ある提案?
痛む肋骨のせいで永遠にも感じられた十分ほどの散歩の後、俺たちは量り売り料理のレストランに着いた。
店内は質素な装飾だったが、ドアから漏れ出る生姜と豚肉の炒めた香りが、一瞬だけ痛みを忘れさせてくれた。
「うっすー!」
魁斗が叫んだ。
その叫び声はほぼ満席の店内の壁に反響し、箸の音がぴたりと止まった。
居合わせた客たちの不快そうな視線が、すぐに注がれた。
「声、落とせや、ボケ」
瞬がそう言い放ち、魁斗のみぞおちに乾いた肘鉄を食らわせた。
魁斗は大げさに身をよじり、鈍い呻き声を漏らしたが、打撃はそれほど強くなかったようだ。
俺はといえば、地面に穴が開いて吸い込まれてしまいたい気分だった。
満員の店に、路上で知り合ったばかりの二人連れで入ってきたのだ。居合わせた客の九割は、ミイラのように包帯を巻いた少年が、大声を張り上げる男と不機嫌な男の後をついてくるのを不思議に思っているに違いない。
「あ……ああ、そうだ。早く座れ」
ドアに一番近い椅子に座っていた男が言った。
印象的な男だった。背が高く、がっしりしていて、顎の線は石を彫ったかのように際立っていた。
しかし、俺が最も羨ましく思ったのは、その黒い髪だった。密度が濃く、完璧に手入れされ、レストランの蛍光灯の下で輝いていた。
「やあ、坊や。名前、何だ?」
大男が、低いが妙に優しい声で尋ねた。
「ジークや……」
俺は少し小さな声で答えた。
他人の視線がうなじに突き刺さる重みを、まだ感じていた。
「魁斗のお友達? はじめましてー!」
彼の隣に座っていた女性が口を挟んだ。
俺より少し年上に見えたが、何より目を引いたのはその服装だった。
完璧なブレザーにブラウス、パンツ――すべてが眩しいほどの純白。
まるで洗剤のコマーシャルから出てきたかのようだった。
「正確には違います」
俺はすぐに訂正した。
「彼らが俺を探していると言うんで、理由を聞きにここまで来たんです」
「ああ、なるほどねぇ」
彼女は頷き、少しだけ姿勢を正した。
「実はね、昨日小倉の闘技場で戦った少年を探してるんだわ。私のメンバーがそのトーナメントを観戦してて、アリーナで何が起きたかをめっちゃ詳しく話してくれたの。あなたが本当に私たちの探してる人かどうか知りたいから、教えて――決勝であなたが戦った相手の名前は?」
俺はしばらく考え込んだ。
「ええと、昨日は三人と戦ったけど……魁斗と瞬の説明だと、二本の刀の男と戦った奴を探しとるんやろ? 坂田……仁……」
俺はついに口にした。
少女は片眉を上げて、大男の方を向いた。
「その名前だったかい、アレクサンドロス?」
「正確な名前、覚えてない。彼女が言っていたが、俺、正直聞いてなかった」
アレクサンドロスは正直に言い放った。
「君たちは?」
女性は井上兄弟を見て尋ねた。
「知らんわ! すごい試合やったとしか聞いとらんしな!」
魁斗は肩をすくめて言った。
「俺は何も聞いてない。魁斗が俺のデザート食ったこと責めるのに忙しかったからな」
瞬は苛立たしげに付け加えた。
つまり、例のメンバーは前の夜に彼らに話をしたらしいが、このグループの結束力は、控えめに言っても疑わしかった。
誰が本当に俺を探しているのか、確信が持てなかった。
琴によれば、決勝で最初は空だった第173闘技場の三つの観客席が、人で埋まったという。
誰でもあり得た。
「華凛ちゃんが戻るまで待ってもらえるかい?」
少女は俺に頼んだ。
「お詫びにランチご馳走するから! 量り売りだから、好きなだけ選んでいいよ!」
彼女はまだ自分の名前を名乗らなかった。魁斗を除けば、この場の空気は妙に閉鎖的だった。
