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第51話 ゲームの世界と異世界の世界

 「俺、訳が分からないよ!!!」


悠磨王子の真剣な目に、話しを聞いている方も力が入り……。


 現在日本でインターネットで公開をされているMMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)『World of legend』。このゲームは王道とか正統派と呼ばれるもので。職業として、魔法、接近戦、遠距離攻撃、製作があり、ああ、製作を職業として選んだ者は剣士という職業も同時に得られるが、持てる武器が決まっている、片手剣と盾となる。もう少し詳しく職業の話しをすると、例えば魔法系の職業では、魔女、魔法使い(男性キャラクター)、魔術師、魔道師、呪術師、精霊使い、召喚使いというものに先ず分かれ、そこから更に細かく、攻撃、防御、癒しと分類されていく。ちなみに此処異世界では、この魔法系に当たる職業は、精霊使いと召喚使いを除き、全てが実際に在るものだ。

そして、プレイヤーは自分の分身となるキャラクターを作り、職業を選んでゲームの世界に入る。ゲームの世界に入るとチュートリアルというゲームの基本的なキャラクターの動かし方や選んだ職業の初心から上級になるための訓練のステップやレベルを上げるためのモンスター(魔物)の退治方法を学び、この世界での過ごし方も学ぶ。

それが一通り終われば、晴れてフィールドと呼ばれる所へ転送(飛ばされる)されるのである。


悠磨王子がチュートリアルを終えて初めて転送されたのが、扉の塔だった。と、いう話しなのだが……。


「悠くん、続けて」


真一が先を促す。


「うん、わかった。兎に角、歩き回った俺は、色々と気付くことがあったよ。まずさ、扉の塔を丸ごとコピーしたような……、建物の数や庭の造りは全て一緒なんだ。それから、今度は、建物に入ってみようと全ての建物に入ろうとした。だけど、入れる所と入れない所があった。まずさ、この王の扉(建物の名称)はさ、ほら、一般に開放しているところあるじゃない? その、オープンに……」

「ああ、一階と二階だな」

「そうそう」


勇瑠王子が相づちを打つように言う。


王の扉という建物は、今、真一たちが居る(五階)建物である。そこの一階は、オープンスペースになっており、キッズルーム(肉体年齢、十八歳以下が使える)、展示スペース、会議室などがある。ああ、以外なのが防音室だ、演奏会や演劇なども盛んに行われている王都では、何故かこの転送に使う為の施設にまで防音室を設けている。

そして二階スペースは、各種受付と、カフェスペースとなっている。


「そのオープンスペースには入れたんだけれど、三階以上は行けない。一応、階段も各階に上がったり下がったりするための上下する魔法陣スペースもあるんだ。だけど、魔法陣には、二階までしか乗れない」


悠磨王子の言う’魔法陣スペース’は、現在でいうエレベーターのような役割をしている。


「うん? 悠磨」

「なに? 勇瑠兄様」

「聞くが、エンジェルさん達はこの王の扉にも出入り出来るということか?」

「ああ、そうなるね」

「では、一階や二階にウヨウヨとエンジェルさん達が居ると……」

「あ、いや、それはない」

「どうしてだ? 今の悠磨の話なら、転送の扉(平屋建ての細長い建物)に居るエンジェルさん達が居そうなものだが……」

「う~ん、余り彼らにはメリットが無いというか……。一階のオープンスペースは、殆どの部屋が予約制でしょう? 展示スペースも無料公開以外は入れない。カフェスペースも、ゲーム内の通過と此処レジェンド王国の通貨は違うから利用出来ないんだ。そもそもゲーム内では実装されていない施設なのか、カフェスペースは外から見ることは出来るけど、中には入れない。かろうじて無料で公開されていたら展示スペースに入れるくらいかなぁ」

「ふむぅ~」


勇瑠王子は、胡座を掻いた姿勢で腕組みをしながら考え込んで居る。

悠磨王子は皆の反応を待っている。というような感じだ。そこへ真一が、小さく手を上げて、


「トイレ休憩、挟みませんか?」


と言うと、きょとんとする者、もじもじする者は……、


「兄様、是非っ」


と、フィオナ姫が言った。察した勇瑠王子は、


「あ~、この窓際の下は尻も冷えるしなぁ~、座卓の所へ戻ろうかぁ~。それから、トイレは各自自由に行きなさぁいぃ~」


と言った。それを聞いて、フィオナ姫とシャナ姫は、直ぐさま飛んでいなくなってしまったのである。


「あ、待って。俺、ちょっと、片すから」


真一は言うと、スクッと立ち上がり、座卓の所へ行く。そして、せっせと座卓の上を片付け始めた。


「ねえ、勇瑠兄様。まるで家に居るみたいね」

「そうだな、花琉。いつの頃からだったか、真一、客を家に連れて来ると喜ぶようになったんだよな」

「そうねぇ~。ああ、料理を覚えてからよ、高校生の時。あの子、十四歳で私立の中学校に編入させて、そのまま高等部に入ってから、何かしらね? ようやく落ち着いたかのように……、私に、料理を教えて。て、言ってきたのよね、真一」

「ああ、そうだったなぁ~。確か……、私が高校生になったんだ、好きなことを見付けなさい。と言ったら、料理がしたい。暖かくなりたい。と言い出したんだ……。どう言う意味だ? と問うと、『如月さんが、俺に飯をくれたときにさ、俺、この辺が暖かくなったんだ』と言ってな、両手で胸を押さえるんだよ。ああー私は、今でも思い出すと涙が出るぞ」

