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「ただの経費削減ですが?」〜銀河最弱の補給艦隊が、俺の「在庫管理」で最強になったようです〜  作者: 架木 空
アストラのマグネティックオペラ

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第45話 地上の倉庫

「クロス・ヴァーン星と違って、緑が豊かだな。あっちは全部、なんだかよく分からない素材で覆われてるもんな」


 クロス・フロンティア星に着いた俺たちは、倉庫を探して高度1000メートル付近を飛んでいた。

 俺はヘルメットのARディスプレイを起動し、クラウザーム・ヴァイロン号から送られてくる下方を映しているカメラの映像を確認していた。


「ないな。どこだ? この補給倉庫の10倍サイズなら、すぐに見つかりそうなもんだけど……」


 俺は、クラウザーム・ヴァイロン号の甲板に括り付けられた補給倉庫内から、ブリッジにいるヘルディナンドへ無線を入れた。


「ヘルディナンド、ダメだ。見つからん、もっと降りてくれ」


 クラウザーム・ヴァイロン号が、徐々に高度を落としていくと、俺たちが乗っている補給倉庫が少し揺れた。

 エライアとメリア、そしてザッツの3人は、揺れを気にすることもなく、シートの上でピクニック気分のままだ。

 ザッツ、お前は働け。


 200メートル付近まで降りたとき、倉庫が見つからなかった理由がわかった。


「なんだあれは!?」


 地上にあらわれた倉庫らしきものを見た俺は、思わず驚きの声をあげた。

 それは周囲にある背の高い雑草や木々と同化した、1キロ平方メートルの四角っぽい緑色の(かたまり)だった。

 屋根まですっぽりと緑色の蔦に覆われ、外壁がまったく見えなくなっていたのだ。


「カモフラージュ……ではないよな。どんだけ放置してたらこうなるんだ?」


 あのオッサン、まだ現役で使えるって言ってたじゃないか。

 中身ボロボロなんじゃないか?


「とりあえず、補給倉庫を隣に降ろしてくれ」


 無線でヘルディナンドにそう告げると、クラウザーム・ヴァイロン号から、巨大なロボットアームが出てきて、俺たちがいる甲板の上の補給倉庫をガッシリと掴んだ。


 メキメキメキッ!


「おい! 待て! メキメキいってるぞ! もっと優しく掴めよ!」


 バキバキバキバキッ!!


「ちょ、やめろ! 倉庫が壊れる!」


 俺が叫んでいると、無線の向こうからヘルディナンドの間の抜けた声が聞こえた。


『え? なんか言いましたか?』


「いったん止めろ! 倉庫がヤバい!」


『わかりました! 急いで倉庫を降ろしてから船を停めます!』


「違う! そうじゃな――」


 バギィン!


 凄まじい轟音が鳴り響いたかと思うと、俺が立っているすぐ後ろの壁に穴が穿(うが)たれ、倉庫内に入ってきたロボットアームの爪が俺の頭をかすめた。


「あぶっ、おい! 危ないぞ! 倉庫に穴が空いちまったじゃないか!」


 ザッツはこちらを指差しながらゲラゲラ笑っていた。

 笑い事じゃないだろうが! 修繕費がかさむんだよ! そもそも直せるのかこれ!?

 最悪ブルーシートをかけておけばいいか。


 俺がそう思った次の瞬間、倉庫が大きく揺れたあと、強い衝撃が足元から伝わってきた。


 ズスゥゥンン!


 地上に到着だ。

 ロボットアームが倉庫を離すと、壁に空いた大穴から、緑色の雑草と、茶色の土が見えた。

 久しぶりの大地に、俺の心が騒ぐ。大自然だ! うまい空気を胸いっぱいに吸い込みたい!

 俺は、壁の大穴から外に飛び出し、大きく息を吸った。


「くっさ! なんだこの匂い!」


 丸一日運動したあとの脇の臭いと、尿の臭いをブレンドし、安っぽい焼酎で割ったような、なんともいえない悪臭で埋め尽くされていた。

 もっとまともな星はないのかよ!


「おい、アストラ。お前が命知らずなのは知っているが、さすがに死ぬぞ」


 俺が倉庫のほうを振り返ると、ザッツたちは皆ガスマスクのようなものを着けていた。


「ここの大気は毒だからな。1分間吸い続けたら死ぬの知ってんだろ? はい、これ着けろ」


 ザッツが差し出したガスマスクを急いで着けた。もっと早く言えよ!


「どこまで耐えられるかチャレンジするなんて、さすがあなたイカれてるわね」


「ま、まぁな」


 そんなことしねぇよ!

 内心でメリアにツッコみながら、倉庫の入り口を探し始めた。


 外壁から蔦をブチブチと引きちぎりながら探していると、意外にもあっさりと入り口らしき扉が見つかった。


「おっ、あったぞ。ラッキーだな」


 俺がそう言いながら、扉のスイッチを押そうとしたとき、すぐ後ろにいたエライアが楽しそうに声をあげた。


「倉庫の中が楽しみですわ!」


「エライア、よく考えてみろ。これだけ蔦まみれなんだ。相当放置されていたはず。放置する予定の倉庫になにか残していくはずないだろ? どうせ空っぽだぞ。とりあえず、扉を開く動力があればいいんだが……」


 俺がスイッチを押すと、扉の奥でなにかが作動する音が聞こえた。動力はあるらしい。

 その直後、轟音とともに巨大な扉が開きはじめた。




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