069話
ええと・・・何か難産が続いてまして、今日もこんな時間になっちゃいました。
申し訳ないです。
ワタシの言葉を聞いて、一気に飛び出したレティに続いて山岳森林を走る。
もう遠慮もクソも無い。
秩序だって動く大部隊を全開で引っ掻き回してやるだけだ。
ワタシは大玉を召喚して一体化すると、何時もの爆走用の魔法では無く、身体中に密かに想写してる各種実験用魔法陣の内、大規模戦闘に使えそうなブツ達に意識を繋げる。
この前の「謎の攻撃魔法」も実はコレの一つだし、他にもイケそうなのがまだまだある。
とっておきのブツまであるしねっ。
攻撃魔法なんてほんど知らない(地味そうなヤツは勉強してない)に等しいから、実際は生活魔法の延長だけど、この際実戦で実証実験までやってやる積りだ。
最低限の魔法力で思考加速魔法も励起すると、途端に周囲の光景がもっさりとした物に変わり、行使してる魔法や身体の様々な感覚がスッとコントローラブルになった。
にゅう。コレって1.5倍位かな?
思ったよりずっと加速されちゃった風景の中、視界に入った傭兵共をガンガン銃で打ち倒す。
弾込めはメンドいので、銃ごとインベントリに突っ込んで行う。
インベントリ内操作って言う小ワザなんだけど、出来る様にしといて良かった!
これってインベントリ内から剣を抜く時に、鞘ごと出て来ちゃうのがウザかったんで覚えたんだよね。
いやーホント、何が幸いするか判らんモノですな。
ホイホイと傭兵共の撃つ矢弾を掻い潜りながらも、レティの後方を突っ走る。
本当は弾なんか避けられないけど、人間相手で部隊編成までしてる対軍用の傭兵風情に、ワタシやレティの動きが捉えられるワケが無い。
結構ムチャな動きで樹木を使った三次元走法なんてやってるしね。
こんなの、待ち構えて弾幕でも張らない限りは当てらんないだろうな。
「ひぃ様、本当に腕を上げられたのですね! これ程の機動をしても余裕で着いて来られるとはっ」
ふえっ? 何を今頃そんな事で驚いてるのかな、レティは。
って、良く考えたら、こんな事やるのなんて、自分も幼女化以来初でしたわ。
わはははって、笑えない話だよなぁ。
しかしレティのヤツ、声が結構普通っぽく聞こえるって事は、ヤツも同じ程度の思考加速の魔法を使ってるみたいだね。
だったら丁度良い頃合かな?
ワタシ達は森の中を三次元的にジグザグ走りながら、大きな螺旋を描く様に移動してるんだけど、段々と傭兵共もこちらを組織だって迎撃しようとする動きになって来てるんだよね。
人の密度が濃くなって来た証拠だ。
ワタシは銃をインベントリに突っ込むと代わりに白剣を出して握り締めた。
「そんな事より、ここ迄来ればもう奴らの本部は判ったも同然だから、一旦50は離れてっ。デカいのをかますよ!」
探知魔法もどきには、約200ヤード(約182m)位先の広場っぽい空間に、敵の集団らしきモノが映ってる。
本部かどうかは判んないけど、取り敢えず敵の後詰の部隊が集結してるっぽいから、とっておきのブツの実証実験にはもって来いだ。
阿吽の呼吸でレティがスパッと離れると、ワタシは一気に思考加速魔法を中くらい程度に引き上げた。
3倍近くは行ったのか、身体の動きがやや遅く感じて、様々な音がとっても妙に聞こえる。
独特の感覚が支配する世界の中、ワタシは螺旋的な移動を辞めて、直線で広場っぽい空間を目指した。
影斬をかまして刀身が6フィート(約182cm)を軽く超えた白剣を振り回し、行き会う傭兵共を木々ごとブッた斬りながら突っ込む。
広場に出る寸前、どうせ弾幕を張ってくるだろうと、一気に上へ跳んでそれらを回避しつつ、木々の間から上空に抜けると、広場全体が見えた。
「ズババババババーン」
間延びした銃声が下方で聞こえて、思わずほくそ笑みながら、高さ約30フィート(約9.1m)から眼下を見下ろすと、居るわ居るわ。
もう傭兵共から多数の車両迄がドドンと集結してらした。
速攻で実証実験魔法の一つを魔法陣経由で励起すると、一瞬後に広場全体を包む程の大きさで想写された魔法陣が起動する。
行っけぇっー!!
「ブフォーッ!!」
ワタシの心の叫びと共に得も言われぬ異様な音が響くと、広場はその全域を越える広さで凄まじい熱量の渦に放り込まれた。
どうだっ。生活魔法だってナメるなよ? 半径60ヤード(約55m)を一瞬で竈の中状態にしちゃう荒業だ!
