表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ただの経費削減ですが?」〜銀河最弱の補給艦隊が、俺の「在庫管理」で最強になったようです〜  作者: 架木 空
姫とメイドとアストラのトライアングル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/59

第39話 AIの軌道計算とプロンプト

(ん? ちょっと待てよ……?)


 俺は、いま頭に浮かんだ懸念を払拭するため、指示出し担当を探すことにした。


「なぁ、ヘルディナンド。AIへの指示出しは誰が担当しているんだ?」


「あそこにいるナビゲーターですが、なにか?」


「あぁ、あの漫画を読んでたあいつか。ちょっと気になることがあってな」


 俺は、鼻歌まじりで下を向いてなにかをしているナビゲーターに近づいた。


「なぁ、ちょっと聞きたいんだが……って漫画読んでんじゃねぇか!」


 ナビゲーターは、デスクの下に隠して読んでいた漫画を閉じながら、平静を装った。

 まったく装えてないがな。


「は、はひぃぃ! な、なんでありますか!?」


「AIへの軌道計算の指示出しは、ちゃんとハルシネーションが起こりにくいプロンプトを書いているのか?」


 俺の質問を聞いたナビゲーターは、目を点にして首を捻った。


「ぷろん、ぷと?」


 あぁ……ダメだこいつ。

 このままでは、ハルシネーションによりクラウザーム・ヴァイロン号が木っ端微塵になる未来しか見えない……。


「あのな、プロンプトっていうのは、AIへの指示出しをするのに、すごく重要なんだ。まず、役割を与え――」


 俺がそう言いかけたとき、少し音割れしている「ピロンッ」という軽快だが間の抜けた音が鳴った。


【計算終了しました……と、思ったけど、間違いを見つけたので、再計算します】


「今の情報要らないだろ! 余計に不安になるわ!」


「あ、役割ならちゃんと与えていますよ」


 なるほど。クロス・ヴァーン帝国では〝プロンプト〟という呼び名じゃないということか。

 俺が画面を確認すると、そこには次のように書かれていた。


――――――――――――――――――――――――

 あなたは優秀なコメディアンです。グルザーム・トライアングルを面白おかしく脱出できるように、ところどころでギャグを挟みつつ、最終的に爆発的なオチを用意するように、軌道計算を行ってください。

――――――――――――――――――――――――


「おい! 与える役割が間違ってんぞ! これじゃあ俺達が最終的に爆発するオチになっちまうだろ! ハルシネーションどころの騒ぎじゃない! あと、途中でギャグもいらん!」


「え? そうですか? こっちの方が面白いかと思って……」


「いまは面白さは要らないんだよ! こんのアホンダラァ! 今すぐやり直せぇ!」


「は、はひぃ!」


 ナビゲーターがそう悲鳴混じりの返事をしたとき、AIから「ピロンッ」と間の抜けた音が聞こえてきた。


【軌道計算が終了しました。すぐに出発します】


「おい! 待て! やり直せ! 止めろ!」


 慌てて止めようとする俺の肩をポンッと叩きながら、ヘルディナンドが静かに口を開いた。


「もう、止められませんね。あきらめましょう」


「おま……なんでそんなに冷静なんだよ! 爆発的なオチが待っているんだぞ!」


「えぇ、すごく楽しみです」


「なんにも楽しみじゃない!」


 俺がそう叫んだとき、AIの音声が聞こえた。


【これより、出力全開でグルザームβの重力圏に入ります。アクセルベタ踏みです。βにベタ踏み……うぷぷぷぷ】


「くだらねぇダジャレじゃねぇか! 優秀なコメディアンなんだろうが! 爆発的なオチはどこいったんだよ! このポンコツAIがぁ!」


 叫ぶ俺と、隣でなぜか爆笑しているヘルディナンドを置き去りにして、クラウザーム・ヴァイロン号がグルザームβでスイングバイを行い始めた。


 待て待て待て! 落ちる落ちる落ちる! 一万分の一度だぞ! あんなポンコツAI、絶対計算間違いしてるだろうが!


 俺の恐怖心をよそに、そのままの勢いでγを一回りし、何事もなくαをぐるりと回ると、帰路に就くのであった。


 どうやらコメディアンとしては三流だが、計算は一流だったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