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JK望月 香美の渦  作者: 葉月 優奈
三話:モテない俺が恋愛相談をしていいのか
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迂闊だった。

蛭地生徒会長は、望月の彼氏だ。

彼が見舞いに来るのは、至極当然のこと。

むしろ無関係なクラスメイトの俺は、ここにいるのはオカシイだろう。

ましてや俺は陰キャラ、陽キャラの望月の家にいるのは違和感でしかない。


逃げるように、俺と葵は望月の家に出て行った。

彼氏の登場で、俺たちは強制的に退散するしか無かった。

エレベーターで降りて、俺と葵はエントランスにいた。


綺麗なホテルのようなエントランスで、俺たちの目の前には自動ドアがあった。

エレベーターを背に、俺と葵が歩いていた。

葵は、驚いた顔を見せていた。


「噂をすれば……来るとか、マジヤバすぎ」

「うん、驚いたね」

「アオイもビックリ!」

なぜか、葵が興奮していた。

その割には、連れてきた瞬間は冷静な顔をしていたくせに。


噂をすれば、主が部屋に来ていた。

彼氏と彼女の関係だから、俺と葵は邪魔できない。

修羅場に遭遇するわけにも行かず、このまま逃げ帰るしか無かった。


「やっぱり、二枚目(ハンサム)じゃ無いね」

「それ、本人の前で直接言ったのか?」

「言えるわけ……ないじゃない」なぜか照れている葵。

蛭地生徒会長は、とにかく女子人気が高い。

顔立ちのいいイケメンでもなく、望月の言うとおり特別に頭も良くない。

ただ初めてじっくりと見たことで、俺は気づいたことがあった。


「なあ」

「ん?」

「生徒会長は香水を、つけていなかったか?」

「香水?そういえば、なんかいい匂いがするのよね。

学原は、そういうオシャレ……しなさそうだしね」

「悪かったね」葵が横目で見て、俺は話を切った。

だけど、なぜか葵が大爆笑だ。


「あははっ、香水しないって」

「男が香水するのは、オカシイだろう」

「そう?あたしはおかしくないと思うけどな。

あたしの元彼だって、みんな香水つけているよ」

「マジ?てか、ウチのクラスのアイツもか?」

DK(男子高校生)から、会社員まで……ね」

葵が笑いを抑えながら、はっきりと言っていた。

今、さらりと恐ろしいことを言わなかったか。会社員が彼氏とか。


「男も、身だしなみが大事って事よ」

「そういやあ、葵も……」

クンクン、やはり香水の匂いがしていた。

柑橘系の匂いだろうか、爽やかな匂いがしていた。

甘い香りが、金髪ギャルの葵からしっかり漂ってきた。


「でしょ。これ、一応ブランド品だけど、五千円なの」

取り出した香水の小瓶、これ1本五千円か。


「マジか!」

「もらい物なのよ、アオイの誕生日プレゼントの」

「ほへー、すげえな」

「感心していないで、学原もつけなよ」

そういいながら、香水を無理矢理俺にかけてこようとする葵。


「いや、いいよ。なるほどな、でも勉強になる」

「まあ、カガミンはあまり香水つけないけど」

「そうなの?」

「うん、カガミンはナチュラルにいい匂いするから。

今度、しっかり嗅いでみ?」

「遠慮する」

一瞬だけど、俺が望月の匂いを嗅いでいる絵を想像した。

やばい、単なる変質者に見えてしまう。俺の中身も、おっさんだし。


「そういえば、葵は今のところ恋人いるのか?」

「フリーよ、つきあいたいの?」

「いや、そうじゃなくて……」

「望月と生徒会長は、どうなるんだろうね」

「応援はしていたの?」

「当然でしょ、学校でも一番有名なカップルだから。

ただ、ユメッチの気持ちも知っていたし」

葵の言うとおり、誰もが知っているカップルだ。

美男美女カップルとも言われるが、確かに二人の知名度は抜群だ。


「まあ、一番悪いのはユメッチだと思うし」

「告白していない?」

「うん、ユメッチは奥手だからね。あの性格で、ちゃんと告白すると思う?」

「確かに、そんな感じはするな」

初めて出会ったときも、感情が少し乱れているようだった。

無理して、言い争っているようにも見えていたからだ。


「でしょ、生徒会長は女子がみんな好きだし。

アオイの他の友達も、生徒会長とつきあおうとしていた人もいたから」

「マジでモテモテだな、生徒会長」

羨ましい武勇伝ばかりが、次から次へと出てくる生徒会長。


「で、どうなるんだろう?」

「カガミンと生徒会長の事?」

「断るのかなって?」

「わかんない、生徒会長は人気だから。

つきあうだけで、学校内ステータスが爆上がりだし」

「ああ、そうか」

望月の相手は、女子人気抜群の蛭地生徒会長だ。

生徒会長とつきあうだけで、周りの女子から一目置かれて目立つ。

有名なり、一つ上の立場になれる特別な存在。


望月は、そんな打算でつきあっているのだろうか。

だとしたら、望月はクソ女だ。

そんなことを、本当に望月が考えているのだろうか。

彼女の歯切れの悪い答えに、俺はいらぬ邪推をしてしまう。


間もなくして、エレベーターを降りて、自動ドアの前。

葵はそのまま通り過ぎるが、俺は葵から離れて自動ドアの中にいた。


「どうしたの、学原?」

「あっ、俺……カバンを望月の家に置いてきた」

「ちょっと、何やっているのよ!」葵が怒ってきた。

そのまま、葵を置いて背中を向けた。

そこには、俺の背中にはカバンがしっかり背負われていた。俺は嘘をついた。


「わるい、ちょっとすぐ戻るから待っていて!」

俺はそういいながら、葵から離れて反対方向のエレベーターに向かって行く。

自動ドアが閉まり、葵が俺を引き留めようとした。

だけど無視して俺は、エレベーターに乗り込んだ。


「もう、何やっているのよ!馬鹿っ!」

などとボヤきながら、葵が携帯電話で電話をかけていた。


電話をかけた相手は、カガミン。

しかし、かけた電話の相手はなぜか電話に出ることは無かった。



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