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討伐騎士マリーちゃん  作者: 緒丹治矩
ランスへの道
63/221

063話

活動報告にも書いた通り、60話を少し書き直させて貰ったのですが、昨日の62話も書き直させて貰いました。内容は大きく変わっていませんので、読み直して頂く必要は無いと思いますが、申し訳ありませんでした。

 食事の前にワタシはまずお風呂に入る事にした。


 トカゲ野郎共とあそこ迄やりあったのに、身体も洗わずに食事とか真剣にイヤだしさ。


 しかも、こんな迎賓館的な建物のお風呂だから、結構な期待が持てる。


 エラい人用のお風呂と言うのは、大抵従者が付いて来る事が前提なので、結構な広さがあってお得な感じなんだよね。


 ちなみに、今のワタシは独りだ。


 レティは食事の用意とか色々あるそうで、一緒に入ると言わなかったので置いて来た。


 まぁ実際の所、此処は敵地のド真ん中みたいなモンだし、ヤツも油断出来ないのかも知れないと思うけど、お風呂位は入った方がイイと思う。


 レティが身体の汚れを落とす様な魔法技術を幾つも持ってるのは知ってるけど、そう言うのって所詮その場凌ぎだしね。


「お姉さまっ!」


 脱衣所で服を脱いで、風呂場に入ったら、いきなり可愛らしい声に出迎えられちゃいましたよっ。


 見れば、もうもうとした湯気の向こうに、見知った女の子が立ってる。


 誰か先客がいるなーとは思ってたけど、このだとは思わなかったな。


「あら、もうお風呂に入っても大丈夫なのかしら?」


 いやー、思わず口調が学院時代に戻っちゃうよね。お姉さまなんて呼ばれ方されちゃうとさっ。


 しかし可愛いわぁ、この


 間近で見たのは苦しんでる所だけだったせいか、元気な姿の方は倍増しで可愛らしく見えちゃいますよ!


 本当にお人形さんみたいっ。


「も、申し訳ありません。本当ならば直ぐにでもお礼に伺わねばならない所をこんな所で・・・」


「お気になさらないでね。大変な大怪我だったのですし、あの様な場からそのまま、湯浴みもせずに居られる方がおかしいですもの」


「あ、有難う御座いますっ。私はアリーヌ・ドロテ・ルロンと申しまして、ランス代官を拝命しておりますルロン男爵の娘で御座います」


 アリーヌは可愛らしくも綺麗な所作で、全裸とは思えない優雅な挨拶をして来た。


 ぬにゅうんっ。なんか途轍もなく可愛いんですけど!


 まあ年下に負けちゃいられないって事で、こっちも騎士風の挨拶で返したけど、いやぁ、これはヤバいですよっ。


 可愛さ有り余って、抱き締めて頭をナデナデしちゃいそうっ。


 と言う訳で、早速、お背中流して髪の毛も洗ってあげちゃいます!


 まだ入ったばかりだってのは、酷い状態の髪の毛を見れば一目瞭然だしね。


「そんな、本来ならば逆の筈ですのに・・・」


 恐縮するアリーヌちゃんを「お怪我をなさっておられる方がご無理をなさってはいけませんわ」とかわして、するっと背中に回り込む。


 風呂椅子に座らせると、さあまずはこの酷い状態になってしまった髪の毛から行きますよぉ。


「あの、お姉さま、本当に・・・」


 ハイハイ恐縮してる暇があったら、まずはおめめを瞑って下さいねぇ。


 ザブザブとお湯をかけて大きな汚れを流した後は、シャンプーの出番ですよ。


「お姉さまって、髪を洗われるのが御上手なんですね」


 エエ、そうですねぇ。学院で小花ちゃん達とお風呂に入る事は多かったですからねぇ


 ってまぁ、そんな事してるから妙な噂を立てられてたんだろな。


 ワタシは可愛いモノを愛でたいだけだと言うのに、世知辛い事よ。


 シャンプー洗いもイイ感じになって来た所で、ワタシの渾身の魔法洗髪(仮名)までカマしちゃう。


 髪の毛一本一本から頭皮まで、スルスルっと綺麗にしちゃいますよ。勿論、ケアの方もバッチリね。


 心を込めて洗ったせいか、アリーヌちゃんの髪がスッキリと綺麗になったので、次はお背中に入りまーす。


「お、お姉さまって、何かとっても慣れていらっしゃるのですね・・・」


 くすぐったそうに洗われるアリーヌちゃんが可愛い。


「そう言えば、本当にもう右手のお加減は宜しいの?」


 ウキウキして洗いながらも、一応肝心な事は訊いておく。治って無かったら不味いしねぇ。


「あ、ハイ。それはもう・・・あの、もしかして私の右手を直して下さったのは、お姉さまなのですか?」


 アリーヌちゃんの右手を取って簡単に確認すると、どうやらほぼ完治って状態にはなってるようだ。


「応急手当をしたのは確かにそうですけれど、治されたのは魔法医の方だと思いますよ」


 無難回答乙って感じに答えて、再び洗いに戻り、スキンケア系の魔法を掛けながらスリスリと洗う。


 あの時は治療系魔法だけで無く、回復系魔法までガンガン掛けたから、よもや肌に傷など残ってないと思うけど、軍属の魔法医なんて結構乱暴だからなぁ。


 治ればイイってスタイルは判るけど、素人の女の子にまでそう言うスタイルを強要しかねないから、要注意なんだよねっ。


「お姉さまって、本当に何でもお出来になるのですねぇ」


「まあ、そんな事はありませんよ。出来る事だけしか出来ませんもの」


 何か感心した様なアリーヌちゃんに、更に無難回答を返しながら、背中にお湯を流す。


 ワタシは魔法士の端くれだけど、回復はともかく、軽症なら治癒だの治療だのが使えるなんてバレたら、色々と面倒なんですよ。


 討伐騎士って、肉体を魔法で操る事に長けてる人ってイメージがあるけど、大抵は脳筋バリバリで、他人の治療とかマジで駄目な人がほとんどだから、それが出来るヤツなんて、本当に引く手あまたと言ってイイの。


