第二話 食卓
第二話 食卓 となります♪
*食事に戸惑うパーシヴァルの理由&この国事情が分かります。
*パーシヴァルが既存の価値観に揉まれます…
*みんなひたすらパーシヴァルに優しいです♡
では、お楽しみください⭐︎
*養成所から下級貴族男爵家のウォルターの屋敷に来た、護衛古代アンドロイド騎士、パーシヴァル。
*初めての夕食に戸惑います。理由や国の制度も明かされます。
*緊張するパーシヴァルと優しいウォルターの家族との初めての夕食です♪
*食事シーン中心です♪
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食事は、広めの食堂で〝みんな〟で一緒に食べるのがウォルターの家の決まりである。
広めの部屋に、大きな木の長机の食卓が置かれ、たくさん椅子が並べられている。
天井には、ガラス製のシャンデリアが、煌々と明るい光を放ちながら灯っている。
広い食卓の中央には、庭で詰んだばかりの、綺麗な花が白い花瓶に飾られている。
温かいスープの鍋や、庭で採れた新鮮野菜を使ったサラダの大きなボウル、湯気を立てる肉料理の大皿が並ぶ。
そして白い皿、銀の食器が各自に並べられていた。
ウォルター父「さあ、パーシヴァル。ウォルターも、座りなさい。」
ウォルター父に言われ、パーシヴァルは戸惑ったが…ウォルターに手を引かれ、ぎこちなく椅子に腰掛けた。
護衛古代アンドロイド勢の、フィリップ、リチャード、マルコ、ジャックも畑仕事を終えて、ブーツに履き替え、ワイワイ話しながら、自然な流れで椅子に座る。
パーシヴァルは固まる。
パーシヴァル「(護衛が主人と〝同席〟など、あり得ない事だ。…理解出来ない。)」
パーシヴァルはウォルターを見た。
ウォルターは笑顔で言った。
ウォルター「たくさん食べて!パーシヴァル!」
ウォルターは、パーシヴァルのお皿に料理をいっぱいに盛り付けた。
それから、パーシヴァルの前に料理のお皿を置いた。
パーシヴァルはやはり困惑した。
パーシヴァル「…護衛が〝同席〟していいのだろうか。」
と、パーシヴァルは確認するように言う。
パーシヴァルが見ると、フィリップ、リチャード、マルコ、ジャックはもぐもぐ食べて全く気にしていない。
ウォルター父は笑った。
ウォルター父「まあ、そういう〝伝統〟や〝風習〟を重んじる考えはまだ色濃く残ってはいる。王宮や上流貴族界では尚更だろうな。だが私は、自分の〝家族〟をそのように扱うつもりはない、パーシヴァル。…自分の〝家〟だと思っていい。」
パーシヴァルはさらに戸惑った。
ウォルター「パーシヴァル、美味しいよ?食べようよ。」
ウォルターは、ナイフとフォークで、細かく切り分けた肉料理を口に運ぶ。
パーシヴァルは、小さく息を吐いてから、フォークとナイフを取る。
姿勢は完璧で、フォークとナイフを持つ仕草も、きちんと所作は整っている。
ナイフで切り分け、肉料理をフォークで慎重に口に運んだ。
パーシヴァル「…。」
パーシヴァルは、周りをよく観察した。
それは、傭兵時代から身に付いたパーシヴァルの習慣の一つだった。
ウォルター父、母も笑顔で話し、ウォルターも笑っている。
フィリップ、リチャード、マルコ、ジャックもウォルターや、父、母と会話しながら楽しそうに食べている。
パーシヴァルは、戸惑いが消えなかった。
もちろん〝古代アンドロイド〟が、〝人間〟と同席し食事をすることにもだが、〝食事〟自体にもーー違和感だった。
この辺境島国、《アークレイ帝国》では、古代アンドロイドに〝食事文化〟は存在しない。
古代アンドロイドには、専用の〝機能維持補助ドリンク〟や〝専用栄養剤入りバー〟などが与えられている。
だから養成所でも、ウォルター家のような通常食は食した経験はなかった。
傭兵時代にも同様だった。
もちろん、一般知識として〝食事〟の作法は心得てはいる。
ウォルター「パージヴァル、美味しい?」
と、ウォルターはパーシヴァルへと笑いかけた。
パーシヴァルは、ほんの少しだけ首を傾げた。
パーシヴァル「…〝美味しい〟?」
