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049話

すみません。今までの設定っぽい物を纏めようと思ったのですが、何かちゃんと纏まらない上に結構な量になってしまいまして・・・。少しずつこの小説とは別枠で出して行きますので、それで勘弁して下さい。


「はぁ」


 ワタシは、名前の上に白い小さな星が付いた討伐士章を見ながら、溜め息をついた。


 こんなの初めて見たけど、どうもこの表示が世間で言う「ザ・ブレイブ」の証らしい。


 討伐士協会が出す勲章の中ではほぼ最高位のモノで、これの上はグランツさんとかが持ってるヤツだけだ。


 これを持ってると、何処の支局や支部に行っても扱いが凄いって話だけは聞いた事があるけど、まさか自分がそんなのを貰うとは思わなかったよ。


 なんでこんな大それた勲章を貰う事になったかと言えば、それは偏に、この件で全権を持つ金ぴか阿呆改め、フェリクス・バルリエ卿のせいだ。


「おいおい、単独一等功だぞ? しかも一日で魔物千体斬りの偉業まで成し遂げたってのに、星の一つも付かないなんてバカな話があるかよ!」


 あのおっさんが、そんな風に言ってグイグイ押して来ちゃったからなんだよねぇ。


 こっちはもう、ししょーの事で頭の中がグルグルしてたから、碌な反論も出来なかったし。


「987体ですよ! 千体じゃないですぅ!!」


 目の前に配られた討伐戦果リザルト表を見て、辛うじてそう主張するのが精一杯でしたよ。


 勿論そんなワタシの主張は一蹴されて、何か速攻で討伐士章が持って行かれて、書き換えられちゃいました。


 しかも今夜、町を上げてのスタンピード終結祝いの大宴会って言うか、祭りみたいなのが行われるらしいんだけど、それの頭でワタシは表彰されるんだそうだ。


 何の罰ゲームだよっつーの。


「はぁぁ」


 なんか溜め息しか出ないわ。


 ししょーの件とか、完全にトんじゃいましたよ。


 しかし・・・まあ987体もヤっちゃったんだから、悪いのは自分なんだよなぁ。


 北門の時なんか、完全にノリノリだったし。


 今も手に持ったままの討伐戦果リザルト表を見ると「北門前での討伐戦果・824」とかって書いてあるしねぇ。


 この「ノリで行っちゃう性格」は何とかしないと、後々エラい目に会う様な気がしますわ。


 ちなみに、この上位五名サマのリザルト表は、もう既に代官所前に、デカデカと貼り出されてるんだそうですよ。


 当然ブッ千切りの首位であるワタシは、二位のドニさんとはケタが一つ違う。


「リーズはもう知ってるんだろうなぁ・・・」


 リーズにまたお目目をキラキラさせて見られちゃうんじゃないかと思うと、それも結構憂鬱だよ。


「オイオイ。アレの英雄様が、なーにをこんなトコで黄昏てやがんだよ?」 


 にゅう。気が付かない内に、フェリクスのおっさんが近くまで来てた。


「はぁぁぁ」


 思いっきり、溜め息で返してやるわ。誰の所為だと思ってるんだっつーの。


「おーい、まだ師匠の事を根に持ってんのか? いい加減に許してやれよ」


 別にししょーの事じゃ無いよ。アンタがくれた勲章の事だってのっ。


「ししょーの件より、勲章の件だよ!」


 下から見上げる様にして半眼でおっさんを睨む。


「おいおい。現物は表彰式の時に渡すって言ったろ? ま、俺が昔貰ったヤツだが、野戦叙勲ってのはそう言うモンだし、その方が箔が付くぜ」


 おっさんはワタシの睨みを無視する様に隣に来て、塀に寄りかかると、腕組みをして昼下がりの空を見上げた。


「現物の話とかじゃなくってさぁ。もう少し手加減出来なかったワケ?」


「ああ? まだ言ってやがるのかよ。俺は別に変な判断してねえぞ? 本部からも速攻でOKが出たし、規定路線なんだ。諦めな」


「諦める様な話だって言う事は、理解してくれてるワケなんだ」


「まーな。何処の御落胤サマかは知らねえが、どーせまだ目立ちたく無いとかって言うんだろ?」


 むう。このおっさん、それなりにはワタシの気持ちを察してくれてはいるらしい。


「だがな。こんな戦果を出しちまったら、もうお前は『誰も知らない少女A』じゃ済まねぇ。噂は噂を呼ぶぜ? だったら、今の内に『噂の主』として世の中にデビューしちまうこった。結果的にその事実がお前を守る事になるだろうよ」


