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俺の中で、何かが起っていた。
昨日、俺の身に何かがあったようだ。
あったけど、それを思い出すことができない。
モヤモヤしながらも、俺は教室で授業を受けていた。
二限目は、現国だ。
いつも通りの教室の授業風景。
この日、望月はいつも通り学校に来ていた。
相変わらずのクラスのアイドルは、周りの男女問わずに人気だ。
これは、いつも通りの風景だ。遠くから見る望月 香美に、異変はどこも感じない。
(何もおかしいことは無いよな、クラスに望月がいて、葵がいて、聖也がいる。
何もおかしな事は無い、変なことは……あれぐらいだ)
教室の窓から見える、黒い渦だ。
今日の渦は、一段と早くなっているように見えた。
(さて、今日も望月の事を守らないとな……って言っても、何から守るのだろうか)
望月が失踪するまで、あと五日。
だけど、見えている望月には今のところ別段変化は無い。
赤ん坊になるのなら、何かが予兆があっても不思議では無い。
だけど、今の望月には身体的な異常は見られなかった。
くそっ、相変わらず今日もかわいい。光のオーラを、彼女の回りに纏っているようだ。
それでも、普通に授業を受けている俺。
「ん?」俺の後ろの席の男子が、俺の事をシャーペンでつつく。
その男子の方を振り返ると、葵がその先に笑顔を見せていた。
男子生徒が、ついでに一枚の紙切れを渡してきた。
ノートの切り端で、書かれた簡素なモノ。
差出人が、葵だ。
「なんで、葵が?」
だけど、俺は中身を見るなり……頭が痛くなった。
(なんだ、お見舞い?どういうことだ?
昨日の連絡、昨日……俺に何かあったのか?)
思い出せないし、とても苦しい。
この手紙の最後は、葵が(望月と何かあったの?)という心配する言葉だった。
(どういう意味だ?何かあったのだろうか?)
だけど、俺は思い出せない。
昨日の記憶は、昼休み頃から無い。
気づいたら次の日になっていて、自宅のベッドの上だ。
そんな俺は、『お見舞い』の単語だけで、呼吸が乱れていく。
発作のように、頭痛が激しくなった。
明らかに違和感があると、隣の女子が気づいた。
「不道先生、すいません!」
女子が勇気を出して、手を上げていた。
そして俺の異変に気づいて、不道先生に声をかけていた。
それと同時に、俺の頭痛が酷くなってほぼ思考ができない常態になっていた。




