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哀しみの向こう側  作者: たい焼きと宝石
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11.鍛冶師


「今日は当初の予定通り鍛冶屋に行くぞ。」


今現在二人は朝食を取っている。


「わかった。一つ気になっているんだけど、ディオはここで活動していたのか?」


ディオは少し驚いた。

会話内容自体はごく普通なものだ。

だがこれをシバがしているということは初めてといっていい。

話し方も指摘はしたが、なんとなく違和感を覚えた。


(感情が戻ってきてることは聞いているが昨日の契約の影響なのか?

心当たりといえばそれぐらいしかないが。。)


「ん?」


「ああ、わりぃ。そうだ。傭兵してた頃な。

やっぱ視線が鬱陶しいか。覚悟はしてたんだがな。」


「ちょっと聞いてみただけだから。」


(相変わらず物分かりのいいやつだ。

最初はどうかと思ったが、付き合ってみるとコイツのこういうところには救われる。)


「前にも言ったがここの鍛冶屋は知り合いだ。

腕がいいから俺の装備はほとんどそこで世話んなってる。

飯食ったらすぐ向かうぞ。」




「おーい。メルダいるかー。」


目的の鍛冶屋に入るとディオは大きめの声で呼ぶ。

暗い店内は大量の武器が並べられていて、一部の武器や防具が転がっていた。

奥のほうからは明かりが漏れていて、金属を叩いているような音が聞こえる。


「ああーー?客かーい。悪いねー。

今ちょっと手が離せないんだー。

注文なら夕方出直してきなー。」


ディオは返事を無視して明かりの方へ向かっていく。


「邪魔するぜ。」


「アタシの声が聞こえなかったのかい。

聞き分けの悪い客だねえ。

いいからとっとと !

ディスト!ディストじゃないか!」


「中で待たせてもらう。」


ディオはそれだけ言うと店内へ戻って行く。

暫く店内には金属音だけが聞こえていた。

やがて音がなくなり明かりが消え、かわりに店内が明るくなり奥から女性が出てくる。


「今茶をいれたげるよ。ちょっと待っときな。」


女性は色黒の肌で胸元に白いサラシを巻き、緑のショートパンツを履いている。

露出している体は細身の割に筋肉質で締まっている。

二人に茶を差し出した後、酒の入っているだろうボトルを口に含みながら、頭を巻いていた手ぬぐいを取ると長い茶色の髪が垂れた。


「おっどろいたねえ。何年ぶりだい?」


「五年は経ってるな。元気だったか?」


「アハッ、アンタそりゃこっちのセリフさ。アタシは見ての通りさ。」


二人は楽し気に話を始めた。

一息ついた頃


「で?そっちの坊やは誰なんだい?」


「今俺はコイツと旅をしている。

まだ始めたばっかだけどな。

名前はシバという。

無表情で無口だが悪い奴じゃないぜ。」


年はディオよりは若い20代後半だろうか、目元のキツイその女性はシバと話していく。


「アタシはメルダってんだ。」


「シバという。今日はディオの勧めで俺の武器を作ってもらう為ここに来た。」


「アンタ、アタシと会ったことないよね?」


「なんだ?おめえ。そんなに気に入ったか?コイツが。」


「ばっか!そんなんじゃないよ!

なんていうか雰囲気っていうか。

ああああ、なんだろねこれは。

しいて言うなら旦那に雰囲気が似てるきがするよ。」


「!」


シバはじっとメルダを見ている。


「そういやお前さんの旦那は今どうしてる?」


「2年前にどっか行っちまったよ。あの様子じゃたぶん戻ってこないんじゃないかねえ。」


ディオはなんとなくシバを見るが相変わらず表情が分かりにくい。


「まあ、わかんないことはいいか。それよりディオってのはコイツのことかい?」


「ああ、シバには咄嗟だったがそう名乗ってな。」


「アンタが姿消してたのとなんか関係があんのかい?

ダルトンが何度かうち来てアンタのこと心配してたよ。」


「そうか。アイツにはいつか礼を言いてえけどな。」


メルダはディオに目をむける。


「ああ、コイツは俺のことを知らない。

育ちが珍しくてな。

まあ、この王都にくりゃほっといてもバレるけどな。」


「まあ、そのことは後にしようか。

依頼の武器の話をしな。」


シバはディオに作ってもらった武器を出し、ディオは作ってほしい武器の概要を説明する。


説明を聞いたメルダは武器を手に取ると目を見開く。


「ちょ、ちょっとこれ!ドリアードの木じゃないか!」


「ん、珍しいもんなのか?」


「珍しいなんてもんじゃないよ。

ドリアードは生息域がひどく限定的でね。

一流の鍛冶師の中でも一度でいいから扱ってみたいと思うやつは多いよ。

アタシが知ってる限りではこの素材が使われた武器は5本もないよ。」


メルダは武器を触りながら呟く。


「この感じ。。」


シバがぴくっとしたのをディオは見逃さなかった。


「刃の部分はどうするんだい?」


「この剣は材料に使えるか?」シバが言う。


「この剣は!」


「ああ、昔お前さんに作ってもらったやつだな。コイツの兄貴にくれてやったんだ。」


「あいかわらずアンタの持ってくる依頼はとんでもないねえ。

ああ、この剣の材質はシバの武器としては申し分ないね。

こりゃ大仕事だ。」


それを聞いたシバは若干嬉しそうにディオには見えた。


「じゃあ、次はディスト。アンタの番だ。」


「あん?俺の依頼はねえぞ。」


メルダは鋭い目つきでディオを睨む。

それを見て観念したディオは不満そうに背中から武器を取り出す。

その大きな物体は大剣の方ではなく巨大なブーメランだった。

それを見たメルダは怒っているようにも泣いているようにも見える。


「そういうことだったんだね。。」


「まあ、お前さんの見立ては正しかったわけだ。

メルダ、お前さんはほんと優秀な鍛冶師だな。」


3人の前に置かれたその巨大なブーメランには、血管のようなものが浮き出ていて鼓動していた。

付いている目がギロギロとせわしなく動いている。

そして禍々しい黒い靄のようなものが等身を覆っていた。











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