③三話(6)
◇◇◇
「やっほー♪ ライラ、元気してる~?」
「…………随分と馴れ馴れしいクソガキじゃないか」
「あれ? もしかして、ボクのことわかんない!? 確かに結構会ってなかったけど、まさか忘れちゃったの!? ライラってば酷いぃ~……」
「おやおや、おちょくられているのかな……?」
「むー! 怒りたいのはボクの方だよ! ……あっ、そっか、《認識阻害魔法》使ってたんだっけ!? ん~……、一瞬だけでも解こうかな……。でもな~、フィオナも見てるしなぁ~」
「……何を言ってるんだい君は」
「《魔法》を解かずにボクの証明をする、かぁ~。むじゅかしー……。じゃあまず自己紹介から、今はアクトって名乗ってるけど……本名はアリス! 君のよく知るアリスちゃんだよ♪」
「……っ!? ……ふむ、では質問だ」
「どんとこーい♪」
「私と君が初めて出会ったのは――」
「二百三十六年前のエヴェニア皇国、サザンムント家の奴隷だった君をボクが連れ去った時だよね♪ お姫様誘拐みたいで、悪者になった気分だったな~」
「…………なるほど、嘘ではないらしい」
「あはは、けっこうすんなり信じて貰えたみたいで嬉しいよ」
「そうか。ふふ……そうか」
「……?」
「いや悪い。そう考えると、やっとあの眼鏡の真意が理解できてきた……と思ってね。ふふ」
「創正のこと?」
「だが……なんだ。随分と滑稽じゃないか! あははは。こんなにも近くにいるのに、『アレ』は無様に一人で踊っているのか!」
「……はは」
「なぁ、アリス。……『死神』ってやつを知っているかい? なに、単なるニックネームのようなものさ。「あの『英雄』を心のそこから殺したいと願う」年端もいかぬただの子供だ」
「うん。……よく知ってるよ」
「だろうな。他でもない君が……知らないなんて、言えるはずもないだろう」
「うん」
「それで現状はどうだ? いつまで、そんな『茶番』を続けているつもりだい? いつまで、アレを苦しめ続けるつもりなんだい? ……なぁ、答えてくれよアリス」
「ふふ、相変わらずだねライラは」
「これが私の役目だからね」
「でも安心してよ♪ きっともう、そんなに待たせる事はないだろうから……」
「……ふふ、まるで我が子でも見るような目だね」
「そう? そう見えるなら、そうなのかもね」
「だがそうか……。こんなにも近くにいたのか。……さて、いつまで……こんな歪な関係が続くか、見ものじゃないか」
「ライラも何だかんだで楽しんでるよね?」
「当たり前じゃないか。コレを楽しまずして、何が『私』だろうか」
「まぁ、邪魔しないでくれるなら、ボクから言うことはないかな♪」




