34.海の一族
12/14 カルアの人物設定変更しました。お手数ですが33話確認の上、34話に進んでいただければと思います。
とりあえず3人は話を聞くことにする。
シバとエシャロットは初対面であったため簡単な自己紹介をした。
「私はカルア。ここら一帯で活動している海の一族の頭領をしているわ。」
「海の一族?海賊か何かか?」
「やっぱり内地には知名度が薄いのかしら?」
「いや、この二人が世間知らずなだけだ。気にするな。」
「そう。まあいいわ。説明してあげる。
昔々あるところに一人の青年がいました。
彼は非常に好奇心が強く、世界の未知を探す旅に出ます。
ところが大陸での旅は彼の思うようには進みませんでした。
未知を探すライバル達の存在。国の介入。
そこで彼はもっと自由に探せる方法を考えました。
それはまだ誰も手をつけていない場所での探索。
こうして彼は海で未知の探索をするようになりました。
彼と志を同じくする者と一緒に。
やがて彼の集団は大規模になり、彼が没した後も彼の意志は残った者達にすべて受け継がれていきます。
それが私達海の一族[ナージャ族]ってわけ。」
「ここらでこいつらのこと知らねえ奴はいねえ。
たいていの仕事に絡んでるからな。
だが海を離れねえから、内地じゃこいつらのこと海賊だと思ってるやつも多い。」
「そうなんだな。いや、知らぬこととはいえ失礼した。」
「別に気になんてしないわ。
一応海で手に入れた物に関してはある程度内地の国々に流してる。
私達が手に入れたいものは未知であって、物じゃないもの。」
「で?船を貸す条件ってのは何だ?」
「今ここから船が出せない原因は知ってるかしら?」
「いや。」
「この辺の海域に[深海の悪魔]がでたのよ。」
「なるほどな。そりゃ出せねえわけだ。」
「なんだ?その[深海の悪魔]というのは。」
「ここらの海域でたまに顔を出す巨大な魔物よ。
好戦的でね。何度も船を沈められてるわ。
今じゃあ、この魔物が出たら出航を禁じているのよ。」
「ではカルアの言う条件とは・・」
「[深海の悪魔]の討伐。」
「そう。正確には私達はあるものを探している。
恐らくそれがある場所には[深海の悪魔]の出現時にしか到達できないと踏んでいるわ。
まさにこのタイミングであなたと再開するなんて運命を感じずにはいられない。
魔神殺しのディスト。あなたにそれを見つけるための協力を仰ぎたい。」
「一つ思い違いをしてるな。
今俺はこの二人とパーティーを組んでる。
そしてこのパーティーのリーダーは俺じゃない。」
「えっ?」
「で、どうするよ。シバ。」
「どのみち火竜に会いに行くなら船は必要だし、受けるべきだと思う。」
「いいのか?かなり危険なものだと思うが。」
「エシャロットはここに残ってくれてもいい。俺とディオで行ってくる。」
「馬鹿を言うな!私の望みのために君達だけ行かせるわけにはいかないぞ!」
「わかった。カルア。俺達3人はあなたの提案に受けよう。」
「成立ね。3人ともよろしくね。
ただエシャロットの言う通り、命の保証はないと思っておいてちょうだい。」
「そうと決まればカルア。お前さんに一つ頼みたい。耳貸せ。」
「あら、何かしら?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「なるほどね。フフ。いいわよ。」
ディオがなにやらカルアに耳打ちをしていると、彼らのテーブルに一人の男が近寄ってくる。
年はディオより少し若い。肩まである黒い髪、整っているであろう顔の口元は青い布で覆われていて、
鋭い目つきの片方は傷で塞がれている。
「ディスト。お嬢に手を出したら殺すぞ!」
「お。キースじゃねえか。ああ、これはそんなんじゃねえよ。
俺がカルアに手え出すことはありえねえから安心しろ。」
「なんだと?お嬢の魅力にやられないとはどういうことだ。殺すぞ!」
「どっちにしろダメじゃねえか。どんだけ俺を殺したいんだよ。お前。」
「ア八ハハハハ。アンタ達相変わらず仲がいいね。」
「この状況からお前さんがなんでそう感じてるのかは置いとくとして一つ頼むわ。」
「わかったわ。エシャロット、女同士で少し話がしたいわ。付き合ってちょうだい。」
カルアがエシャロットを連れて席を離れると、替わりにキースが席に着く。
ディオが酒をついでキースに渡すと、二人は無言で杯を合わせる。
「お嬢の話を呑んだようだな。
今回はお嬢のみならず、俺達一族全員が命を懸けるに値するヤマだ。
悪魔に関しては、さきほど場所を特定したところだ。
出航は近い。準備しておけ。」