 ししょーみたいに、魔法師で騎士みたいな人は極々僅かなんだよね。


 コレ、フェリクスおっさん辺りにバレたら、マジにランス部隊に組み込まれちゃうかも知れないんで、黙ってるワケですよ。


 ジュリアンさん達の前で侍女さんの応急処置をした時、敷物に魔法陣を想写したのもソレが理由だ。


、如何にも魔導具を使ってますぅって感じを出しとか無いと、後でどんな報告されるか判んないしねぇ。


 レティならバレても「侍女」だから、誰も手を出さないんで、イザとなったらヤツの仕業にしちゃう積りだったけどさ。


「あの、お姉さま、後は自分でやりますから・・・」


 背中にお湯を流し終わると、アリーヌちゃんがちょっと恥ずかしげに終了宣言を出して来た。


 うんうんと頷いて、ワタシも別の風呂椅子に座って、自分の方の洗いに入る。


 勿論判ってますよぉ。流石に前とかは御自分でお願いしますね。


 最近ちょっとハードルが下がった気がするけど、ワタシって、一応そう言う趣味の人じゃ無いしさっ。








 いやー、可愛いものを愛でるって、本当に素晴しいですねっ。


 そんな至福に包まれながらも、同じ釜の飯、もとい同じお風呂に入ったワタシとアリー(そう呼んで欲しいとの事なので遠慮なく)は、一挙に仲良くなった。


 言葉使いも結構ラフになったしね。


 お風呂の中で色々な話をしたけど、一番驚いたのは、このアリーにも「千体斬りのマリー」とか言うアレな二つ名が既に知られてた事だ。


 危うく顔真っ赤になる所でしたわ。


 悪事千里を突っ走るって言うものの、幾ら何でも早過ぎじゃない?


 確かに代官一行は斬り捨てたけど、一応悪事じゃない筈だし、おかしいよねっ。


 後は主に今回の出来事の話かな。


 何とこのお人形さんみたいに可愛いアリーちゃんは、ランスを見捨てて逃げようとする代官夫妻に「貴族が民を見捨ててどうしますか!?」と反抗して街に残ったのだと言う。


 貴族のかがみみたいなだよねっ!


 んでもって、侍女のベレニスさんと二人で、討伐士協会の支局に篭って頑張ってたらしい。


 ところが父親をかたるニセの手紙におびき出されて、あえなく馬車隊の虜になっちゃったって事だそうだ。


 なんだかなぁ。


 まぁこの話のお陰で、大体の全貌は掴めたけど、ドッと疲れる話ですわ。


 後でおっさんにも話してやらないとマズいとは思うけど、討伐士協会って所も色々だよな。


 何故代官夫妻がリプロンに逃げたのかも、大体判っちゃったし、ホント、世の中ってクソ虫みたいなヤツが多すぎるよ。


 そんな事を考えつつもお風呂を出ると、外に居た警護の人達(女性)に仁義を切って、ワタシはアリーと一緒に彼女の部屋に行った。


 勿論、それはアリーをワタシの部屋に引き取る事で警護の人らと交渉する為だ。


 独りでぽつねんと居ても寂しいだろうし、何と言っても、アリーがそれを望んだからなんだけどね。


 結構な難航が予想された交渉はしかし、スルッと通っちゃってビックリ。


 お風呂の外に居た人達もそうなんだけど、何かワタシに異様な迄に恐縮しちゃって、もう何を言っても「ハッ、了解しましたっ」って感じなんですよ。


 ぬう。これは一体どう言う事なんでしょね。


 別にワタシが怖くてビビッてる様な感じでも無いし、謎だ。


 首を捻りながらも部屋に戻ると、何かとてもイイ笑顔を満面に湛えたレティのヤツが、待ってましたって感じに出迎えやがった。


 しかもアリーに見えない角度の所で、右手の親指を立ててウインクまでしやがる喜びよう!


 何が「グッジョブ」だっつーのっ。


「お帰りなさいませ、お嬢様。そしていらっしゃいませ、アリーヌ様」


 ぬにゅう。やぱしコイツ、お風呂を覗き見(警護とも言う)してやがったか。


 見れば食事の用意もちゃんと三人前になってるし、ほぼ間違い無い。


 アリーの挨拶に、例の小っ恥ずかしいキザな挨拶で返しながら、ニヤニヤ笑いが止まらないって感じですよ。


 考えて見れば、アリーは間も無く12歳って話だったから、こいつの本に出て来てもおかしく無い歳ではあるんだよな。


 何かまたコイツに新しいネタを提供しちゃったみたいで、とっても嫌な予感がするんですけど!


本日もこの辺で終わりにさせて頂きます。

読んで頂いた方、有難う御座いました。


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