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JK望月 香美の渦  作者: 葉月 優奈
四話:俺は望月を守ってもいいのだろうか
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望月は、疲れた顔を見せていた。

足元がふらつき、汗を尋常じゃない量をかいていた望月。


でも、目には力があった。

魔方陣の中にいたときの彼女と、そこが大きく違う。

彼女は猫魔術にかかっていなかった。


「あなたは、あたしをそんな風に見ていたんですか?」

「違う、望月……」

「そうですか?」

冷めた顔を見せた望月。

うろたえる生徒会長には、もう威厳はない。

威厳も、風格も、陽キャラのオーラも、生徒会長から感じられなくなった。


「俺はお前のために……お前が永遠に若ければいいと思ったから」

「あなたは最低ですね」

望月の強烈な一言、これには生徒会長も黙ってしまった。

そんな望月は、俺の方を向いてきた。


「学原君」

「望月……」

「ご迷惑を、おかけしました!」

望月は、俺に対して深々と頭を下げた。


「望月、謝る必要はないよ」望月は俺を見ていた。

「いえ、あたしの彼氏がやったことなので。ごめんなさい」

「いいよ、気にしていないし。

君だって知らないうちに、生徒会長に寝かされていたんだろう。

『猫魔術』の記憶操作だから、これは仕方ない」

俺は分厚い本から、記憶操作のページを開いていた。

甘い香りで、昏睡状態にして記憶を朧気にする猫魔術。

猫の目玉が一個必要で、これを封じ込める煙玉の作り方も書いてあった。


「それに、電話でも言ったとおり。君も俺も被害者だ。

そして、そこにいる生徒会長も」

「俺もか?」崩れ落ちた生徒会長が、思わず顔を上げた。

「ああ、この魔術に取り憑かれた被害者。

もし俺もこの本を、高校生で手に入れたら……俺も同じように魔術を利用していろいろ試したくなるだろう。

いろんなことができるから……ね」

「でも、アオイは絶対に許さないけど。

ガトの視力と髭を奪った、憎きアンタを」

当然のこととしてアオイは、憤っていた。


そうだ、アオイには大きな被害があった。

ガトの仇を討つ、この為に彼女は来た。

猫魔術に必要な猫の髭と目玉、奪ったのは生徒会長だ。

当然アオイは顔を真っ赤にして、生徒会長に詰め寄った。


「あなたのせいで……ガトは視力を失ったのよ!

絶対にあなただけは、許さないから!」

怒りに満ちた目で、生徒会長を睨んでいた葵。

そのまま、葵が生徒会長の顎を掴んだ。


「責任、取ってもらうから!」

「ごめんなさい」

「ごめんで、済むかっ!」

葵が生徒会長と言い合う中で、俺の前には望月がいた。

殴ろうとする手を俺は掴んだ。


「葵、その辺にしておけ」

「わかったわよ」葵は素直に俺に従った。

俺は手を離し、ぐったりとした生徒会長はその場に崩れていた。


「あの……」

「ん?」

「学原君って、どうしてあたしを助けてくれたんですか?」

「それは……」

望月の質問に、俺が言葉に詰まった。


望月も、照れた顔で俺の顔を見上げていた。

少し背が高い俺と、背が低い望月。

満月が照らす中、空には俺にしか見えない渦。


そんなときだった、空の渦から一つの光の球が現れた。

発生した光の球が、そのまま俺の目の前の望月に吸い込まれていく。


「望月……」

「ありがとう、学原君」

目の前の望月が、裏山ベンチの赤ん坊の顔と重なって見えていた。

望月 香美は笑顔で、俺に感謝を伝えていた。



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