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第八話: 防御を固める

前回の猿の襲撃を受けて、尊は住居の警備の弱さを見直すことにした。

侵入者は扉が鍵を開けたのは魔の術に違いなかった。

近代技術では概念の異なる魔の術の前には無力に等しい。


尊はベッドの下に隠していた桐箱から、数枚のお札を取り出した。

それらを玄関口、窓枠に正確な位置で貼り付ける。仕上げに四隅へ清めの塩を配置する。

これで魔のものは簡単には入ってこれない。結界だ。

尊は満足げに頷く。それらは家計に伝わる古めかしい呪術だった。


琥珀は尊のテキパキとはしているが、どこか不審とも取れる行動を見守っていた。


「…姉様ってもしかして術者の家系の人だったりするんですか?」

「うーん、術者ではないんだけどね。まあ昔から魔のものを排除してきた家系だから、でこういうことにも慣れてたりするわけ。

私も鍛えられたし、久しぶりの実戦だったけどなんとかなった。

ただあの程度のものを一撃で仕留められなかったから、鍛え直しが必要」

「いいえ、すごいです!あんなお揃いものを拳一つで追い払ってしまうなんて」

琥珀の純粋な賞賛に尊は少し気恥ずかしさを感じながら、自室のノートPCを開いた。

これからの外敵に備えて更なる対策を練るために。


「こんにちはー」

能天気な高い声が響く、鏡花だ。

彼女は扉を開け、いつものように部屋に入ろうとするが、一瞬立ち止まる。

「あの、もしかして何かあった?」

玄関の雰囲気が変わったことに気がついたようだ。

「気づいたか。まあね、色々とあってね」

鏡花は眉をひそめ、慎重に中に入った。彼女の実家も神社の家系だ。

この結界を敏感に察知しているらしい。

「何があったの教えて」

「うーん」

尊は話そうか一瞬迷ったが、鏡花に猿の来訪者があったことを話すことにした。


「ふーん、山の神が、自分の生贄である琥珀ちゃんを取り戻しに追手をねえ…」

鏡花は琥珀をじっと見つめる。

「ちなみに連れ戻されたらまた石に逆戻り?それとも本当に食べられちゃう?」

琥珀は顔を伏せ、震える手で自分の腕を抱いた。

「嫌です…石に閉じ込められるのも食べられるのも…」

「いや、そうさせない、安心して」

尊が短く断固とした口調で告げると琥珀の表情に光が戻った。


「でも、このままだと琥珀ちゃん、怖くて散歩にもいけないわね…せっかく可愛いお洋服も買ってもらったみたいなのに」

鏡花がニヤリと笑いながら、尊の顔を覗き込んだ。

「え、私も…お外に遊びに行きたいです。姉様と一緒に」

「危険はあるかもしれないけど、そんなことで外に出れないのは本意じゃないね。わかった行こう」

「やった!じゃあどこに行こうか、景色のいい山は…今はパスかな。海?それとも公園?」

鏡花は三人でいくつもり満々らしい。三人では遊びに行く場所を話し合った。

琥珀の表情がワクワクとした輝きを取り戻していく。

未来の予定によって追手のことは一時的に隅に追いやられたようだった

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