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JK望月 香美の渦  作者: 葉月 優奈
二話:望月と遊びに行くとするか
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翌日になった。

朝になって、いつも通り学校に通う。

鳴本高校は、電車で通うと細い住宅街を抜けていく。

山に沿ったように道が続いていて、崖下には家が建っていた。


この辺りは、自転車の通行が禁止されていた。

住宅街でもあるが、細い路地だ。通行する時間帯に、教師が見張っていた。

自転車を押して俺が歩く住宅街で、いつもボッチの俺は一人で歩いていた。

そこに、一人が合流してきた。


「おはよ、涼真」

声をかけたのは、メガネの男子学生聖也だ。

いつも通り、見慣れた通学光景だ。

学校の近くに住む聖也とは、学校に続く細い道で合流した。


「ああ、おはよ」

「昨日は、お楽しみだったね」

「その言葉の使い方、合っていないような」

俺は聖也に、突っ込んでいた。ユメッチの事も、よく分かった。

名字も分かったし、調べるメドがたった。

分かったからには、いろいろと行動もしやすい。既に動いてもいるのだけど。


「だけど、昨日の望月さんが大丈夫かな?」

「そうだな、心配だよな」

レースゲームをやるまでは……唐園が現れるまでは元気だった望月。

だけど、唐園と喧嘩をして急に悲しそうな顔を見せていた。

友達にあんなに言われたら、心が壊れるのもムリも無い。


「聖也」

「どうした?」

「俺たちはずっと友達だよな?」

「急にどうしたんだい?涼真」

「いや、友情って言うのは急に些細なことで壊れるから。

俺たちも、これから気をつけないとね」

「うん、大丈夫。ボクは涼真が一番の親友だから」

「女ができても……か?」

「それは関係ないよ」

俺の言葉に、聖也は即答で言ってきた。


やはり、聖也はとてもイイヤツだ。

俺の考えもよく理解してくれるし、お互い引きどころを間違えない。

そこが現在進行形で、親友が続いている所以だ。


「望月さんの件は?」

「まあ、そんなところだ。三角関係だな、あれは」

「それは大変だね。陽キャラも」

聖也も、望月を心配していた。

陽キャラの人間関係を、初めてしっかりと見えた気がした。

ギクシャクしていて、かなり難しい人間関係。

陽キャラも、そう考えると楽じゃない。見えないところで苦労しているのだと、よく理解した。


「全くだよ、リア充生徒会長だから」

「うん、生徒会長って去年、チョコを三百個もらったって噂だよ」

「うぇ、そうなの?」

全然知らなかった、同じ年なのに羨ましい。

俺がバレンタインでもらったのは、いつもの母親ぐらいだし。

俺の家庭に妹も姉もいない、というか弟しかいないけど。

というより高校生になって母親からもらうとか、どんだけ陰キャラだよ。昔の俺。


「去年、クラスが同じだったから」

「へえ、そうなんだ」

「一個もらったけどね」

「マジで?チョコを?」

「蛭地生徒会長は、甘いのが苦手なんだって」

「嫌なくらいに、贅沢な悩みだな」

などと歩きながら、俺は通学する生徒を見ていた。

普通の登校時間で、生徒が歩いて登校していた。

その中で、一人の女子生徒が近づいてきた。


「ハロー、陰キャラーズ」

それは葵だ。明るく陽気な金髪ギャルが、珍しく俺たちに声をかけた。


「あ、葵か」

「おはよう」生真面目に返事を返す聖也。


「真面目か……」聖也に突っ込んだ葵。

だけど、葵の顔が浮かない。

無理して作っている笑顔だと、すぐに分かった。


「どうした?珍しいな、俺たちに学校の通学路で声をかけてくるとは」

「うん……実はね……カガミンが休むって」

「望月が休むのか。やっぱり昨日のことか?」

「……うん」俺の指摘に、葵が頷いた。

昨日のあの一件は、やはり望月の中に何らかの変化をもたらしたのか。

それと、赤ん坊望月が言っていた言葉が気になった。


「なあ、葵」

「どうしたの?」

「今日、お見舞いに行ってもいいか?」

それは俺が初めて葵に、俺の気持ちをぶつけていた。


「お見舞いって?」

「望月が体調を崩したのは、半分は俺の責任だ。

だからこそ、俺が言って謝らせて欲しい」

「謝る必要は……」

「頼む、葵っ!」立ち止まった俺は、深々と頭を下げていた。


現代でも、よく下げた頭。

この過去……男子高生の俺が女子高生に頭を下げるとは思ってもみなかった。

だけどここは、引くことができない。

なにより、望月のあの表情を気にしないと言うことを俺はできなかった。


「仕方ないわね、アオイも同伴するから」

「ああ、ありがとう。葵」俺は、ためらいも無く葵の手を握った。

感謝で喜ぶ顔を見せ、葵は照れくさそうにしていた。

それを聖也は、苦笑いをしていた。


「これで、友情が壊れることは……無いと思う」

だけど、目は笑わずに俺と葵を見ていた。



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