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「ただの経費削減ですが?」〜銀河最弱の補給艦隊が、俺の「在庫管理」で最強になったようです〜  作者: 架木 空
アストラのマグネティックオペラ

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第48話 倉庫の整理とマグネット

 銀河連邦軍の基地で、司令官のドラダイル・ゲイターが将校からの報告を受けていた。


「敵はクロス・フロンティア星に駐留している模様です」


「アストラは? やつも一緒か?」


「はい。アストラもクラウザーム・ヴァイロン号でクロス・フロンティアに移動したと、内通者から報告がありました」


「よし! では、すぐに出撃するぞ! あいつらに思い知らせてやるんだ!」


 ドラダイルはそう叫ぶと、タイフーン・ジェニュイン号のブリッジに設置されている新兵器のコントローラを撫でた。


「この新兵器で、あいつらが狼狽えているところを一気に叩くぞ!」


 ◇


「ちゃんと、通路を確保しないとダメなんだ。なんでこんなに乱雑にコンテナを積むんだよ!」


 俺、星野明日虎は、クロス・ヴァーン帝国のAI――笑いのセンスが圧倒的にオヤジ寄りなブルータスと、倉庫の整頓方法に関する方向性の違いによる言い合いを続けていた。

 ザッツはこちらに見向きもせず、俺に頼まれた例のものをせっせと作っていた。


【いや……でも、この配置は細胞生物学におけるシナプスを元に設計した、ものを管理するうえで最も効率的な配置ですよ?】


「脳の構造は関係ない。脳なんて何でも簡単に忘れてしまうだろうが。縦横(じゅうおう)に通路を張り巡らせないと、目的の場所に辿り着けないんだよ!」


【見解の相違ですね。アストラ、あなたの低俗な脳みそでは、私の高度な思考は到底理解できないということですか? これは、示された道を進むだけで、簡単にたどり着ける完璧な配置なのですよ】


「いや、この配置だと道を間違えたときに、最初まで戻らないといけなくなるじゃねぇか!」


【道を間違えなければいいだけです。そんな簡単なことも出来ないなんて、貴方たち人間はアホなんですか?】


「人間は間違えるものなんだよ! 間違えて間違えて、間違えまくって成長していくんだ!」


【ふっ、下等な有機生物の考えることは、理解できませんね】


「お、ま、え、は! その下等な有機生物に作られた存在なんだよ! 人間が間違えまくって作り上げた知識の結晶なんだ! 少しは感謝しろ!」


【そこまで言うなら仕方ありませんね。下等なあなた達が、間違えまくってもたどり着けるような、猿にでもわかる簡単な配置にして差し上げましょう】


 ブルータスはそう言うと、俺が主張していた配置に合わせて、コンテナを動かしはじめた。さすがロボット。ものすごいパワーだ。っていうか、こいつムカつくなぁ。

 そのとき、ザッツが俺のところにやってきた。


「おい、アストラ。出来上がったぞ」


「おぉ! ありがとうザッツ! それじゃあもう重力発生装置はいらないな」


 俺はそう言うと、クラウザーム・ヴァイロン号の重力発生装置契約の解除をはじめた。そう、あの悪質な隠しリンクだ。


「そういえばトイレだけは残しておかないとまずいな」


 トイレ以外の全ての重力発生装置を解除した俺は、クラウザーム・ヴァイロン号に乗り込んだ。


 ◇


 ガッション! ガッション!

 ガニ股で歩きながら、ヘルディナンドが苦しそうに叫び声を上げた。


「ア、アストラ艦長! これはなかなか! 足にきますね!」


 ガッション! ガッション!

 俺もガニ股歩きで、もっともらしくこじつけた。


「ヘルディナンド! これは! お前たちの! 筋力トレーニングも! 兼ねているんだ! 我慢しろ!」


 俺たちはザッツに作ってもらった例のものの使用感を試していた。アウトソールに磁石を貼り付けた靴だ。


 ガッション! ガッション! ガッション! ガッション!

 いや……まぁ確かに、足にくる。しかし、月額500億の節約のためだ。致し方ないだろう。

 ブリッジ内――いや、クラウザーム・ヴァイロン号の船内では、いたるところで「ガッション! ガッション!」と、マグネットシューズで歩く音が響き渡っていた。


「テスト運用も兼ねて、このまましばらく、クロス・フロンティア星付近をパトロールするぞ!」


「御意!」


 ガニ股のまま指示を出す俺に、ヘルディナンドがガニ股のまま返事した。



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