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異世界配信革命〜追放された無能ポーターをバズらせる転生イベント屋、死の大地でダンジョン配信と領地経営を始めます〜  作者: プロテイン長田
第4章「追放者たちの逆転配信」

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第23話「仲間を捨てた英雄の本性を世界へ晒します」

## 第23話「仲間を捨てた英雄の本性を世界へ晒します」


### 【あらすじ】


 “バッド・クレイジー・ドッグス”が五階層へ到達する一方、“レイド・スターズ”は大量の魔物を前に苦戦を強いられていた。


 エリオットは配信の“仕上げ”として二組の合流を宣言。エマも、自分を追放したパーティーであっても、リゼットたちを見捨てることはできないと救援へ向かう。


 その頃、補給不足と連戦で限界に近づいた“レイド・スターズ”では、ヴェロニカを庇ったガレスが魔物の爪に防具を貫かれてしまうのだった。


### 【本文】


「全員、配信を止めろっ!!」


 ルシアンの怒号が、ダンジョンの通路に響いた。


 五人を追っていた配信カメラの光が、一台、また一台と消えていく。


 王都の酒場に並んだ配信画面も、次々と暗転した。


『何があった!?』

『ガレス、あれ大丈夫なのか?』

『配信を切ったってことは、やばいんじゃないか?』


 映像を失った視聴者たちは、暗い画面の前で状況を想像することしかできない。


「ガレス!! 駄目っ!」


 最後の配信が途切れる寸前、リゼットの悲鳴だけが視聴者のもとへ届いた。


 ガレスの大盾は床へ落ちていた。


 ヴェロニカを庇った彼の防具には、魔物の爪が深々と突き刺さっている。


 傷の深さは分からない。しかし、ガレスの顔から血の気が引き、呼吸が浅くなっていることだけは明らかだった。


 それでも彼は膝をつかない。自分が倒れれば、後ろにいるヴェロニカとミレイユへ魔物の追撃が届くと分かっているからだ。


「離れなさいっ!」


 リゼットが魔物の背へ飛び乗り、首元へ短剣を突き立てる。


 魔物が苦しげに身をよじった。その隙にガレスは爪を引き抜き、よろめきながら仲間たちの前へ立つ。


「ガレス、動かないで! 今、回復を――」


「よそ見をするな! 敵が来る!」


 ガレスの言葉どおり、通路の奥から次の群れが押し寄せていた。


 盾役を失えば、魔術師とポーターの自衛力は著しく下がる。


 撤退しようにも、後方で魔物を食い止める“殿《しんがり》”がいない。


 状況は、わずか数秒で一変していた。


(チッ……面倒な奴らだ)


 配信が停止した途端、ルシアンの顔から爽やかな笑みが消える。


 彼が見たのは、負傷したガレスではない。自分たちが逃げるための通路だった。


「撤退だ! 動ける奴だけ、俺についてこい!」


「は〜い!」


 ミレイユは真っ先にルシアンの横へ駆け寄った。


 背負った巨大な魔導袋を揺らしながら、ガレスを一度も振り返ろうとしない。


「ま、待ちなさいよ! ガレスが――」


「俺のことはいい……行け」


 ガレスは床から大盾を拾い上げようとする。しかし、腕に力が入らず、盾の縁が石床を擦った。


「そんな状態で、何言ってるのよ!」


 ヴェロニカは杖を振り、押し寄せる魔物へ炎を放つ。


 爆炎が通路を満たし、先頭の数体を押し返した。


 だが、その顔は青ざめている。


 魔力回復薬がない以上、次に同じ魔術を使える保証はない。


「ルシアン! 戻って! ルシアン!」


 リゼットもヴェロニカへ加勢し、群れの先頭へ短剣を振るう。


 アサシンである彼女は、一体ずつ仕留めることには長けている。しかし、途切れることなく迫る敵の波を押し返す力はない。


 彼女たちの声は聞こえているはずだが、ルシアンは足を止めない。


 彼の隣では、ミレイユが余裕そうに歩いている。


「駄目……そんなの……!」


 リゼットの脳裏に、また別の仲間の姿が浮かんだ。


 役に立たないと決めつけられ、反論する機会すら与えられず追放されたエマ。


 あのとき自分が何も言えなかったせいで、同じことが繰り返されようとしている。


「ルシアン、どうして!?」


 悲痛な叫びを上げた直後、リゼットの身体に強い衝撃が走った。


「えっ……!?」


 リゼットとヴェロニカの身体が、同時に宙へ浮く。


 二人はルシアンたちのいる通路へ向かって大きく押し出され、石床を転がった。


 魔物の攻撃ではない。


「ガレス……!?」


 衝撃の正体は、ガレスが放った“シールドバッシュ”。


 本来は大盾で敵を弾き飛ばすための技。その衝撃波を、彼は二人を逃がすために使ったのだ。


「二人を……頼む」


 ガレスは震える両腕で大盾を構え、通路いっぱいに立ち塞がった。


「嫌……ガレス! 駄目ぇっ!!」


 リゼットが立ち上がろうとする。


 しかし、ルシアンは彼女の腕を掴み、そのまま強引に引きずっていく。


「放して! ガレスが! ガレスが死んじゃう!」


 傷ついたタンクの姿が、押し寄せる魔物の波に呑み込まれていく。


 ガレスが大盾を振るうたび、鈍い衝突音が響く。


 一体を弾けば二体が迫り、二体を押し返せば別の魔物が盾へ爪を立てた。


 それでもガレスは退かない。仲間が逃げ切るための時間を、一秒でも長く稼ごうとしていた。


 ――そのときだった。


「うおおおおおおっ!! “バッド・クレイジー・ドッグス”参上おおおおお!!」


 通路の反対側から、聞き覚えのない荒々しい声が響く。


 魔物の群れの向こうに、大剣を振り上げた男の姿が見えた。


 その頭上を飛ぶのは、光る二台の配信カメラ。


 レイド・スターズの配信が途切れ、固唾を呑んでいた王都中の視聴者へ、別の配信から救援の光景が届けられ始める。


「お頭ぁぁ! さすがにこの数は、まずいんじゃねえですかぁぁぁ!?」


「も、もうどうにでもなれぇぇぇぇ!!」


「…………参る」


 バルガスを先頭に、ニック、カーネル、シグが魔物の群れへ突っ込んでくる。


「皆さん! 待ってくださいぃぃ!!」


 その後ろから、巨大な魔導袋を背負ったエマが必死に追いかけていた。


 ガレスの最期を覚悟したパーティーの前へ現れたのは――自分たちが見下していた、迷惑配信者と追放ポーターだった。

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