031
話をしている内に『唐園 夢女』という女は、俺と同じような人間だとさらに強く確信できた。
好きなモノと、大事なことを天秤にかける今の唐園。
唐園の中には、望月と蛭地生徒会長の間で揺れ動いていた。
「一つ、確認したいことがあるのだけど……」
「何?」
「唐園は、望月とどこで知り合ったんだ?」
「中三の時、通学の電車で知り合った」
「電車?」
「中三、高校入試のころ……電車で塾に行っていた私。
私はいつも一人だったけど、ある日カガミンが声をかけてきたの」
「そうか……望月が」妙に納得した。
「カガミンは明るくて、元気な子。
内気な私にはないものを、たくさん持っている。
その後、カガミンからアオインとも知り合ったの」
「なるほどね」
「私は話すことが苦手で、でもアオインは明るいし、カガミンは優しい。
眩しい二人に、憧れて友達になれてよかった」
「葵は明るいより、明るすぎるけどな」
「でしょ。アオインは、ちょっと空気を読まないところがあるけど……いい子よ。
他人の陰口も言わないし、二人とも明るい。
カガミンも、アオインも二人ともいい子なの……」
「大事な親友だよな」
「大事な親友。それにあなたは分かるでしょ。
陰キャラのあなただって、きっと理解できるはずよ」
「あ、もしかして唐園も?」
「うん、きっと私もあなた寄りの人よ」
唐園は、はっきりと言い放った。
そうだ、俺は陰キャラだ。
ということは、唐園も陰キャラなのだ。
唐園とクラスは一緒になったことは無いし、よく知らない人間だ。
生徒会の役員だと、名前はあるけど詳しくは知らない。
それと……唐園とは話していてなんだか落ちつく。波長が合うのだろう。
言われてみれば、唐園と望月が一緒にいることは学校では余り見ない。
それは葵とも同じだ、あえて距離を置いているのだということだ。
「二人と、仲直りしたいんだろ」
「うん……それはしたい。したいけど……」
蛭地生徒会長を奪われた、と言わんばかりの顔を見せてくる唐園。
彼女の中で、それは許せないでいた。
俺は話を聞きながら、唐園の顔を見ていた。
「私は、陰キャラだから」
その一言を、残して逃げるように去ろうとする唐園。
だけど、そんな彼女の手を俺は引いていた。
「なんで、陰キャラが関係あるんだ?」
俺は叫ぶように、唐園に言い放った。




