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討伐騎士マリーちゃん  作者: 緒丹治矩
ランスへの道
59/221

059話

 バンッと外扉を開けるとワタシは迷わず飛び出し、大玉を召喚して一体化、直後に爆走関係の魔法群を一斉に励起した。


 この間ほぼ瞬き二つ分!


 何か段々と慣れて来ちゃいましたよっ。


 時速換算で約20マイル(約32km/h)位のスピードで走ってたらしい、指揮車の脇で地面に最初の一歩を踏むと、ほぼ同時にワタシの身体は一気に凄まじい勢いで加速する。


「うわっ、わわわっ」


 何かアレの町でやった時より遥かに凄い勢いなんですけど、コレ、大丈夫か?


「シュゴオオオッ!」って感じの音で耳元が煩い。


 風系の防御魔法もマジで使ってるから、こんな音が聞こえるって事は、完全に想定外の出力で大気を操っちゃってる証拠だよっ。


 三歩目を踏んで最前列の装甲自走車を追い越すと、周囲が広がったせいか、更にスピードが上がってビビる。


「な、なにコレ!? 軽く60マイル(約96km)超えてるんじゃないのっ?」


 ぬううう、マズいっ。何か着地時のバランスを取るだけで、大変なんですけど!


 って言うか、身体のバランスを取るのも大変だけど、各種魔法を制御するのも、た、大変になって来た気がする。


 にゅうう、ヤバいっ! こう言う時はアレだ!


 突っ走りながら、思わず両手を腰に当てて、スーハースーハー深呼吸!


 ほとんど身体の力で走って無いからこそ出来るワザだよなー、コレ。


 何か絵的にすっごいシュールな感じに成っちゃってるとは思うけど、気にしないっ。


 うむ。しかしちょっと慌ててた意識が深呼吸で落ち着くと、何とか各種魔法のコントロールも回復して、速度も安定して来た。


 何とかなったみたいで助かった!


 しっかし安定はしたものの、凄いスピードが出ちゃってて、街道をトレースする事すら結構難しい。


 細い街道は真っ直ぐに続いてる訳じゃ無いから、こんなスピードだと、木とかにぶつからない様にするだけで大変なんだよね。


「一体、なんでこんな事になってるんだ?」


 思わず口に出しながらも考えると、そう言えば思い当たる節が・・・。


 ワタシってば例のザリガニ君達を回収する時、それまでにも色々入れてたから、さすがにマズいかと思って、大木を10本位捨てちゃったんだよね。


 ザリガニ君達と他の魔物達の死体を出しちゃった後、補充もせずにそのままだったから、どうもその分の魔法力が溢れてる臭い。


 うーん、コレってちょっとマズいかも知れないよ。


 大木10本を葉っぱごとストレージに収納する魔法力って、かなりなモンの筈だし、それだとコントロールに苦しむのも当たり前かも知れん。


 ワタシは仕方が無しに、ストレージから白剣を出して片手に握った。


 コイツは使うのにバカみたいな魔法力が要るから、これで多少なりとも魔法力の消費量は違う筈だ。


 ヒュウウンッ。


 魔法力をくれてやった白剣がパチパチと雷気を呼び集め始めると、案の定、妙な音と共に若干スピードが落ちた。


 ふぃー、どうやら何とかなりそうですわ。


 ホッとしたのも束の間、街道の右側に見えた村への入り口っぽい枝道への分岐路が、フッ飛ぶ様に後ろに流れて行った。


 ぬう。コレ、マジで60マイル所じゃないスピードが出てる気がしますよ。


 でも今のが村へ入る為の道なら、もうすぐ交戦地帯の筈だ。


 ワタシは気を取り直して、白剣を左手に持ち替え、二連銃を出して右手に持った。


 爆走関係の魔法群を一つずつ解除して、減速する事も忘れない。


 銃はトカゲ野郎の群れに突っ込む血路を開く為ですな。


 これで先手を取ってヤツらを混乱させれば、連携を取らせずに押し切る事が出来るかも知れないしね。


 30を超えるだろうトカゲ野郎の群れに無策で突っ込むなんて、幾らワタシでもちょっと無謀だし、たとえ二匹でも初手で潰せれば助かる。


 そうこうしてる内に、探知魔法もどきに数十の魔物の影が入って来た。


 人の反応もあるけど、魔物の数の方がずっと多い。


 うーむ。なんかこれ、結構手遅れっぽい気がしてきたんですけど。


 見えた!


 やや緩い左カーブになってた道の先、木々の陰から、トカゲ共の姿が目に入った。


 即座に二連銃を連射してインベントリに仕舞うと、白剣を右手に持ち替え、左手には例の鉄棒を握る。


「ブギャッ!」


 こっちを向いたトカゲ野郎の最前列の二匹の頭が、銃弾を食らって吹き飛んだ。


 あれ? 鉄甲弾なのに頭がスッ飛ぶとか、ちょっとおかしくない?

