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「ただの経費削減ですが?」〜銀河最弱の補給艦隊が、俺の「在庫管理」で最強になったようです〜  作者: 架木 空
姫とメイドとアストラのトライアングル

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第36話 一撃の威力と二発目の拡散

 クラウザーム・ヴァイロン号の砲身が青白い光を放つと、まるで雲の切れ間から差し込む太陽光線のような、極太の青白い光の柱が前方に向け、真っすぐ飛んでいった。


 バシュウゥゥゥゥッ!!!


(うお! やっば……想像以上だな)


 あんなものが当たったら、どんな戦艦であろうとひとたまりもないだろう。

 威嚇射撃にしておいて正解だ。

 予想だにしていなかった、プラズマ・ウェーブ・キャノンの威力と、その美しさに目を奪われている俺に、ヘルディナンドが伺いを立ててきた。


「アストラ艦長、次弾はいかがしますか?」


「ん? あぁ、じゃあもう一発は、2番目に大きい敵に威嚇射撃しろ。まずは相手の出方を(うかが)うんだ」


「御意!」


 なるべく人は殺したくない。平和な日本で生まれ育った俺が、そう思うのは当たり前のことだろう。


 クラウザーム・ヴァイロン号は、次弾の発射準備に入った。


 ◇


 銀河連邦軍の主力艦、タイフーン・ジェニュイン号のブリッジは静まり返っていた。

 艦はグルザーム・トライアングルの手前で停止。

 ブリッジ内の全員が、手元のレーダーや正面の大型ディスプレイを見ながら固唾を呑んでクラウザーム・ヴァイロン号の出方を窺っている。

 そのとき、司令官のドラダイルが声を上げた。


「お、おい! グルザームβの脇で急停止したぞ! イカれてやがる!」


 グルザームβは、グルザーム・トライアングルの中でもひときわ大きな恒星。つまり、一番重力が大きい危険な恒星だ。

 ざわつきだしたブリッジに、無線連絡が入った。サイクロン・ドログリーのムワルグだ。


『ドラダイル、だから言っただろう。アストラは狂人なんだ。ヤツの行動を予測できるはずなどないんだよ』


「うるさい! 臆病風に吹かれたヤツは黙っていろ! オレは、あんな野郎を恐れたりせんぞ!」


 ドラダイルがそう言い終わると同時に、レーダーオペレーターが叫び声を上げた。


「大変です! クラウザーム・ヴァイロン号から、何かがこちらに向けて発射されました! ものすごいスピードです! 回避行動は間に合いません!」


「なんだと!?」


 正面に小さな青白い光がちらついたかと思うと、その光がみるみるうちに大きくなっていった。

 そのあまりの光景に、ドラダイルは叫び声を上げずにはいられなかった。


「うおぉぉぉぉぉ!!」


 直径20メートルはあろうかと思われる青白い光の柱は、高速で戦艦の脇をすり抜けていき、はるか後方にあった小惑星の半分を削り取った。


「くっ……な、なんて威力だ! あ、焦らせやがって……外しやがった……ふ、ふはは」


 ドラダイルは安堵のため息をついた。


 ◇


 一方その頃。


 俺の目の前で、クラウザーム・ヴァイロン号の砲身が、再度青白い光を放っていた。しかし、先ほどの1発目のときと何やら様子が違うように思えた。

 青い光を放つ範囲が広いのだ。


(なんだ? いまいち収束できてないような……?)


 俺がそう思ったちょうどそのとき、タクティカルオペレーターの叫声(きょうせい)がブリッジに響き渡った。


「失敗です! 砲身内の磁場が崩壊しました! プラズマエネルギーの指向性を制御しきれません!」


 いや、そんな専門用語で言われたってわからんわ。


「で? どうなる?」


「プラズマが全方向に放出されます! 広範囲に強力な電磁パルスが発生します!」


 だから専門用語はやめろよ。自慢じゃないが、俺は化学の成績は悪かったんだ! 文系なんだよ! それでどうなるか知りたいんだ! ……仕方ない。いつものように強がろう。


「な、なるほどな。か、完璧に予定通りだ……」


 その俺の言葉を聞いたヘルディナンドが、目を丸くした。うん、いつも通りの反応だな。


「な……! ア、アストラ艦長は、はじめからEMP攻撃を仕掛けるおつもりだったのですね!?」


 そのヘルディナンドの声を聞いたメリアがガタンッと音を立てて立ち上が――ろうとしたが、シートベルトに阻まれ椅子に逆戻りした。そして、椅子に座ったまま、大声を上げた。


「なんだと!? スケコマシ、それは本当なのか!?」


 EMP? それって、たしか相手の計器を狂わす的なやつだったよな? 俺はそのまま肯定することにした。良いことなら成り行きに任せる。それがこの俺、明日虎の流儀だ。


「……あぁ。もちろんだ。全て計画通りさ」


 俺がそう言ったとき、砲身に集まっていた青白い光が急激に強くなると、全方向に向けて光が拡散した。

 クラウザーム・ヴァイロン号を中心に、強力な電磁パルスが広がっていくのであった。


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