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哀しみの向こう側  作者: たい焼きと宝石
16/39

16.ともだち


「アタシは今まで感じてきたものが何なのか知りたいんだ。

このドリアードから感じるものは一体何なんだ。」


シバはうなずくと語りだす。



シバは兄であるカズマが管理の任について以降、父の教育以外の時間は一人で里の周辺を散歩するようになった。

里周辺は結界の影響か強力な魔物の出現はないため、子供とはいえ武術も学んでいる彼にそれほど危険はない。

シバには友人と呼べるものがいなかった。

里には同じくらいの歳の子供はいたが、当主の跡取りであった彼は距離ある関係しか作れなかった。

里を出ればただの一個人になれるとでも思ったのかもしれない。


何度か外に出かけていた彼はある日一体の妖精に出会う。

葉のような緑の長い髪、木のような茶色の肌をした小さな女の子の姿。

それはドリアードと呼ばれる妖精だった。

彼女はひどく弱っていて今にも死にそうだった。

シバは教育課程で魔物の生態も学んでいるため、勉強中ではあるがドリアードの特性を知っていた。

ドリアードは生まれた土地から引き離されると生きてはいけない。

シバは彼女を助けようと思った。

一族の技は写魔に用いられるものだが、生体の構成要素がほとんど同じであることから一部応用が利く。

彼女はなんとか一命を取り留めた。

だが環境が変わらない限り彼女は生きられない。

この出会い以降シバは勉学以外の時間をドリアードに費やした。

文献から彼女の生体を調べ、声をかけながら彼女に技をかけつつ、周囲に彼女達の生息域に近しい環境を整える。

それが彼の日課になった。


5年ほどたった頃彼女は初めて口を開く。


【ありが・・とう。】


【! 体は大丈夫?なんかしてほしいことがあったら言ってね。

僕はシバ。君の名前は・・ないよね?】


【名前??】


【そうだな。チャロ。僕は君をチャロって呼ぶよ。】


【シバ・・。チャロ・・。】


【そうそう。今日から僕達は友達だ。】







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