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JK望月 香美の渦  作者: 葉月 優奈
四話:俺は望月を守ってもいいのだろうか
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生徒会室の空気は、ピリリとしていた。

目の前にいるのは、生徒会長だ。彼の登場で空気が変わった。

俺の事を、穏やかな目で見ている。

だけど、はっきりと俺の事を疑っていた。


(これはチャンスだし、ピンチだ)

生徒会長は、俺がここにいることに明らかに違和感があるようだ。

だけど、俺はそれでもチャンスだと思うことにした。

望月に最も近く、最もよく分からない男。

彼が、何をしようとしているのかを探るにはここしかない。


「さて、まずは昨日だけど……君は学校にきていたかい?」

「俺は学校を休んでいない……」

「そうか、君はD組だって言っていたよな?

俺の彼女を、勿論知っているか?」

「望月さん?だったよね?」

「うん、有名だからね」

自慢げに、言い放つ生徒会長。

俺はムッとしていた。というのも、ここには唐園がいたからだ。


だけど、俺の真正面にいる唐園はボーっとしていた。

表情は、何も無い。無の表情。

あれほど好きな生徒会長がいるのに、感情が無いように俺から見えた。


「あれ、唐園?」

「彼女はいつもこんな感じだ。君が、気にすることは無い」

「そうか」だけど、それは嘘だ。

生徒会長を大事に思い、好きだと思っている唐園が生徒会長を目の当たりにしておとなしいのはあり得なかった。

だけど、そこをこれ以上追求しない。


(そうか、唐園は記憶が無いのはこれか)

俺は彼女の少し前に言った言葉を、思い出して理解した。


「で、話を戻すけど……君のクラスに昨日望月はいたか?」

「昨日か……いなかったけど」

「そうか、原因は何か分かるかな?」

「さあ、知りません。体調不良かなんかじゃ無いんですか?

俺はクラスメイトであっても、親しくはないですし」

「まあ、そんな感じだろうね」

人を怒らせるのが、上手い男だ。いや、おそらくこれも生徒会長の挑発だ。

だけど、ここは大人の対応で俺は表情に出さない。


「ああ、夢女。少し寒いね、窓を閉めてくれないか?」

「はい」立ち上がった唐園は、窓をしっかり閉めていた。

ドアも閉まっていて、生徒会室は完全な密室だ。


「なんのつもりですか?」

「いえ、ちょっと雰囲気を変えようと思ってね」

生徒会長も、席を立っていた。

そのまま、床に置かれた自分の通学カバンを探していた。


「あった、これだ」

そこに取り出したのは、小型のデジタルカメラだ。

カメラを持ったまま俺のそばに、生徒会長がゆっくりときていた。

そのまま俺のそばで、カメラの中に入った一枚の写真を見せていた。


「この建物を、君は知っているか?」

それは、見覚えがある風景だ。


望月の住んでいた、駅近くの赤い高層マンション。派手な外観で、目立つ建物だ。

一度見たら、忘れることの無い建物だ。

同時に記憶が思い出されて、頭が痛い。


間違いない、蛭地生徒会長は俺を疑っていた。

俺の反応を見ている生徒会長の前で、俺はある反応を示した。


「初めて見る……」

「それだけか?」

「うん」落ち着いた顔で、俺は答えた。

だけど、俺の頭は一気に痛くなっていた。

頭痛だ、割れるほどに頭が痛い。痛さが押し寄せてきた。


(だめだ、ここは根性で耐えろ。俺が耐えるんだ)

頭痛が起っていることを悟られたら、気づかれてしまう。

だから、この生徒会長に絶対悟られてはいけない。


「本当にか?」

「ああ、知らない」

俺は必死に耐えていた。

しつこく聞いてきて、俺は頭痛が痛い。それでも、平静を装い、耐えていた。

その後、生徒会長がカメラをようやくしまってくれた。


「まあ、知らないならいいだろう」

「はい」それでも、俺は表情を変えなかった。

苦しかった、痛かった。

だけど、頭痛を悟られること無く俺は耐えきった。

涼しい顔で、生徒会室を真っ直ぐ見ていた。


「何か、あるんですか?」

「いや、特にはね。君が、香美と知り合いかどうかを知りたかったんだよ。

ほら、俺はこうみえても彼氏だろう」

「僻みっすか?」

「まあ、そんなところ。でも、君には申し訳ないことをしたね」

「生徒会長」俺は抑揚も無い言葉で、言い出した。


「なんだい?」

「生徒会長は、本当に望月さんが好きなんですか?」

「おや、それを聞く?」

「ええ、是非とも聞きたいと思って。そんなに言うのだから」

俺は生徒会長の本心を、聞いてみなかった。

それは、どうしても聞きたい質問だった。


「ああ、大好きだよ」

「どれぐらいですか?」

「世界で一番、愛している。俺は彼氏だからな」

その言葉に、嘘偽りは無いと感じた。

無いけど、その言葉に狂気的な何かが感じた。


「話は、それだけかな?」

「ええ、分かりました」

「それじゃあ、ここまでにしようか。夢女」

「はい」唐園が反応し、ドアを開けていた。

そのまま、俺に出ろと言わんばかりに唐園が促してきた。



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