 6フィート4インチ(約195cm)はあるだろうおっさんが、こっちを諭すような目で見下ろして来る。


 言いたい事は事は判るし、確かにタダの「御落胤」だったらそうかも知れんけど、ワタシの場合はもうちょっと複雑だからなぁ。


「確かにね。実際ヤっちゃった事は事実だし、ワタシへの対価が薄ければ、他の人にも迷惑が掛かるもんな」


 でも余計な事は言えないんで、ワタシが諦めた様に肩を竦めて目を逸らすと、おっさんは何やら小さな物を手渡して来た。


「こいつを持っとけ。最悪は協会に逃げ込んじまえばイイ」


 見るとそれはおっさんの印章指輪だった。無論金製だ。


「んー。有難うって言っておくけど、イイの?」


 ちょっと驚いておっさんを見上げると、おっさんは「心外だ」ってポーズを返して来た。


「お前みたいなヤツは、その内に絶対デケえ事件をやらかして、世の中に身の置き所が無くなるんだよ。だがその腕なら、協会は文句無しでウエルカムだ。そう言う意思表示だと思っててくれ」


「なーんか、経験者は語るって感じで、実感アリアリに聞こえるんだけど」


 思わず思った事を口にすると、おっさんは妙なポーズを辞めて、苦笑しながらこっちを見た。


「まーなぁ。俺も昔、おエラいさんの貴族共とヤらかし捲くってな。グランツのじーさまに拾って貰ったクチさ」


「英雄グランツェン?」


 ほほう。英雄サマに拾って貰ったって事は、やっぱこのおっさん、相当な使い手なんだね。


 さっきの件は、少し惜しかったかも知んない。


 ちょっとヤり合ってみたかったな。


「その英雄サマだな。未だに協会総裁を張ってるし、9割を超える支持がある主流派でもあるんだぜ? つまり俺も主流派の一人ってワケだから安心しとけ」


 主流派ねぇ。


 自慢げな態度で胸を張るおっさんがちょっとキモいけど、討伐士協会がかなりの結束を保ってるって話は、ししょーにも聞かされた話だ。


 ワタシは一つ頷いてみせると、おっさんの指輪をインベントリに仕舞った。


 しっかしコレで、金の印章指輪は自前を抜いても3つ目ですよ。


 何か段々と大事になって来た気がするよなぁ。


「で、わざわざワタシの所に来たって事は、何か別に話があるんじゃないの?」


 クイっとおっさんの方に顔を上げると、おっさんが気が付いた様に手を打った。


「おおっ。まぁそうなんだが、ちょっとここじゃ話し難い話でな。悪いが俺の車まで付き合ってくれるか?」


 そう言うが早いか、こっちの返事も待たずに、おっさんは急にさっさと歩き出した。


 一瞬、どうしようかと思ったけど、しょうがないから付いて行く。


 改めて見ると、支部の広い裏庭は討伐軍の車両で埋まってて、かなりみっちみちって感じだ。


 その間をスルスルと歩いて行くおっさんが、一際デカい自走車両の前で止まると、長い図体の真ん中辺にある入り口らしき扉に手を当てて、扉を開いた。


「取り敢えず入ってくれ。さすがに余り人に聞かれたくない話なんでな。それに会わせたい人物も居る」


 多少危機感も感じたけど、さっさと中に入っちゃったおっさんに続いて、ワタシも鋼鉄の塊みたいな車両の中に入る。


「ふへぇ」


 中に入って、すぐまたあった扉を潜ると、そこはまるで小さな貴族の執務室だった。


 幅は9フィート(約274cm)、長さは18フィート(約549cm)位あるんじゃないかな。


 ワタシ達が入った扉は長方形の部屋の長辺のド真ん中で、向かってまん前には執務机風の高級そうな机があり、入り口脇から左右には、作り付けのこれまた高そうなソファーが鎮座していた。


