↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/49

『料理には下準備が必要だ』

 収穫が収まった日の翌日の夜。

 畑の様子がどうしても気になった私は、アレクにお願いして特別に見にいく許可を貰った。三日おきという約束だったが、アレクは割とすんなり許してくれた。

 まあ、自分でも一日中そわそわと落ち着きがなかったということは分かっているから、そのせいだと思うけど。



 で、私は現在畑に来ている。

 アレクは流石に仕事に行った。私に付いてきたそうだったけど、これ以上は休めなかったらしい。当たり前である。


 よって、朝には畑に着いた私はアレクを見送ると、収穫したジャモが置いてある小屋に向かい早速ある事を始めた。







「ふんふんふ〜ん♪」


 私は作業を進めながら鼻歌を歌う。そしてウキウキ気分で独り言を呟いていく。

 

「これやってみたかったんだよねぇ。知識だけはあるけど、ここじゃ無理だと思ってたのに。楽しみだなあ。」


 この独り言は周りに誰もいないからできる事だ。誰かいたら完全に変人になってしまうからね。それは嫌だ。


「ああ。この感覚やっぱり覚えがある。前世でやっ「どうしたの?」……ぬわあ!?」


 誰もいない。そう思い込んで色々な独り言を呟いていた私は、突然後ろから肩を叩かれた事に驚いて悲鳴を上げ、その場で軽く飛び上がった。


「だ、だれぇ!?」


 そう叫びながら慌てて後ろを振り向くと、そこにはシュリエ・マルク・ガレンの三人がいた。

 私はそれに頭を抱える。

 

 ぐぬぬ。この三人組のことを忘れていた。予想できたことなのに…。これは内緒で完成させて、皆に出したかったなあ…。


 心の中で愚痴りながら、私は改めて三人に視線をやる。

 そこである事を思いつく。

 私は三人にニコリと笑顔を向け、とある提案をした。







 

「さて、ではジャモを使った料理をしましょう!」


 私は拳を上げてそう宣言する。

 そう。私がしたかった事。それは前世知識を使った料理である。


「ジャモで料理ぃ?」


 横で私の手元を覗き込んでいたガレンが怪訝な顔てま聞いてくる。

 今回マルク達三人には、助手として料理の手伝いをしてもらう事にした。それだったら他の誰かに料理の存在がバレることはないと考えたのだ。


「そうだよー♪」


 私は手を動かしながら、ニコニコと返事をした。

 今回作ろうと思っているのは、じゃがバター。いや、こちらの世界風にいうと、ジャモバターか?

 まあ兎に角、複雑な行程がなく、比較的簡単な料理。しかも何故か家にバターがあった。

 私の考えでは、この世界は地球で言うと中世ぐらいだろうし、前世知識ではその時代でバターは高価なもののはずなのに不思議だ。

 でも一応、これで基本的な材料は揃った。

 

 これはもう作るしかないでしょ!



「マルクは水汲み。ガレンは火をおこして。シュリエはジャモを二十個くらい洗って。」


 私はテキパキと指示を出す。

 ジャモバターを作ると言っても、前世のように電子レンジや蒸し器がここにあるわけがない。世界中を探せば似たような奴はあるかもしれないが、手元にないならどっちにしろ同じだ。


 なので、私は今回の為に手作りの蒸し器もどきを作った。手作りなので所々失敗したが、まあ許容範囲だろう。……多分。


「エミリー。それなあに?」


 私が自作蒸し器に不備がないかの最終チェックをしていると、ジャモを全部洗い終えたシュリエが不思議そうに聞いてきた。

 私は自作蒸し器に視線を向けたままそれに答える。


「これ?これは私が作った蒸し器だよ。今日の料理で使うんだ。」

「ふうん?どうやって使うの?」

「えっと、沸騰してるお湯の上に置いて、蓋を閉めて使う。底にいくつか穴が空いてるでしょ?ここから水じょ……煙が中に入っていって中の物がが温まる仕組みなんだ。」

「そうなの?でも暖めるなら火で焼けばいいんじゃないの?」

「あー。これは蒸し料理を作るためのだから。焼き料理とは違うんだよ。」

「焼き料理じゃない?どういう事?」

「……え、まさか。」


 シュリエの質問に適当に相槌を打っていた私は、蒸し料理を知らないらしいシュリエの反応に戸惑う。

 まさか、この世界には料理が焼きしかないとか言わないよね?いくら何でも小説の中じゃないんだから……。

 

 私は嫌な想像に顔をしかめると、その考えを振り払うように頭を振った。


「じゃあ取り敢えず見てて。今から作るから。」


 取り敢えずは料理をした時の様子を見て判断しよう。私はそう決めると、シュリエに一言かけて立ち上がる。

 そして少し離れた場所で作業している他の二人に視線を向けた。


「マルク、ガレン。水汲と火おこし終わった?」

「ああ。終わった。」

「もっちろん。終わったよ〜ん。」

 

 私が問いかけると、各者各様の返事が返ってくる。

 私はそれに頷きで返すと、そこで再び拳を上に突き上げた。


「よし。なら今からジャモを使った料理。ジャモバターっていうのを作っていきます!」


 本日二度目の宣言である。ただし、今回は料理名付き。

 そんな私の突然の行動に、ガレンが怪訝そうに尋ねてくる。


「ジャモバター?なんだよそれ?」


 私はそれに少し考えてから答えた。


「……ジャモバターは、ジャモを蒸し……温めて、バターを乗せた料理だよ。」


 説明した後に思ったが、少し簡潔すぎたかもしれない。私自身がこれを聞いただけでは美味しそうに思えないのだ。

 説明って難しい。


 私がそうして一人反省していると、案の定シュリエ達から声が上がる。


「ねぇ、それ美味しいの?」 

「それな。ジャモ温めてどうすんだよ?」

「う〜ん。俺っちは〜いらないかな〜。」

 

 私は三人の言葉にガクッと肩を落とす。

 まあ、自分でも思ったんだからそうだよね。でも子供って正直すぎ。少しは言葉をオブラートに包もうよ。じゃないと私の心が死ぬ……。


 私は死んだ魚のような目で、尚も続いている三人の会話を見守った。

果たして昔の蒸し器でじゃがバターが作れたかは不明ですが、今回は作れるという事で押し通させていただきました。

作れなかった場合はすみません!広い心で見逃していただけるとありがたいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。