? 喧嘩売ってんのか」


 芋を口へ運んでいたバルガスの手が止まった。


 彼は立ち上がると、ルシアンの前まで大股で歩いてくる。


「嬢ちゃんは、俺らとは違えよ」


「な、何だ……迷惑系の分際で偉そうに――」


「まあ、俺たちのことは馬鹿にしてもらっていい。だがな――」


 バルガスの太い腕が、ルシアンの胸ぐらを掴み上げた。


「俺たちから言わせてみりゃ、嬢ちゃんみたいな“有能”なポーターを追放したお前らの方が、よっぽど馬鹿だぜ」


 その後ろで、ニック、シグ、カーネルが満足そうに頷いている。


「黙れっ……!」


 ルシアンがバルガスの腕を振り払った。


「喧嘩なら外でお願いしますね。魔物除けの結界の外で」


 エリオットが薄い笑みを浮かべる。


「冗談じゃねえ。こっちは飯の途中だ」


 言いたいことを言い終えたバルガスは、何事もなかったように席へ戻った。


「どいつもこいつも……話にならんな」


「その“話”とは何です? わざわざ、それをするために来たのでしょう?」


 エリオットが静かに脚を組み替える。


「……そうだな。いい加減、お前たちの相手をするのも疲れた」


 ルシアンは目を細めた。


「……何をした。あのダンジョンは、何かがおかしい」


「抽象的な質問ですね」


「お前らに都合よく現れる魔物。まるで階段の位置を知っているかのような攻略。説明してもらおうか」


「何のことだか」


 エリオットはとぼけたまま、微笑を崩さない。


「事前に根回ししていたとしても、お前のようなガキにできることなど、たかが知れている。他に協力者がいるのか?」


「そうかもしれませんね。ですが、それを知ってどうするんです?」


「お前らの不正を暴き、今回の件をギルドへ報告する」


「ほう」


「ダンジョン攻略で、他のパーティーに不利益が生じる行為は禁止されている。それを配信するなど、もってのほかだ」


「……そうですね。では、お好きにどうぞ」


「ギルドが貴様らの肩を持つとでも?」


「それを決めるのは、ギルドです」


「……後で吠え面をかくなよ」


 ルシアンは椅子を乱暴に引き、立ち上がった。


「行くぞ、お前ら」


 真っ先に従ったのはミレイユだった。


 続いてヴェロニカも席を立ち、去り際にエマを一瞥する。


「あなた、変わったわね」


「……仲間の皆さんが、変えてくれたんです」


「そう。よかったわね」


 次にガレスが立ち上がり、もう一度エリオットへ頭を下げた。


「重ねて礼を言う。君たちがいなければ、私は命を落としていた」


 そしてエマへ、穏やかな眼差しを向ける。


「エマ、いい仲間に出会ったな」


「はい。ガレスさんも、お大事に……」


 ルシアンたちが出口へ向かう中、“レイド・スターズ”側の席に残った者がいた。


 リゼットだけが俯いたまま、椅子から動こうとしない。


「おい! 何をしている! 早くしろ!」


 ルシアンの怒号が食堂に響く。


 リゼットは膝の上の拳をさらに強く握り、消え入りそうな声を絞り出した。


「…………嫌だ」


「…………何だと?」


 食堂に、凍てつくような空気が流れる。

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