しかし、食事の話が出た途端、俺の胃袋が抗議の轟音を上げ、もう断れなかった。
トンカツを二枚、黄金色の餃子を三つ、湯気の立つ豚骨ラーメンを一杯、肉まんを二つ、そして巨大なオレンジジュースを慎重に選んだ後、俺は食べ始めた。
少し恥ずかしかった。
俺が食事をむさぼる間、テーブルは墓場のような静寂に包まれていた。
何とか氷を砕かねばならなかった。
「で、君たちは……正確には何をしとるん?」
俺は餃子を半分口に含みながら尋ねた。
四人は顔を見合わせた。その質問があまりに当然すぎて、滑稽に思えたかのように。
白いブレザーの少女が口を開いた。
「共鳴者だよ」
彼女は指で一人ずつ指しながら言った。
「名前は魁斗、瞬、そしてアレクサンドロス」
「アレクサンドロス」。島でこんなに異国的な名前を聞いたのは初めてだった。
いや、ウルライスもいたが、こちらの方が出自の知れぬ威厳があった。
「君は?」
俺は彼女に尋ねた。
「私はみんなのマネージャー。つまり、共鳴者事務所のオーナーで、彼らはみんな私のために働いてるのさ!」
彼女は自信満々に、誇らしげに胸を張った。
「俺たち、お前のために働いている? パートナーという話ではなかったか、アキ?」
アレクサンドロスが疑念の影を帯びて口を挟んだ。
「まあ、形式的なものだってば、ははは! そんな怒らないでよぉ!」
彼女は落ち着かなく笑った。
「ところで、私の名前は秋田アキ。そして、私が設立したのは――ドラムロール、お願い!」
アキは魁斗を見た。魁斗は即座にテーブルをリズミカルに叩き始め、ドラムロールを真似た。
「――沢蟹事務所! ムアハハハ!」
アキは叫び、アニメの悪役のような笑い声を上げた。
アレクサンドロス、瞬、そして俺は、特大の気まずさの表情を浮かべた。
レストラン中の視線が、再び俺たちのテーブルに集まった。
この光景を楽しんでいるのは、魁斗だけだった。
誰も彼の祝祭に加わらないのを見て、アキの態度は風船がしぼむように萎んでいった。
彼女はゆっくりと座り、そのオーラは灰色で陰鬱になった。
「ところで、なんで俺を探しとったん?」
俺は急いで尋ねた。彼女がレストランで泣き出す前に、機嫌を直そうとして。
「そうだ!」
アキは瞬時に復活した。
「私たちは、その人に契約を申し込もうと探してたんだわ。華凛によると、あなたは戦闘が異常に優れていたそうよ」
俺は凍りついた。
契約? 俺に?
これは人生のチャンスかもしれないと思った。
こいつらはばかみたいに強そうだったし、アキは奇行が多くても、何をしているか分かっているように見えた。
胸に一筋の興奮を感じた。
あとは、例の華凛が来て、俺が昨夜の英雄だと確認するだけだ。
すでに食事を終えていたので、俺は正式に礼を述べた。
三人の男たちが完全な退屈に沈んでいく中、俺はアキとの会話を続けた。
彼らは上司の饒舌が息苦しいほどだということに慣れているようだったが、俺には不思議と面白く感じられた。
突然、入口の鐘の音が聞こえた。
誰かが決意を持ってドアを開けた。
女の子だった……待て、彼女?
「お疲れさまー……。レナはもう帰したでねぇ。離れたくないって、めんどくさかったわあ……」
新しく来た彼女は、だるそうにため息をつきながら言った。
「華凛ちゃん、こんにちは!」
アキが叫んだ。
神崎華凛、24歳。
三人の男たちは、無気力から純粋な期待へと変わった。
華凛が俺に視線を向けた。
俺はといえば、席で縮こまった。
はっきりと覚えている。彼女は、俺に話しかけるなと公衆の面前で侮辱したあの少女だ!
