22.あるべき場所へ
黒い肉の塊を見事倒した一行はゴリさんの元に戻った。
心配げなゴリさんだったが、報告を聞くと村中に勝鬨を挙げた。
ゴリさんとオリバー爺さんが今から祝勝会を始めると言い出し、一行も参加させられた。
「これはダチがたまに持ってきてくれる食料だ。酒もあるぞ。
危なそうなやつは俺らの方に回してるから心配ない。
俺ら自身が腐ってるしな。ダーハッハッハッハッハ!」
彼らはたまに食べる必要もない、味もわからない食事を行ったそうだ。
人であったことを忘れないために。
宴会は大盛り上がりだった。
特に村の住人はみんなはしゃいでいた。
体の一部が飛び交っている。
見た目的には黒い肉の塊との戦闘と大差ない。
そんな中エシャロットとディオは、ゴリさんとオリバー爺さんから当時の話を飲みながら聞いている。
シバは楽しそうな住人たちを見ながら黙々と食事をとる。
唯一ソフィアだけが時折席を外し、虹を吐いていた。
正常な彼女はそれでも必ず席に戻り、最後まで参加していた。
一行はその晩村に泊まり、翌朝出発することになった。
村の住人が集まっている中ゴリさんが口を開く。
「行く前にお前たちに一つ頼みたいことがある。
俺たちを浄化してもらえないか?」
一行の顔が真剣なものになる。
「俺たちは復活したとき、皆が皆絶望したよ。
なんでこんなことにってな。
浄化してもらうにも方法がねえ。
いずれ俺たちも、他のアンデッドのように人を襲うかもしれねえ。
だがあの製造機がいることを知って、人としてまだできることがあると知って、何とかやってこれたんだ。
昨日はほんとに嬉しかったぜ。
誰かに勝手にいじられた生だったが、それでも俺たちは意味を見出すことができたんだ。
もう俺たちは帰らなきゃいけねえ、あるべき場所へと。」
シバは舞を始める。
それは普段戦闘で使われているような激しいものではなく、ゆったりとしたものである。
ソフィアが前に出て一人一人浄化していく。
彼女の目からは涙が流れていた。
【なんだ。お前も見送りに来てくれたのか?
今生の別れを2度もするなんてな。
長い間本当に世話になったな。
感謝してるぜ。じゃあな。】
アンデッド村のはるか上空にフード付きのマントを羽織った人影が浮いている。
最後のゴリさんが浄化されたのを見届けると、一言残してどこかに去っていった。
「さらばじゃ、友よ。」
王都に戻った一行はエシャロットの提案で王宮へと向かう。
そして王に謁見しクエストの報告をした。
その場で報酬を支払った王は言った。
「こりゃあ、俺の王としての最後の仕事になりそうだな。」
その数年後、ノルド平原に大変賑やかで、人々に愛された[ゴリオリ]という町ができるのだが、それはまた別の話である。
王宮を出るとソフィアが口を開く。
「みなさん、お爺ちゃんとお婆ちゃんのこと、そして今回のクエストのこと本当にお世話になりました。神官になり立ての私ができるクエストではなかったはずです。」
「それは違う。実際に浄化を行ったのはソフィアさんだ。
現代に魔法が失われても聖魔法が残っているのはなぜか。
それは聖魔法が人を救うという想いを媒体としていることにある。
技術も確かに必要だ。
だけど、大事なのはその想いの強さ。
その点でソフィアさんは、素晴らしい神官だと俺は思う。」
「お前さんが人を褒めるなんてな。」
「シバの言うとおりだ。ソフィア殿。
これからも頑張っていい男を見つけよう!」
「みなさん、ありがとう。新天地でも頑張ります!」
その後どうしてもお礼がしたいというソフィアに、シバは妹をたまに見てほしいと頼んで別れた。
「さて、エシャロットの頼みもあることだし、そっちのほうで進路取ってくか?」
「私のことは後回しでいいぞ。どのみち少し遠いしな。」
こうして、3人は王都を離れ次の町に向かっていくのだった。




