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「ただの経費削減ですが?」〜銀河最弱の補給艦隊が、俺の「在庫管理」で最強になったようです〜  作者: 架木 空
アストラの辺境開拓

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第59話 迎えのメリア

 クロス・フロンティアの大気を浄化する植物、ノーティティスの栽培計画は順調だった。

 倉庫の周囲は、いたるところに植えられたノーティティスの浄化効果により、マスクなしで活動可能となっていた。


「ヘルディナンド、もっと範囲を広げるんだ。この周りに街ができるくらいにな!」


 街ができるまで……。おそらく途方もなく時間がかかるだろうが、俺は本気だ。継続は力なり。コンビニが来るまで続けるぞ。

 俺がそう決意したとき、空から蒼い機体の一人乗り装甲突撃機が飛んできて、10メートルくらい離れたところに着陸した。メリアだ。

 メリアはキャノピーを開けて機体から降りると、俺の前まで歩いてきた。


「アストラさん、皇帝がお呼びです。すぐに来てください」


「〝すぐに〟って言ったって、俺は移動手段を持っていないしな……」


 そう答える俺を無視して、メリアが俺の背中をグイグイと押す。

 力強いなこいつ。


「後ろに乗ってください」


「お前、これ一人乗りだろうが」


「ギリギリなんとかなります」


「いや、待て! 狭いだろうが!」


 俺は抵抗することも出来ず、機体の前まで連れてこられた。

 メリアはそのままの勢いで、俺の股に腕をくぐらせて持ち上げた。


「いいから! つべこべ言わず早く乗って!」


「おい待て持ち上げるなって!」


 メリアは、俺を機体の中に放り込み、自分も乗り込んできた。

 狭い。俺の腕に、メリアのおしりがぶつかった。


「きゃっ……! 次に変なところ触ったら殺しますよ!」


「お前が無理やり乗り込もうとするからだろうが! 不可抗力だ!」


 メリアは、俺を睨みながらキャノピーを閉めると、装甲突撃機のスロットルを全開にする。

 蒼い機体が強く震えたかと思うと、強い衝撃とともに強烈なGが俺の体を襲った。


「ギャァァァ! 速過ぎるぞ! 怖い!」


「うるさいですよ! 怖いのは最初だけです! ちょっと我慢してください!」


 ◇


 数十分後、俺は皇帝の前にひざまずいていた。足腰はガクガクし、頭はふらふらだ。


「アストラ君、良くきてくれた。早かったな、明日くらいになるだろうと思っていたが」


「私が急がせましたので」


「うむ」


 くそ! 急ぐ必要なかったんじゃねぇか。

 若干ガクガク震えながらひざまずく俺に、皇帝が話しかけてきた。


「今回来てもらったのは、クロス・フロンティア星の今後のことについてだ」


「星の今後? 倉庫ではなく……ですか?」


「あぁ。それは君にも関わることだ。君をクロス・フロンティア星の統轄者に任命しようと考えている」


 統轄者? それはさすがに荷が重い。

 のんびりと生きていきたい俺は、なんとか断る方法を考えていた。


「統轄者ですか……そのような大役、私に務まるでしょうか?」


「君なら問題なかろう。君も近い内にエライアちゅあんと、その……所帯をな……」


 エライアの正体? それはすでに知っているが……。


「正体ですか……。それはまぁ、承知していますが……」


 目の前でメリアがギリギリと奥歯を噛み締めている。

 なんだ? 歯の間に何か挟まったのか?


「やはり君も同じ考えであったか! さっそく、クロス・フロンティア星への移住者を募ろう! ただ、あそこは大気の状態が良くないので、巨大な空気清浄機を建設せねばならんがの」


 なんだよ同じ考えって!? 全然話が噛み合ってない気がするぞ!

 どんどん話が進んでいくこの状況で、どうやって断ればいいのかわからない俺は、とりあえず話を合わせることにした。


「大気の問題であれば間もなく解決しますよ。倉庫の周りはすでにマスク無しで活動可能になっていますし、その範囲も拡大中です」


「なんと!? そこまで先回りしているとは!? さすが私が見込んだ男だ!」


 偶然だよ! 先回りなんて、ガキの頃逃げた犬を捕まえるときくらいしかしたことねぇわ!


「い、いえ。そのような大したものでは……」


「謙遜しなくてよい。あ、そうそう。来期付けで統轄者に任命するので、4月からは稟議のルートを変更する。君の番は私の直前だ。よろしくな」


「あ、ありがたき幸せ!」


 よしきた! これでもう余分なものは買わせんぞ!

 俺は、すべてを忘れて喜ぶのであった。


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