 更に左右を見ると、左右の奥にも小さな扉がある。これは運転側に通じる扉と、反対側は非常口か何かかね。


 内装は壁面の貴族趣味な細工に始まって、扉つきの棚やらソファー前のローテーブルやら、何から何まで高級品の豪華尽くしだ。


「かなり小っ恥ずかしいんだが、戦場で貴族共と協議をする事もあるんでな。舐められない為らしい」


 成る程ねぇと思いつつ、勧められるのを待たずに、さっさとソファーに座る。


「何か飲むか? と言っても、酒しか無いけどな」


 おっさんは執務机の向こう側に座ると、何時の間に出したのか、グラスとワインボトルを机の上に置いて、こっちにも別のグラスを差し出した。


「飲み物とか別にイイよ。それより話って?」


 取り敢えず、昼からワインなんてお断りだし、何より話ってヤツが気になるよね。


「そうか? じゃあ悪いがこっちは飲ませて貰うぜ」


 ワタシがそう言うと、おっさんはさっさと自分のグラスに白いワインを注いで、机の下に手を伸ばした。


 すると、何か微かにブザーの様な音が右奥の扉の方からして、その扉が勢い良くバーンと開いた。


「にょほほほっ、やっと追い付きましたよぉ、お嬢様ぁ」


 うげっ!!


 こ、この妙ちくりんな笑い声は!?


 扉の向こうから声の主がゆっくりと姿を現して、ワタシはマジで驚いた。


 だってそこに居たのは、未だマルシルに居る筈の、例の昔からの側仕えのだったからだ。


「げっ、レティ!!」


 思わず仰け反って固まったワタシに、そのレティが突撃して来た。


「げふぅっ!」


 お腹に頭突きを食らって、変な声と共に更に仰け反る。


 マ、マジなの、この展開っ!?


「酷いですぅっ! このレティを置き去りにするなんてぇ!!」


 目茶目茶ヤバいっ! なんちゃって侍女の次は、本物の侍女が来ちゃいましたよ!!


「お嬢様、お嬢様、おじょーさまぁー!」


 人が腹に思いっきり頭突きを食らって吐きそうになってるってのに、レティのヤツはそのまま抱き付いて来て、グリグリと更に頭を押し付けて来る。


 だぁー! ったく、大人しくしろってのっ!!


 何かくんかくんかと匂いまで嗅ぎ出したレティの頭に肘をブチ込んで黙らせると、ワタシはおっさんの方を見た。


「やっぱりお前さんの関係者か。ちょっとトンデモ無いエラ方さんの印章持ちだったんで、取り敢えず連れて来たんだが、正解だったみてえだな」


 ワタシと目が合うと、おっさんは何かとっても面白いモノを見た様な顔で、ニヤ付きながらそう言った。


「エラ方さん?」


 ああ、なんかすっごくイヤな予感がバリバリするんですけど。


「ああ、マルシルでも指折りの大物、ロスコー伯ブロイ様のヤツだ。知ってるか?」


 うへぇ。そう来るのかぁ!


 あの父上がこんな超直球ド真ん中で来るとは思わなかったよっ。


 ぬにゅううう。もしかしてこのおっさん、コレを見越してワタシに「協会へ来い」って言ってくれたのかね。


 まだニヤニヤしてるおっさんは、だけどそんな素振りを毛ほども見せない。


 うーん。このおっさん、やっぱりそこまでワタシの真実に明るそうって感じでもないんだけどねぇ。


 どっちにしろ、これは大ピンチですよ。


 レティに捕まった以上、コレはもう父上に捕まったも同然だし、ワタシの旅もこれでもう一旦終了って感じなのかなぁ。


本日もこの辺で終わりにさせて頂きます。

読んで頂いた方、有難う御座いました。

なお、明日も投稿する予定です。


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