↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/49

『展開が早すぎてついていけない』

「収穫が止まった!皆、これで寝れるぞ!最後だ!踏ん張れぇ!」

「「おぉぉぉ!!」」


 グレイが感極まったように叫ぶ。周りはその声に喜びの雄叫びを上げた。


 私はそれを聞きながら、目を点にする。

 え?収穫が止まった?え、さっき神様に叫んだやつのせい?……いやいやいや。本当に神様がいるとかありえないでしょ。え?ないよね?


 私は顔を引き攣らせて、ゆっくり首を横に振った。

 有り得ないだろう。そんなこと。

 そう思いながらも、どこかで原因はそれだと言っている自分がいた。

 もし私のせいなら、収穫量足りないかも……。

 余りにも信じられない現実に、現実逃避をした私は今回の事を忘れることにした。

 うん。私は何もしてないし、何も考えてないぞ。


「エミリー?どうしたの?」


 考え込んでいた私は、突然かけられた声に顔を上げる。

 

「ほぇ!?グ、グレイくん!?」


 私の目の前にはグレイがいて、私は驚きで奇声を上げて飛び上がった。

 そんな私の様子に、グレイはクスクスと笑う。


「驚かせてごめん。エミリーがここで何してるのかなと思ってね。」

「え?ここ?」


 私はグレイの言葉に意味が分からなくて首を傾げる。

 私はアレクに言われた通り、木陰に向かってたはずだけど?

 そう思いながら周りを見渡した。


「あれ?」


 私がいたのは畑の目の前だった。何故自分がこんな所にいるのか分からなくて、私は目を丸くする。


「で、何でここに?」

「……分かんない。」


 グレイに聞かれて、私は自分でも分からないと首を横に振った。

 いや、私は本当に何で畑に近寄ったんだ!?


「そうなのか?……まあ、それならここは少し危ない。最近はないけど、ゴキャブリが出ないとも限らないからね。」

「えっ……。」


 私はグレイが苦笑しながら言った言葉に固まる。

 ゴキャブリ!?まだ出るの!?

 私は初めてそれを見た時のことを思い出して、鳥肌が立つのを感じた。


「じ、じゃあ私は戻るね!」


 私はそう言うと、その場から去る為にグレイに背を向けようとして「あっ!」と、一つ聞きたかったことを思い出す。


「そう言えばグレイくん。本当に収穫止まったの?」

「うん。そうだよ。」

「…えっと。なら、収穫量みたいなのは……足りて、る?」


 私はグレイの顔色を伺いながら恐る恐る聞く。グレイはその質問に一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、直ぐに笑顔になると思いっきり頷いた。


「ああ。もちろんだよ。今までが凄かったからね。有り過ぎなくらいだ。」

「そっかあ。」


 私はそれを聞いて安堵の表情を浮かべる。

 良かった。ちゃんと皆に配れそうだ。飢えを無くす為に作ったのに、収穫量が足りないとかなったら大変だからね。

 

「ありがとう!グレイくん!じゃあ今度こそ行くね!また後で!」

「あ、うん。気をつけるんだよ!」

「わかったー!」


 そうして私は今度こそ、その場を離れたのだった。









「エミリー、帰ろうか。」

「うん。」


 そう言って抱き上げられ、私は首に腕を回す。

 


 結局あの後、木陰に戻った私は収穫が終わるまでそれを眺めて過ごした。

 一度シュリエ達がこちらに来ようとしていたようなのだが、グレイに注意されてすごすごと離れていっていた。多分グレイは病み上がりの私に気を遣ったのだろう。まあ正直有り難かったので、その後に向けられた視線も気づかないふりで無視した。

 ……私って性格悪いかも?



「エミリー?どうしたの?」

「うんうん。何でもないよ。」


 考え込んでいた私は、アレクに声をかけられて笑顔を向ける。

 

 何だかんだ言っても、私はやっぱりアレクとの二人の時間が一番落ち着くな。


「あ、そう言えばエミリー。」

「なに?」


 話しかけられて、私は首を傾げた。


「家から…あ、僕の生まれた家と連絡が繋がったから、一週間後に迎えが来るよ。エミリーも一緒に行こうね。」


 アレクはニコニコと爆弾発言をする。私はそれに困惑の表情で聞き返す。


「えっと。どういう事?」

アレクって孤児じゃなかったの?何で迎え?


 私の頭の中は大混乱だ。

 そんな私を理解した様子のアレクは、詳しい説明を始めた。


「言ってなかったけど、僕はスラムの生まれではないんだ。誘拐されて、奴隷として売られそうになったんだよ。そこでエミリーと会ったよね。でも奴隷船が沈没して二人でスラムに流れ着いた。それからずっと家に連絡しようとしていたんだけど、やっと繋がったんだ。」

「そ、そうなんだあ。」


 私はアレクの身の上話に笑顔を引き攣らせる。

 アレク。貴方は軽く話してるけど、それは結構残酷な話ではないかな。笑いながら話すことではないよ。


「それで三ヶ月後に迎えが来るって昨夜連絡があったんだ。だから一緒に行こうね。」


 アレクはそう言って話を締めくくった。


「うん。分かったよ。」


 私はまだ完全に理解していないながらも、取り敢えず頷く。まあこの先どうなるにしろ、アレクと離れる気はないからどうなっても良いいけどね。そう思いながら。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。