「あらいやだ、勇瑠兄様! そんなことひと言も私に言わなかったじゃない? 私はてっきり……、兄様がそろそろ花琉おばさんの手伝いをしなさいと言ったかと思って……、包丁の持ち方とか基礎から教えて、洗い物まで教えたわよ?」

「そうだったのか……」

「ええ、でも、私もエスカレートしちゃって……。最後には料理やお菓子の講師まで家に呼んじゃって、ご近所さんと真一と、ついね、盛り上がってしまったわよ」

「なに? 道理で真一が道具や食器にまで拘って強請るはずだぁ……」

「あ~、フードコーデネーターの講師まで呼んじゃったから……」

「それかっ!」


勇瑠王子と花琉姫は、真一の高校生時代の話しで盛り上がる。


「勇瑠おじさん、花琉おばさん何してるの? 片付けたよぉ」


真一が座卓のところから、手を上げてゆったりと手の平を動かすというように振りながら言う。


「はぁぃ~」


花琉姫が真一に向かい返事をすると、勇瑠王子と花琉姫は立ち上がり座卓の所へ行く。

座卓の上は、すっかり綺麗になっていて、蝋燭まで追加されていた。


「ああ、勇瑠おじさん、花琉おばさん、適当に片したけれど……、あと、ワゴンにあった物を並べて、蝋燭も追加しておいたけれど……、よかったかな?」

「ええ、ええ、凄いわ! 真ちゃん。いつも通りの手際の良さねぇ」

「へへっ」


照れ笑いをする真一。そんな真一の顔を見る、勇瑠王子と花琉姫は、現在日本の我が家に居るときのように心が和み、落ち着くのであった。


いつの間にか、フィオナ姫とシャナ姫も席に戻り。宴の解散からこの診察室に残った者たちは、座卓に付いていた。


「あ~、飲食もトイレも自由にしてくれぇ~。話しの続きをするぞ?」


『はい』と返事をするもの、頷く者、それぞれが勇瑠王子に反応をして……。


「なあ、やっぱりさ、そのエンジェルさんとかにさ? 実際、会ってみないか?」

「え?!」


皆が席に着いたかと思えば、突然、真一が言い出す。一番、驚いているのは悠磨王子で……。


「いやいや、真にぃ~、勇瑠兄様が最初に言ったろ? 評判が悪いてぇ」

「評判が悪い? それは口が悪いのか? 態度が悪いのか?」

「両方だよ、真一!」


慌てて勇瑠王子が言うと、


「俺……、多少の事なら、対処出来るぞ?」

「真ちゃんなに! この子は、何を物騒なことを言っているの?」


花琉姫も慌てた様子で言う。


「話しを聞くのも大事だと思うんだけれどさ、動いて見た方が早いこともあると思って。それに……、レオンとアズキアスがここに残ったのは、そのエンジェル現象? それに関わる事だとは思うんだけど、この扉の塔の出来事と同じような事が二人の国で起きているということなのか? それとも……、全く別の話なのか?」

「話しを急かせないでくれ、真一。だが、真一の言うことも一理あるなぁ……」


真一の言葉に勇瑠王子が応えながら、悩み出す。


「真一、我の国の話しを聞いてくれ」


そこにレオン王が話しに入ってくると、


「ああ、レオン、話してくれ、悪いが少し手短にな」

「そうだな、ここで詳細に話しても解決には至らない。事象だけ聞いてくれ」

「ああ、助かる」

「真一、我の国はな、妙なダンジョンが出現しているんだ」

「ダンジョン?」

「ああ、今まで聞いたことも見たことも無い。だが、出現した場所に行くとだな、ぽっかりという具合に、岩で出来た入り口があったり、滝の後ろに出入り口と思われるものがあったりだな……」

「そうなのです、真一! 我の国でもそのような具合で……」


レオン王の話に、アズキアス魔王も話しに入り、


「それで、ダンジョンと言うことは、中に入ると魔物が居るのか?」

「そうなんだよ」

「ええ、そうなんです! 中にはとてつもなく強い魔物もおりまして……」

「え?」

「そのな、我でも手を焼く魔物が居る……」

「ええ、ええ、我もです。レオン、父上と兄上にお願いしようかと思うほどに……」

「なに? それは不味いだろう、アズキアス」

「そうでしょうか?」

「やっぱり、お前の国だろう?」

「ええ、ええ。でも、国分けをして独立国家となりましたが、父の国、サタルキア大魔王国とは和解はしています」

「ふむ」


レオン王は、アズキアス魔王の言葉に考え込む。


「まあまあ、二人共、要するに。突然、ダンジョンが国の中に出現した。でいいか?」

「ああ」

「はい!」


二人の返事を聞くと、真一は、少し考え込んで。


「じゃぁさ、まず、安全にエンジェルさんに接触する方法を考えよう。それから、地図があるだろう? あ、いや、この世界にも地図はあるよな? この異世界全域の物も欲しいが、まずは、此処レジェンド王国と、レオンの国、ロクシャール第一王国。それに、アズキアスの国、アズキアス魔王国の地図が欲しい。そして、レオンとアズキアスには、地図を見て、ダンジョンが出現した場所を示して欲しい」


真一が言葉を言い切ると、皆は呆気に取られている。

え? 何が起こったの? という調子だ。

真一の頭の中では何か……、閃きがあったのだろうか。


「あ~、では、真一に主導権を渡して動くことにするか」


勇瑠王子がそう言うと、皆が頷く。



 MMORPG『World of legend』とこの異世界。どんな繋がりが在るのか。

その謎を解き明かすために、真一たちは動こうとしていた。

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