16.ともだち
「アタシは今まで感じてきたものが何なのか知りたいんだ。
このドリアードから感じるものは一体何なんだ。」
シバはうなずくと語りだす。
シバは兄であるカズマが管理の任について以降、父の教育以外の時間は一人で里の周辺を散歩するようになった。
里周辺は結界の影響か強力な魔物の出現はないため、子供とはいえ武術も学んでいる彼にそれほど危険はない。
シバには友人と呼べるものがいなかった。
里には同じくらいの歳の子供はいたが、当主の跡取りであった彼は距離ある関係しか作れなかった。
里を出ればただの一個人になれるとでも思ったのかもしれない。
何度か外に出かけていた彼はある日一体の妖精に出会う。
葉のような緑の長い髪、木のような茶色の肌をした小さな女の子の姿。
それはドリアードと呼ばれる妖精だった。
彼女はひどく弱っていて今にも死にそうだった。
シバは教育課程で魔物の生態も学んでいるため、勉強中ではあるがドリアードの特性を知っていた。
ドリアードは生まれた土地から引き離されると生きてはいけない。
シバは彼女を助けようと思った。
一族の技は写魔に用いられるものだが、生体の構成要素がほとんど同じであることから一部応用が利く。
彼女はなんとか一命を取り留めた。
だが環境が変わらない限り彼女は生きられない。
この出会い以降シバは勉学以外の時間をドリアードに費やした。
文献から彼女の生体を調べ、声をかけながら彼女に技をかけつつ、周囲に彼女達の生息域に近しい環境を整える。
それが彼の日課になった。
5年ほどたった頃彼女は初めて口を開く。
【ありが・・とう。】
【! 体は大丈夫?なんかしてほしいことがあったら言ってね。
僕はシバ。君の名前は・・ないよね?】
【名前??】
【そうだな。チャロ。僕は君をチャロって呼ぶよ。】
【シバ・・。チャロ・・。】
【そうそう。今日から僕達は友達だ。】