 

 一瞬疑問に思ったけど、そんな事を考えている余裕は無い。


 風系魔法のほとんどを解除したワタシは、それでも惰性と代替の身体制御魔法で結構なスピードを維持しつつ、パニくってるトカゲ野郎共の群れの中に斬り込んだ。


 取り敢えずの戦法として、ワタシはまず一旦戦場の向こうまで走り抜けて、全体を把握する事に務める積りだ。


 その間に斬り捨てられるトカゲは斬り捨てて、数を減らすって感じかな。


 さすがにこの数相手に足を止めるってのは、自殺行為だからねっ。


 しかし風系魔法を解除したってのに、身体がウソの様に軽いわ。


 ふうむ。こりゃ絶好調ってコトかなっ!


 ます最初ってコトで、近場の一匹の懐に入って頚部に斬り付ける。


 にゅっ?


 斬り付けた瞬間、唯でさえ手応えの薄い白剣が、まるで素振りした様な感じでトカゲ野郎の首を通り抜けた。


 斬られた方も気が付かなかった感じで、一瞬の挙動で横に跳んだワタシを追って、振り向こうとまでしやがった。


 当然ながらその挙動のせいで直後に首が落ちたけど、刹那の間にしろ、ちょっと呆然として返り血を浴びそうになっちゃったよっ。


 直後に襲い掛かってきた一匹に真横から斬り掛かると、またもや白剣が素振り感覚でソイツを分断して、勢い余ってそのすぐ後ろにいたヤツの首までがスッ飛ぶ。


 な、なにこれ!?


 パニックになりそうになるのを必死に堪えて、左側から尾を振って来たヤツの後頭部に鉄棒を振付けると、当たった部分が削り取れる様に飛び散った。


 これヤバいっ!


 なんだか判んないけど、自分で自分の身体が制御出来難くなってるっぽい。


 その場で親の敵かって位に地面を踏み込むと、一気にジャンプして、ワタシは一旦空中に逃れた。


 直後に風系魔法も励起して、跳躍を支援する。


「うへっ!」


 素晴しい勢いで飛び上がった身体は、風系魔法の支援も受けて、斜め前に40フィート(約12m)近い高さまでフッ飛んだ。


 うわぁ、何か本当にシャレにならない状況だよ、コレ。


 でもお陰で、ちょっと考える隙が出来る。


 普通に考えれば、今の状態はある種の魔力症が発症してる様な状況だ。


 自分がコントロール出来る範疇を超えて魔法力が涌いてる感じだし、その魔法力がその時最も主に使ってる魔法に流れ込んでるって所だと思う。


 今現在だと、それは肉体を操る身体魔法になる。


 ワタシの身体魔法は身体強化じゃなくて「身体制御」だから、肉体の全てがコントロール不可な位にブーストされちゃって、感覚が全く追い付いてないって所だ。


 ぬにゅう。結構マズい状態だとは思うけど、コレって、もしかしたら何とかなるかも知んない。


 感覚を元に思考して身体を制御する事が追い付かないんなら、その行為自体の時間に余裕を作ってやれば良いんじゃないかと思うんだよね。


 要するに思考加速の魔法を使えば良いんじゃないかって事だ。


 取り敢えずの結論を出したワタシは、思考加速の魔法を今出来る全力の半分以下の出力で励起した。


 効果は大分薄れるけど、この程度なら20分以上保つ(長時間やると脳とそれ以外の肉体のバランスが取り難くなる)と思う。


「あれ?」


 思考加速の魔法を励起した直後、何かいとも簡単に、身体中を駆け巡る魔法群を掌握出来ちゃって驚く。


 だって何と言うのか、肉体の隅々まで各種の魔法が作用してるのが、感覚的にきっちりと把握出来ちゃう感じで、今までの状態がウソの様に簡単に制御出来ちゃうんですよ。


 コレ、ちょっと凄いわ。


 ぬうう。思考に速度的な余裕が出来るって、こんなに出来る事が広がるとは思わなかったよっ


 今までに色々と実験はやってたけど、実戦で使うのはほぼ初めてだったし、観点が違った(悪影響を探る事が主眼だった)から、こんな効果には気が付かなかった。


 にゅふふふ。今まで結構真剣にアセってたせいか、こうなると逆に心に余裕が出来ちゃいますな。


 ふと周囲に目をやると、ワタシは未だ空中の結構な高さに居た。


 眼下を見れば、トカゲ野郎共がもっさりと動いてるのが見えて、ちょっと笑う。


 うーん。この感じだと、加速の度合いがほとんど倍速に近い気がするね。魔法力が溢れてるせいで、思考加速の魔法まで強くなっちゃってる感じかな。


 空気自体にも若干の抵抗を感じるし、ほぼ間違いは無いと思う。


 前はこのクラスまで加速した場合、結構身体制御がムズかった筈なのになぁ。


 幼女化ボディの高機能っぷりのお陰か、まだまだ全然余裕があるし、バランスもばっちり取れてるから、実験も兼ねて何処までやれるか試してみるのもイイかも知んない。


 風系魔法の支援のせいか、とってもゆっくりと降下して行く感じの中、ワタシは改めて気合を入れ直した。


本日もこの辺で終わりにさせて頂きます。

読んで頂いた方、有難う御座いました。


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