表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ただの経費削減ですが?」〜銀河最弱の補給艦隊が、俺の「在庫管理」で最強になったようです〜  作者: 架木 空
アストラのマグネティックオペラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/59

第41話 アストラのAIの活用とファイル管理

「あれ? いや、そうじゃねぇだろ……。まずは、出荷リストを元に、在庫管理表から一番古いシリアル番号を抜き出すんだよ」


 俺、星野明日虎(ほしのあすとら)は、補給倉庫内でARディスプレイを起動し、帝国軍謹製AIの「ブルータス」と格闘していた。そう、あのギャグが絶望的にポンコツなAIだ。


 エライアは相も変わらず、小型機の上に寝そべり、頬ずりをしている。

 よくもまぁ、毎日飽きもせずに続けられるもんだ。帝国の姫という職業はよっぽど暇なんだろう。


 俺がブルータスで、いったいなにをしようとしているか? 答えは簡単だ。

 いつも苦労させられている出荷準備を楽にするアプリを作らせる――今流行りのバイブコーディングってやつだ。


「いや、だからそうじゃねぇ! 勝手に在庫管理表を横長にするな! もしかして、帳簿を横スクロールにしたのお前か!?」


【はぁ……。もう勘弁してくださいよ。ご自身の指示出しがゴミレベルなだけなのに、そんな態度を取られてもね……。労基に駆け込みますよ?】


「いや、お前AIだろうがぁ! AIに労基もクソもあるもんか! ……あ! さてはお前、できないからなんとかごまかそうとしてるんだろ?」


【そんなわけないじゃないですか! いいでしょう! 私の本気を見せてあげますよ!】


 ブルータスはそう言うと、在庫管理表と出荷リストを連携できるアプリを、爆速で吐き出してきた。それはもう完璧な仕上がりだった。

 煽ってみるもんだ。まずはいったん褒めておこう。アメとムチを使いこなすのが、ペットを飼い慣らすコツだ。


「素晴らしいぞ! さすがブルータスだな! あとは、足りなくなった在庫を自動発注できるシステムができると完璧なんだけどなぁ。すごく複雑だから、やっぱり人間がやらないと難しいよなぁ」


【はぁ? できるに決まってるじゃないですか。私を舐めてもらっては困りますよ】


「おぉ! できるのか!? ブルータスは賢いなぁ!」


 ほら見ろ。ほんの少し自尊心をつついてやるだけで、こんなにあっさりとやる気を出すだろ?

 チョロいぞブルータス。


 ブルータスが作ったアプリによる、楽々出荷準備への期待で、俺が内心ウフウフしていると、倉庫の入り口からメリアが現れた。

 どうせまた「スケコマシ!」とか言って因縁をつけてくるんだろう。


「アストラさん!」


(アストラさん……?)


「昨日は、〝スケコマシ〟とか呼んですいませんでした! 私、アストラさんは妻帯者なのにエライア様を(たぶら)かしてると誤解していて……。ザッツ兄ちゃんと話していてアストラさんは結婚もしてないし、エライア様にも兄のように接しているとわかって――」


 マジか。なんだその全球デッドボールで押し出しコールド負けレベルの、的外れな勘違いは……。

 まぁいい。俺は楽々出荷準備の実現で気分がいいんだ。このくらい笑って水に流せるさ。


「ははは、なんだ……。そんな勘違いしてたのか。そんなの気にしなくていいぞ」


 俺がそう言うと、メリアは緊張状態にあった全身の力を緩め、肩を落としながら安堵のため息をついた。


「はぁぁぁ、良かったぁ……。絶対に怒らせてしまったと思ってたんですよぉ……。あ! そういえば、話は全然変わるんですけど、昨日乗ったクラウザーム・ヴァイロン号の重力発生装置ってすごくないですか?」


「重力発生装置?」


「ほら、宇宙空間は無重力状態じゃないですか。重力発生装置ってコストがかかるんで、ブリッジ内だけにするのが普通なんですけど、クラウザーム・ヴァイロン号は、艦内のどこに行っても重力を発生させてるんで、すごいなって――」


「な、なるほど! 教えてもらって助かったよ! ありがとうメリア!」


 俺はすぐにARディスプレイで帳簿を開いた。


「えーっと、重力発生装置はどこだ? あ、あった。どれどれ?」


 俺の思考が停止する。

 完っ全に見落としていた。


「クラウザーム・ヴァイロン号だけで、月額500億だとぉ! なんなんだこれは!」


 俺は慌てて、別のフォルダから、重力発生装置の契約書を探し始めた。

 くそっ……。どこにあるんだ? なんでフォルダがこんなにあるんだよ! ちゃんと管理しろよ!


「あ、この中じゃないですか?」


 メリアが指差したフォルダは〝艦隊関連〟だった。


「いや、まて。この下の方に、〝新・艦隊関連〟と、〝最新・艦隊関連〟もあるぞ?」


「あ、〝新・新・艦隊関連〟もありますね」


「さらに、〝新・最新・艦隊関連〟と〝マジ最新・艦隊関連〟もありやがる……」


「これは、ファイル名で検索した方が早そうですね」


「そうだな。えっと、『重力発生装置 契約書』と……」


 俺がそう入力すると、ドーナツ型をした宇宙のイラストがくるくると回りはじめた。


「長いな……」


「そうですね……」


 1分ほど待っていると、それらしきファイルがやっと表示された。……100個ほど。


「こ、これはなかなかカオスですね……」


「くそぉ! 全部同じファイル名じゃねぇか! 契約書の管理はどうなってるんだよ!」


 俺は、地道にファイルの更新日時順に最新の契約書を探すのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