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哀しみの向こう側  作者: たい焼きと宝石
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20.忘れられた人々


「しかし、このクエストは妙だな。

問題があれば討伐って書き方だ。実質調査の意味合いが強いな。」


「確かにそうだな。実際ここまで来るのに特に変わった様子がないしな。」


一行は王都から北西に進路を取り、依頼のノルド平原に足を踏み入れていた。

しかし討伐対象とされるアンデッドを全く見ていない。


「確かこの辺りはアルキメア王族の墳墓があったはずの地域だ。

ある時期を境に忽然と消えたと言われている。」


「さすが王国近衛騎士。詳しいな。」


「でも不思議な話ですね。

こんな見晴らしのいい場所でお墓がいきなり消えるなんて。」


更に平原を進んでいった時シバは結界の存在に気づく。

周囲には霧が出始めていた。


(これは、一族の技にかなり近い。

外の世界でこれほど大きな結界を一族が張るとも思えないけど。)


やがてディオが霧の中に複数の人影があることに気付く。


「ようやくお出ましか?」


ディオが大剣を構えると、ほかの者もそれに習い武器を構える。


やがて、霧の中から3体のアンデッドが姿を現した。

ゾンビが2体、レイスが1体である。


先頭のゾンビがディオたちを見ると、敵意を感じ取ったようで口を開く。


「おう、なんだてめえらは。

物騒なもん持ちだしやがって。

この俺にケンカを売ろうってのか?

よーし、ふざけんな。

こちとら年季の入った腐れモンだぜ。」


ディオたちにジャブを見せつけているゾンビに向かってレイスが言う。


「いいぞ!ゴリさん!いてもうたれ!

死人の底力見せてやれ!」


もう1体のゾンビは後ろで黄色い声援を送っていた。


「なんなんだ?コイツら。なんつうか。活きが良すぎねえか?」


レイスはともかくゾンビが話をするのはあり得ないことだった。


彼らの魔素を確認したシバが、目の前の存在に戸惑いを見せるディオの前に出る。


「すまない。あなた達に危害を加えるつもりはない。

少し話できないか?

ディオ。彼らは大丈夫だ。

こちらが仕掛けない限り危険はない。」


シバはここに来た目的を話し、それを聞いたゴリさんは自分の村に一行を案内する。


「そこの水色の長い髪のネーちゃん。アンタ神官だな。

妙なまねすんじゃねえぞ。」


ソフィアは、神官たちの制服とも呼べる白地に金の模様をあしらった服、帽子を身に着けている。

それだけでゴリさんが、生前とほぼ同じ知識を持ち合わせていることがわかる。




ゴリさん達の村はその作りこそ掘っ立て小屋に近いが、ほとんど人間の作るそれと同じだった。

その村の酒場で一行とゴリさんは話をすることになった。


「シバって言ったっけな。アンタだけ落ち着いているな。

俺たちのことなんか知ってんのか?」


「この村の周辺一帯にはある結界が張られている。

本来アンデッドは大量の魔素と素体が結合して生まれる魔物だ。

そのため元から自我がなく暴れるだけの存在だ。

だがこの町の住人は皆体内の魔素が、アンデッドとしてはあまりに少ない。

そしてこの結界は外部からの魔素をほとんど遮断している。

加えて隠蔽効果もあるだろう。」


ゴリさんがレイスに目を向ける。


「若いの。正解じゃ。やるではないか。

儂の弟子にしたいくらいじゃ。

儂らはもう人ではないが、魔素の影響を活動できる最低限しか受けないため、人として生きている状態じゃな。

本来ここには人が入れん。目にすることもできんしな。

結界を通ってきたのもお主の仕業かの。」


会った時には大興奮でゴリさんを煽っていたレイスは普段は物腰が柔らかいらしい。


「オリバーの爺さんは、生前は一端の魔法使いだったんだぜ。

俺は爺さんにはずっと世話んなってる。」


「魔法だと!お前さん達いつの時代の人間だ?」


「なんじゃ?お主たち魔法使い知らんのか?」


「ああ、今じゃ魔法は失われた物だ。聖魔法だけ一部の人間が使えてる。

それにしても驚いたぜ。」


ディオたちの会話を聞いたエシャロットは、何やら考え事を始める。

ソフィアだけ不安そうな顔で錫杖を握りしめながら、皆の会話を見守っている。


「時間の経過は俺らにはわからねえ。

死んだ時期も皆バラバラだが、目覚めたときにはほぼ同時期だ。

それ以来俺が皆をまとめてる。

昔取った杵柄ってやつだな。

皆元気でやってるよ。ゾンビだけどな。

ダーハッハッハッハッハあが、アガ、ガ。。」


ゴリが外れた顎を直していると


「あああああああああああー!」


「んだよ!でっけえ声出して!エシャロットどうした?」


「す、すまない。

おそらくここは消えたとされるアルメキア墳墓だ。

そこのレイスは大賢者オリバー=ロズウェル殿。

そして、ゴリさん。

あなたはアルメキア王国建国者。


初代国王ゴリゴール=アルメキア陛下!」
















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