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JK望月 香美の渦  作者: 葉月 優奈
三話:モテない俺が恋愛相談をしていいのか
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考えてみたら、俺が女子の部屋に入るのは初めてだ。

望月の家を、通してくれたのは望月 香美その人だった。


パジャマ姿の望月も、単純にかわいい。そして、姿がレアだ。

『望月のパジャマ姿』と言う言葉には、神々しささえ感じられた。

栗色の長い髪に、ピンクのパジャマ。

甘い香りとはにかんだ笑顔で、俺と葵を出迎えてきた。


通された部屋は、俺が初めて入った女子の部屋。

胸を高鳴らせて、リビングを抜けてドアを開けた。

だけど、そこは思ったほど女子っぽく無かった。


「普通の部屋だな」

「うん」色合いは、ピンクと言うより城と黒い色が目立つ。

黒と白、ゴシックカラーの家具。

テレビは白で、ベッドは黒。

机も白で、本棚は黒。ピンク色の部屋を想像していた俺は、意表を突かれた。

意外な望月の趣味が、部屋の中に見えていた。


「いつきても、凄い部屋ね」

慣れた顔で葵は、ダイレクトに感想を述べた。

白黒の部屋でくつろいだ様子で望月は、そのままベッドの上に腰掛けていた。

俺と葵は、白と黒のチェックカラーのカーペットの上に座っていた。


「大丈夫なの?カガミン?」

「うん。昼間ずっと眠ったら、かなり体調が良くなったから」

「そっか……明日は、学校に来られるの?」

「行くよ。ユメッチとも、ちゃんと話をしたいから」

望月の口から、夢女の名前が出てきたのは意外だった。

俺は二人のやりとりを、ぼんやりと眺めていた。


「学原君も、心配してくれてありがとう」

「望月がいないクラスは、お通夜状態でもの凄く暗かったからな」

「そうそう、カガミンがいないとみんな暗くて……辛気くさいの」

「ああ、特に男子が……ね」

望月 香美の人気は、絶大だ。

クラスの雰囲気を一変させてしまう、さすがはクラスのアイドル。

担任の不道先生まで、望月を心配していた。


「昨日、ゲーセンから帰った後に体調を崩したのか?」

「うん、最近調子悪くて……でも平気だよ」

「そうか、それならば良かった」

俺も、望月の事が気になっていた。


赤ん坊望月が、この日の記憶が無い。その言葉が、俺に引っかかっていた。

今のところ、望月には特に変化は見られない。

望月が体調を崩したのは、唐園との言い合いによるストレスが大きいだろう。


親友である夢女との言い合いで、彼女は心身にダメージを負った。

周りが認めるアイドル的魅力のあるかわいい子でも、彼女は未成年だ。

些細なことでも、傷つき苦しんでしまう繊細な少女だ。


「とにかく、今日はゆっくりするといい」

「ありがとう、学原君」

「いや、俺は特に何もできないから」

陰キャラの俺は、遠くから見守るしかできない。


だけど俺は、それでも決めたんだ。

目の前にいる望月を守り、彼女の失踪を防ぐということを。


「でも、相談には乗るよ」

「ありがとう……本当に。あっ、お茶を出さないとね」

パジャマ姿の望月が、立ち上がろうとした。

だけど、そんな望月がフラフラしていた。

すぐにぐらついて、倒れてしまう望月。


「ダメよ、カガミンっ!」

倒れそうな望月に、葵が立ち上がって支えた。

だけど、そのまま一緒に倒れそうになる二人。


「え?」

「きゃっ」バランスを崩して、二人が倒れていった。

危険を感じて、すぐ俺が体を滑り込ませた。


「おわっ!」

俺は、葵と望月の下に滑り込んで二人の転倒を防いだ。

スカートを履いた葵と、パジャマの望月が、俺をイスのように座っていた。


「学原君……」

「ナイス、学原。いいイスね」

望月と葵が、俺を座ったままに反応していた。

だけど、俺は二人に座られて苦しかった。


「は、早く降りてくれ……」

俺は苦し紛れに、下から魂の叫びを放っていた。



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