華凛はテーブルの向こうからじっと俺を見つめ、頭蓋骨を穿つような目で俺を分析した。
彼女は言った……
「ええええ……」
長く、伸びる声。一秒ごとに音程が上がっていく。
「昨日のネズミ頭だでえ……」
彼女はついに言い放った。
その一言が、俺を打ちのめした。
アレクサンドロスは好奇心を持って俺を見て、それから一人で頷いた。
俺の髪は、今では尖って乱れ、一房が跳ねていた。そのせいで頭が丸く見え、かなり明白な齧歯類の雰囲気を醸し出していた。
俺は腕の中に顔を隠し、消えてしまいたいと思った。
「で、彼か? 違うか?」
アレクサンドロスが苛立たしげに尋ねた。
「ええー? 違うってぇ。うちが言っとるのは二本の刀の男だで。昨日言ったこと、どこまで聞いとったのぉ……?」
華凛はだるそうに答えた。
どうやら、誰も注意を払っていなかったらしい。
華凛はため息をついた。
「とりあえず、炭酸水もらうわぁ。暑いんだで」
「華凛ちゃん……じゃあ、彼じゃないの?」
アキは明らかに失望して尋ねた。
華凛は一呼吸置き、自分のグラスを見つめた。
彼女はトーナメントにいて、俺が実際に見せたレベルを知っていた。事務所に受け入れるのに問題はないはずだった。
しかし、俺があんなに情けない形でデートに誘ったことをまだ忘れておらず、彼女は戸惑っていた。
「まあ……」
彼女はついに、水を一口飲んでから言った。
「かなりの力と持久力はあると思うわぁ。リクルートしても悪くないんじゃないかねぇ。ただ、聞いたところによると、彼の初トーナメントらしいでね。アキ、決めるのはあんただよ」
「どうする、ジーク?」
アキは俺の方を向き、無視するのがほとんど不可能な捨て犬の顔をした。
「私たちのチームに入らないかい?」
俺はできるだけ冷静に状況を分析し始めた。
住む場所がないことは分かっていた。
琴の家にいるのは一時的な好意で、彼に負担をかけたくなかった。
しかし、ウルライスの言葉が脳裏に響いた。
(万済でまた会おう。秋にな)
「受け入れるのは簡単や」
俺はそう言った。何とか尊厳を取り戻し、重要な決断を下す人間のように聞こえるように。
「でも、俺には自分の目的がある。沢蟹は事務所として何を提供してくれるんや?」
「えっと……その……うーん……」
アキはどもり始め、空中に言葉を探したが見つからなかった。
(なぜか、アキはいつも直感でうまくいくんだよな……)
アレクサンドロスはそう思い、リクルートを救うために口を挟んだ。
「入れば、寝る場所、一流の食事、そして島で最高のジムで訓練する権利、手に入る」
彼は無理やりな笑みを浮かべて言った。
「そして何より……一緒に時間を過ごす友達だ」
(この可哀想な少年に少し嘘をつかないといけないが、アキが彼に目を付けたなら、何か理由があるはずだ)
彼は心の中でそう思った。
俺が愚かだったのか、それとも必要性が目を曇らせたのか分からないが、俺はその話を完全に信じ込んだ。
しかし、何かにサインする前に、一つだけはっきりさせておきたかった。
「俺の主な目標は、クラシックランクに上がって、万済の秋のクラシックに出ることや。その挑戦、受け入れるか?」
「もちろん、任せてよ!」
アキは新たな自信を持って承諾した。
「ところで、いつまで小倉におるんや?」
「明日までやで! 朝にはウォレスビーチに向けて出発するわ!」
魁斗が興奮して答えた。
ウルライスが言っていたトーナメントが一週間後に始まることを思い出した。
「ほんまか? あっちのサマークラシックを見に行くんか?」
心臓が跳ねた。
「まあ、そんなところさ」
アキは訂正した。
「魁斗とアレクサンドロスが出場するの。事務所の資金を全部、旅費と滞在費に投資したから……勝ってくれないと、野宿だよ!」
彼女は引きつった笑いを浮かべながら付け加えた。
「アキ、明日の朝に寄ってもええか? 友達の家に荷物を取りに行って、別れを言わなあかん」
「うん、いいよ! じゃあ明日ね、ジーク!」
アキは元気よく別れを告げた。
俺はレストランを出た。初めて、運命が俺に微笑んでいるような気がした。
◇
【おまけ:真の目的】
我らが主人公が岐路に立たされている頃、沢蟹事務所の面々はレストランに残っていた。
ジークが空けた席に座った華凛は、だるそうにドアの方を見つめていた。
突然、彼女は一人の男が入ってくるのを見た。金髪で背が高く、否定しようのないほどの存在感を放つ男――坂田仁だった。
(あいつだでぇ……)
華凛は驚き、炭酸水をすすりながら思った。
しかし、一瞬ためらった後、彼女は知らんぷりを決め込み、仲間には何も言わないことにした。面倒事に巻き込まれるのは御免だった。
その時、一人の少女がおずおずとジンのテーブルに近づいた。
「あの、すみません! あなたって、昨日のトーナメントで二本の刀を使ってた人ですよね? 優勝できなくて残念でした……写真、撮ってもらえませんか?」
ファンは興奮気味に尋ねた。
そのまっすぐな問いかけに、ジンはあからさまに戸惑った。公の場でそうして声をかけられることに、どう対応すればいいのか分からなかったのだ。
沢蟹のテーブルでも、全員がその少女の言葉を聞き逃さなかった。
三人の男たちとアキは一瞬で固まり、それからギギギ……と音を立てるように、ゆっくりと華凛の方を向いた。
華凛はといえば、明後日の方向の天井を見上げ、とぼけた様子で口笛を吹き、徹底的に知らんぷりを決め込んでいた。
食事を選びながら、ジンは何気なく沢蟹のテーブルへと視線を向けた。
(……なんて変な連中だ)
彼は心の中で小さくため息をついた。