普段、味など特別意識したことはなかった。
パーシヴァルには、食事という概念はなく、ゼリーやドリンクを摂取する事は、〝補給〟という認識だった。
パーシヴァルは、フォークで肉料理をもう一度口へと運ぶ。
今度は、味覚機能に意識を集中してみる。
口の中で温かく優しい味がした。
パーシヴァル「…温かい味だ。」
ウォルターは笑顔で言った。
ウォルター「良かった、どんどん食べてね!」
パーシヴァルは小さく頷いた。
フィリップ、リチャード、マルコ、ジャックも遠慮せず笑いながら、食べて飲んでいる。
ウォルター母「遠慮しなくていいのよ、パーシヴァル。もう〝家族〟なんだから〜♪」
と、ニコニコしながらのびやかに言った。
パーシヴァルは表情を変えずに、
パーシヴァル「…了解。」
と、少し小さな声で、うなずきながら返事をした。
フィリップ「おいおい、真面目だな〜。」
と、フィリップは、麦茶を飲みながら言う。
リチャード「フィリップ!お前が砕けすぎなんだよ!」
と、リチャードは、フィリップにツッコミした。
マルコ「パーシヴァルさん、パンもふわふわで美味しいですよ〜、僕が生地練ったんです〜⭐︎」
と、マルコはニコニコ話しかけた。
ジャック「評価完了:非常に美味。パン追加所望。」
ジャックは、表情を変えることなく、空になったお皿をマルコに差し出した。
マルコは笑顔で、ジャックのお皿にトングでパンを置いた。
マルコ「はい、お代わりですね〜♪」
ジャック「判定:感謝。」
ジャックは、パンにジャムを丁寧にスプーンで塗り、千切ってからもぐもぐ食べる。
ウォルター父「はっは!にぎやかでいいな〜!」
ウォルター母「ええ。また〝家族〟が増えたわ〜♪」
パーシヴァルは再び固まった。
〝家族〟という聞き慣れないキーワードを、たびたび発言される為だ。
今まで、見聞きすらしなかった未知の単語が、目の前で当たり前のように飛び交っている。
食事を終えると、フィリップ、マルコが皿洗い、リチャードがお皿拭きをし、ジャックが食後の紅茶を入れ、デザートの庭で採れた、りんごや葡萄を小皿に用意する。
パーシヴァルも手伝おうとするが、フィリップから笑顔で制される。
フィリップ「大丈夫だ、ここは俺たちが片付ける。ウォルターの話し相手になってやってくれ。…あいつが人見知りしないなんて、結構レアなんだぜ?」
パーシヴァル「了解した。」
パーシヴァルはウォルターの隣へ再び腰掛けた。
ウォルターは、嬉しそうにパーシヴァルに色々話しかける。
パーシヴァルは、それに対して、言葉を一つ一つ選びながら答えていた。
ウォルター母「まあまあ。みんなでお片付けしてくれるから〜、やる事なくなっちゃうわ〜♪」
フィリップ「ウォルターファザーと、ウォルターマザーは、座ってるだけでいいんだよ。」
と、フィリップが盆から紅茶を2人にそっと置く。
リチャード「そうそう。」
マルコ「食後のデザートにしましょ〜♪」
ジャック「皿洗い任務完遂:デザートタイムに移行。」
ウォルター父「はははは!使用人雇う余裕が我が家にはないからな!我が家の〝護衛4〟(ごえいふぉー)は頼もしいな〜。」
フィリップ「任せろ。」
リチャード「ただ座ってればいい。」
マルコ「紅茶お注ぎしまーす♪」
ジャック「もぐもぐ」(葡萄食べてる)
パーシヴァルは、目の前の湯気を立てる紅茶と、置かれた果物の小皿を見る。
パーシヴァル「…。」
みんな食後の会話を楽しんでいる。
ウォルター「パーシヴァルもどうぞ。」
と、ウォルターが笑顔で紅茶を差し出す。
パーシヴァルは、紅茶カップを持ち、そっと口に付けた。
ふわりと紅茶の香りが広がっていく。
パーシヴァル「…香りがいい。」
今までパーシヴァルは、誰かと座ってゆっくり紅茶を飲む経験は皆無だった。
パーシヴァルは、ウォルターから勧められて葡萄を一粒食べた。
みずみずしい甘さが、口いっぱいに広がる。
パーシヴァルは、果物を食べたこともなかったので、甘さに驚きながらも感動した。
パーシヴァル「…とても甘い。」
と、パーシヴァルは思わず目が綻んだ。
それを見て、フィリップはニヤリと笑う。
