022
学校帰り、俺たち四人で放課後遊びに行く。
細い道を抜けて、国道を歩いていた。
交通量の多い夕方の時間、俺と聖也、望月と葵の四人で歩いていた。
全員制服を着て、放課後遊びに行く。
俺が一周目高校時代に、女子と遊びに行くイベントは一度も無かった。
それが、初めて女子と遊びに行くということは感慨が深い。
その相手は、眩しいほどにかわいい透明感のある少女、クラスのアイドル望月。
それからギャルっぽさはあるが、周りを明るく照らす少女、望月の親友葵。
陽キャラを代表する二人と一緒に行動することは、あり得ない奇跡だ。
「でも、いいのかい?」
「うん、ゲーセン行こ」
望月の一言で、誰も否定はできなかった。
最も、葵がキチンの行き先を決めていないのも理由ではあるが。
望月が、男である俺たちに会話を会わせたのかもしれない。きっとそうだ。
だけど、一個だけ引っかかるモノがあった。
(赤ん坊の声と、全然違うじゃ無いか)
裏山の公園で、よく聞く赤ん坊の声との比較だ。
赤ん坊は、望月であることを言っていた。
だけど、ここにいる望月の声は少し違って聞こえた。でも、声質はよく似ていた。
(もしかして、ここにいる望月は猫でも被っているのだろうか)
などと俺が考えていると、葵が聖也と会話をしていた。
「でさ、こないだ友達の冴子だけど……授業中にね」
「へー、そうなんだ」
たわいも無い会話をしている葵、それを相槌入れて聞いている聖也。
一つの目的である葵の悩みは、どうやら片付きそうだ。
葵が話をして、聞き流す聖也。
ある程度は予想できたけど、きっかけがあれば二人は元に戻っていく。
元々、幼なじみで関係も強い二人だから。
話し始めたら、葵は特に止まらない。
それでも、穏やかに聞いている聖也。
やはり、この二人はお似合いの幼なじみだ。
そんな中、残された俺の隣には望月が歩いていた。
葵は俺に気遣ってか、望月に対して話題を振っていない。
つまり、俺が静かに歩いている望月に声をかけないといけない。
(うー、このミッションは最難関だ)
望月は、歩いているだけでも絵になる美少女だ。
それだけに近くにいても、オーラが凄い。彼女から、いい匂いもするし。
これがJKの香りか……ああ、いかん。
これでは、単なる変態のおっさんじゃないか。
でも、静かに歩く望月。俺は何かを喋らないといけない、謎の圧力を感じていた。
「今日はいい天気だね」少し声がうわずった。
「今は、曇っていますけど」空を見る望月。
夕日は分厚く黒い雲に隠れていた。やや、薄暗く雨が降りそうな空模様だ。
ついでにいえば、俺の見える空にだけ黒い渦が見えた。
不気味な渦は、望月には見えないようだけど。
「そ、そうだね。でも、今日は涼しくていいから」
「そうですね」会話が続かない。
女子と話す緊張感が、俺の思考を乱していた。
声もうわずっていて、緊張が続いていた。
(どうしよう、話ができない。彼女を直視も、まともにできない)
横を歩いているのは、望月だ。
だけど、彼女の顔をちゃんと見て話ができない。
かわいすぎる眩しいオーラが、俺の行動を阻害していた。
だけどこの雰囲気、緊張感は居心地が悪くない。
別に、恋人とかそんなモノじゃ無い。ましてや、望月には彼氏もいるのだ。
それでも、俺は望月と一緒に歩いていることが嬉しかった。
一周目には経験していないことが、今こうして経験できていた。
それだけで、俺は幸せだった。
だが、幸せは長く続かない。
それは三十四年生きた俺の経験則で、よく分かっていた。
そして、それは突然破られた。
「あれ、君かわいいね」
一人の通りがかった男性が、声をかけてきた。
それは二十代ぐらいの背の高いやんちゃな男性が、望月に声をかけていた。