物凄い勢いで、集積された噴進弾とか弾薬が次々に誘爆し、辺り一面凄まじい惨状になった灼熱地獄の上空を一気に突っ切る。
しっかしまあ、ある程度は予測してたけど、こりゃ凄いわ。
コレって元々は半径1と半フィート(約45cm)の魔法なんだけど、使えそうだからって15ヤード(約14m)位に広げた魔法陣が元なんですけどねぇ。
探知魔法もどきもそうだけど、幼女化以来、その大きさや範囲の設定を自分の魔法力に頼ってたモノは、ホントに色々拡大しちゃったんですよ。
何か怖くて、コイツは今迄実験出来ずに居たんだよなぁ。
流石に生き残りなんて居ないだろうと思ったら、探知魔法もどきに数名の人間の反応を見つけた。
風系魔法を励起して、無理やり灼熱地獄の只中に突っ込むと、端っこの方で対抗手段に勤しんでた阿呆の首をすれ違いザマにスッ飛ばす。
コイツが件の魔法師ヤロウかね?
だとすると、一撃でヤッちゃったんだから、レティとの約束は守ったよねっ。
取り敢えず髪の毛を引っ掴んで、宙を舞った首を確保すると、ストレージもどきに突っ込む。
うーん。思考加速のせいか、何かストレージもどきが口を開ける迄にタイムラグを感じるな。
この辺って今後の課題かも知れない。
と思った直後に、飛んで来た何かの攻撃魔法っぽいヤツを白剣で叩き斬る。
ほっほぉぉぉっ!
この灼熱地獄の中で挑んで来るって事は、件のふぉるだんとか言うヤツかぁっ!?
思わず嬉しくなって、返礼に影斬をスッ飛ばすと、魔法が飛んで来た方を向いた。
「ズズズズズッ」
振り向くと、約20ヤード(約18m)向こうで、金属系鎧の騎士卿っぽい男が何かの魔法を使って地面に大量の土埃を起こしてる所だった。
何かヌルヌルした動きがキモいですよっ!
しかもコレ、ワタシの知らない魔法だわ。
一瞬の逡巡の後、ワタシは例の「謎の攻撃魔法」の体勢に入る。
どうも向こうの方が動きが遅そうだし、後手になっても未だ間に合いそうだしねっ。
と、ヤツがこっちの影斬飛ばしを叩き落すのが目に入った。
やるぅっ!
ワタシの影斬飛ばしは外さないから、叩き落すしか無いんだけど、この刹那の間にその判断&行動が取れるなんて、流石は騎士卿だよっ。
でも、お陰で向こうの動きが一瞬途切れたせいか、こっちの魔法がガチで間に合いそう。
「ドンッ!」
地面を親の敵の様に踏み込んで、結構な音と共に5ヤード(約4.6m)位の距離を一足で縮めると、ワタシは白剣を一気に振り抜いた。
「ズドドーンッ!!」
間延びした凄まじい轟音と共に、目の前のあらゆる物がブッ千切れてフッ飛ぶ。
あっ!
しかし殺気を感じて、即座に体重が乗った方の足をスッ飛ばし、無理やり体勢を落とすと、頭の上を影斬っぽい何かが通り過ぎた。
直後に「謎の攻撃魔法」を跳んで躱したらしい男が降って来る。
コイツ、マジで出来るコだわっ!
でも見え見えだっつーのっ!!
姿勢を極限まで落とした後、対空技の姿勢から逆撃で突っ込むワタシの白剣が、突っ込んで来た男の両脚を擦れ違いざまにブッた斬った。
真横に振った白剣を、そのままブン回す様に新たな構えに入りながら、足技で更に真横に跳んで、飛んで来たスラッシュの連撃を避ける。
「ヒュウッ!」
思わず口笛を吹いちゃうっ。
コイツ、あの状態から全力スラッシュ5連撃かよ!
バランスを崩しながらも、着地(?)寸前に男が放って来たスラッシュ5連撃を、無手の左手からのスラッシュ5連撃で迎撃して、ワタシは体勢を立て直しつつ一気に踏み込むと、振り下ろした白剣で、地面に片手で着地した瞬間の男を真っ二つに斬り裂く。
「ぐぅはっ!」
ほぼお腹から半分にブッた斬られた男が、未だ横向きに宙に浮いてる間に連撃で首を飛ばすと、ワタシは漸く灼熱地獄の魔法を解いた。
「ふうっ」
短く息を吐いて残身を解きながら、落ちた男の首をストレージもどきに仕舞う。
いやぁ、強かったわぁ。
ホントにギリギリの攻防だったよ!
見れば、首無しの男の死体は満身創痍で、如何に討伐騎士卿でも、至近距離からの「謎の攻撃魔法」は躱し切れなかった事が判る。
いや、躱し切れないと踏んで、逆に突っ込んで来たんだろうけど、アレに突っ込めるなんて、歴戦の騎士卿ってのはホントに凄いわ。
「強かったよ、ホント。例え人間が屑だったとしても、ワタシはアンタの強さだけは忘れない」
何となく口に出して、ワタシはフォルダンと言う男の強さに敬意を表した。
本日もこの辺で終わらせて頂きます。
読んで頂いた方、ありがとう御座いました。