フィリップ「美味いだろ?みんなで手塩かけて育ててるからな。野菜も、果物も。」
リチャード「明日から、パーシヴァルも畑仕事デビューだな!!」
マルコ「運動にもなるし、みんなでワイワイやると楽しいですよ〜♪」
ジャック「状況判定:人員不足解消&作業効率上昇。」
と、ジャックは、葡萄を口に運びつつ言う。
パーシヴァルは気になり、
パーシヴァル「ウォルターも畑仕事をしているのか?」
と、遠慮がちに自分から話しかけた。
ウォルターはニコニコ頷いた。
ウォルター「うん!父さんから教わりながらね!」
ウォルター父は、紅茶カップとソーサーを持ちながら、陽気に笑う。
ウォルター父「はっは!農業はいいぞ〜。」
ウォルター母「そうね〜、毎日食べ物には困らないものね〜♪」
そう言いながら、ウォルターの父、母はフィリップ、リチャード、マルコ、無心で葡萄食べてるジャックと笑い合う。
フィリップ「ピーマン栽培に関して…俺より詳しい奴は居ねーよ。」
と、フィリップが前髪をかき揚げながら得意げに言う。
ウォルター「フィリップはね、ピーマン隊長だもんね。」
と、ウォルターは葡萄を口に入れ、笑顔で言った。
フィリップ「…実際の部隊長みたいに言うな、ウォルター。」
フィリップは、ウォルターの肩を腕で抱き寄せて指で額を軽くちょんと突いた。
ウォルターはくすくす笑う。
一同は爆笑した。
一瞬、パーシヴァルは、フィリップの行動にぎょっとした。
だが、誰も咎めはしない。
パーシヴァルは、紅茶を飲みながら静かに観察を続けていた。
そして、内部処理で今の現状の点検作業に入っていた。
《隷属》《服従》《主従関係》《立場》《役割》《任務》《専属護衛》…などのたくさんのキーワードが、パーシヴァルの頭の中へと浮かんでは消えていく。
自身の認識した〝社会的役割〟について、〝既存の価値観〟との相違が…あまりに顕著だったからだ。
ウォルターが、隣からパーシヴァルの袖を優しく摘んだ。
ウォルター「パーシヴァル、疲れちゃった?」
と、心配そうに見上げた。
パーシヴァルはきょとんとした。
すぐに小さく首を振る。
パーシヴァル「いいや、疲れていない。」
パーシヴァルは、視線を戻して姿勢をスッと正した。
〝護衛対象〟に心配されるのは、護衛として不覚だからだ。
護衛は、いかなる環境にも即時適応していく必要がある。
パーシヴァル「ウォルター。この後は、何をすればいい?」
護衛は、《命令》《指示》を実行し、遂行していくのが当然だ。
それが本来の〝護衛古代アンドロイド〟の在り方だった。
だが、ウォルターは、
ウォルター「うん?特にないよ。今はみんなでお茶の時間だから。パーシヴァルも、ゆっくりしよう?後でね、明日の騎士学校の忘れ物がないか、一緒に見てくれたら嬉しい!!」
と、パーシヴァルを見上げて笑って言った。
パーシヴァル「…了解した。」
つまり、現状は〝待機〟を指示されたということだった。
パーシヴァルは、ウォルターに目線を向けつつカップを持ち、ゆっくりと紅茶を飲んだ。
ウォルター「良かったら。後で、…パーシヴァルの剣をまた見せてもらえたりする?」
と、ウォルターは、すこし照れながら、遠慮がちにパーシヴァルに聞いた。
パーシヴァルは、ウォルターを見てすぐ頷いた。
パーシヴァル「…あぁ、もちろん構わない。」
ウォルターはそれを聞くと、嬉しそうに葡萄をまた一つ口に入れた。
ーーパーシヴァルは、今までと大きく異なる環境に躊躇いながらも、静かに紅茶カップを傾ける。
パーシヴァル「…。」
パーシヴァルは目を閉じて、湯気が立つ紅茶の入ったカップを両手で持ち、小さく息を吐いた。
目の前には、たくさんの笑顔が溢れる、温かな食卓が広がっている。
パーシヴァル本人は気づいていない。
しかしながら、先程よりほんの少しだけ、
ーーパーシヴァルの表情や目つきは、優しく、柔らかくなっていたのだった。
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*長文読んでいただきありがとうございました♪




