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JK望月 香美の渦  作者: 葉月 優奈
三話:モテない俺が恋愛相談をしていいのか
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この学校の中で、独自に言われている『陰』と『陽』の定義。

この定義は、鳴本高校の昔から生徒の間で存在していた二つの言葉。

昔、女子高生の間で流行った少女漫画の言葉が語源らしい。


学生の中で、俺は根暗な方だ。

女子が嫌いでも、人間不信でも無い。

ただ、暗いと思われていて目立たない存在。

他の友達を求めずに、自分が生きやすい世界にとどまっているだけの人間。


「あなたは知っているでしょ、生徒会長のこと」

「蛭地生徒会長は陽キャラだろ、知っているよ」

俺は学校カーストを、イヤと言うほど知っていた。


蛭地生徒会長は、この学校一番の陽キャラだ。

そして、望月も葵も陽キャラ。

二人は学校公認のカップルで、誰もが知る人気のカップル。


「幸賀は陽キャラ。カガミンも陽キャラ。

でも、二人と私は住む世界が違う。私は本来、陰キャラだから」

俺に対して、手を振り上げていた唐園。

怒りと、諦めの表情が入り交じっていた。


「そうだよな」俺は手を掴んだ。

「手を離して」

「それが何の関係がある?」

俺は、それでも唐園の細い手を離さなかった。

振り切ろうとする唐園に、俺は力で彼女の腕を握っていた。


「離してよ!」

「離さない。君は、そうやって諦めるから」

「私は諦めるしか……」

「今の俺は、お前の言うとおりに陰キャラか?」

俺の言葉に、はっとした顔に変わる唐園。

腕を掴んだ俺に、逃げようとする唐園が立ち止まった。


そのまま、俺の方を振り返った。

申し訳なさそうに、顔を向けていく唐園。


「あなたは、余裕があるのね」

「余裕なんか無いよ、でも後悔はしたくないかな」

「後悔?」

「失敗しても、決して悪いことじゃない。

だけど、何もできずに後悔したくないって今は思うんだ。

唐園……悔しくは無いのか?」

「私が……なんで悔しいの?」

唐園の顔には、諦めが見えた。

だけど、俺は冷静な顔で話を続けていた。


「変わりたいんだろう。

陽キャラになって、堂々と蛭地生徒会長と付き合いたいんだろう」

「それはカガミンから、彼を奪う事につながるわ」

「でも、好きな気持ちは負けられないんだろう」

「それは……」彼女は否定しなかった。

唐園の顔が、赤くなって照れていた。

目もとろりと垂れていて、恋する女子の顔だ。


「私は陰キャラで、カガミンに奪われたことが仕方ないことだと思った。

陰キャラの私は、カガミンに幸賀を取られても仕方ないと思えたから」

「それでも、好きの気持ちは抑えられない」

「好きなモノは好きなのよ!

どうしても諦めることなんか、絶対にできない!」

「一つ、俺は望月本人から意志を確認したんだ」

「何を?」

「望月が、蛭地生徒会長を好きかどうかということ」

「好きに決まっているでしょ!

学校の誰もが認める、超人気で公認カップルなんだから!」

唐園は、諦めるように切り捨てた。

だけど、俺は淡々と話を続けた。


「結論から言うと、望月はお前ほど蛭地生徒会長が好きじゃ無い」

俺は、はっきりと否定した。

その話を聞いた瞬間、唐園は驚いた顔を見せた。



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