表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

11

 

 熱く、感情の滾る瞳は、ラインハルトとはまったく違う色をしていた。


「――……私は、」


 ここまで来て、考えるのは寂しがりやで、人一倍頑張りやな幼馴染のこと。

 嗚呼、やっぱり私はラインハルトのことが好きで、諦めるなんてできないんだ。


 恋人関係になったとき、覚悟していた。いつか別れなければいけないときが来ると。

 けれど、恋人として、甘い時間を、大切なひと時過ごしてしまえば、もう後戻りはできなかった。欲張りになってしまった自分に、溜め息を吐く。


「私は、貴方とは結婚できません」

「――この子は、俺のだ」


 重なったふたつの声に、サーシャは目を見開き、アロイスは唖然とした。


 見合いの場に、乱入者だ。


「レ、イ」


 深い青に、金の装飾の施されたジャケット。真っ白いパンツは純潔の白だ。胸もとに飾られたいくつもの称号は階級の高さを表した。

 膝下まである編上げの皮のブーツはよく磨かれ、踵を鳴らしてサロンに入ってきた男――ラインハルトは腕の中にサーシャを引き入れる。


「な、なにを」

「申し訳ないが、この子は、サーシャは俺のものだ。貴殿にはやれない」


 碧玉の瞳は爛爛と輝いて、アロイスを貫く。

 眼光の鋭さにたじろぎ、言葉を飲み込んだ見合い相手。


「……貴方は誰だ。ケルル嬢を物扱いするような輩に、」

「物扱いじゃない。サーシャと俺が出会ったときから、今まで、サーシャは俺のモノなんだよ。ポッと出の見合い相手になんかやれるわけない」


 低く、唸るような声にアロイスの顔付きも険しくなる。


 目を白黒とさせて、サーシャは息を飲んだ。


 金の装飾の施された真っ青なナポレオンジャケットに、純白のパンツ。騎士団の正式装束で、正式な公の場でなければ身につけることを許されない衣装だ。

 常であればさらさらと風に流れる金髪は、整髪料でオールバックにされて、額が露わになり整った顔が曝け出されている。


 ほう、と魅入って呆けるサーシャに、アロイスは呆然と言葉を失う。


「同じ土俵に上がってから出直してくることだ」


 結婚式で浚われる花嫁のように、ラインハルトの腕に抱かれてサロンから連れ出される。

 近くに繋がれていた馬は黒毛の艶々としたラインハルトの愛馬だ。


「レイ、初めからこのつもりだったのね」


 不思議と、声色は穏やかだった。


「当たり前だ。俺は、サーシャを離すつもりなんかない。見合いを中止させられないのなら、ぶち壊してしまえばいいんだ」


 あっけらかんと言い放った


「きっと、お父さんに怒られるわ」

「その時も一緒だ。――これからもずっと、一緒にいてほしい」


 満天の星空のように、蒼い瞳をきらきらと見開いて、サーシャは頷いた。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