ジレンマ
痛む肩を落とし、ジークは琴の住居へと続く擦り切れた舗装路を、足を引きずりながら歩いていた。
小倉州の空は、夕暮れの紫がかった色に染まり始めていたが、彼の心は別の場所にあった。不確かさと疲労のループに囚われていた。
物思いに沈み、周囲の風景をほとんど認識していなかった。そんな彼の耳に、古の権威を帯びた嗄れた声が、鞭のように空気を裂いて届いた。
「そのそばかす……儂は知っておるぞ。」
ジークは足を止めた。ブーツが地面に軋んだ。
顔を上げると、公園の木製ベンチに座った年配の男に目が留まった。
老人は、公共の場には似つかわしくないほどのエレガンスを身にまとっていた。濃い色の木の杖を握り、その目は歳月で疲れているものの、狡猾な輝きを保っていた。
「どういう意味ですか、旦那さん?」
ジークは尋ねた。純粋な防衛本能から脈拍が速くなるのを感じながら。
「あの鼻のそばかすは、忘れようがない。」
男は挑戦的な笑みを浮かべて言った。
「教えてくれ、小僧……お前は、アグネス・フレッチャーの息子か?」
その名は、ジークにローブローを食らわせたような衝撃を与えた。
母親の名にその姓が結びつくのを聞くのは、初めてだった。
彼は呆然と立ち尽くし、足元の地面が不安定になるのを感じた。
「す、すみません、その人は知りません。」
ジークはそう答え、何とか平静を取り戻そうとしたが、その声は少し上の空だった。
「おかんの名前は確かにアグネスでしたけど、あんたは別人のことを言っとるんでしょう。」
老人は乾いた笑いを漏らした。それは、見せている以上に多くを知っていることを示していた。
「ああ、なるほど……では、六田アグネスと言えば、何か思い当たるか?」
衝撃は完璧だった。
ジークは背筋に電流が走るのを感じた。
この男は何者なのか。小倉州の街中で、おかんの名前と親父の姓を口にするとは。
「なんでおかんを知っとるんですか? なんで今、そんなことを? あんた、誰なんですか?」
ジークは警戒心を剥き出しにして、質問を浴びせた。
老人はゆっくりとした仕草で、隣に座るよう促した。
「お前は、アグネスと六田弘司の息子だな?」
「……そうです。六田ジークです。」
「もちろん知っておるよ、小僧。」
男は誇りと吟味の入り混じった目で彼を観察した。
「儂はな……いや、儂はかつて、弘司がキャリアを始めた頃の後援者だった。彼がお前と同じくらいの歳の頃にな。」
「え……本当ですか?」
「ああ、本当だ。儂の名は及川義雄。 白鷺事務所の創設者だ。今は息子たちが切り盛りしておるが、まだ儂は自分のやり方で働いておる。事務所を創設して五十年になるが、小倉で最大の事務所になった。」
ジークは固唾をのんだ。
(島でうまく始めたいなら、俺の息子だと言え)
親父はそう言っていた。
あの名前を後ろ盾として使わないと誓った。しかしここに、過去が彼を探しに来ていた。
「なんで、俺がここを通ると分かったんですか?」
ジークは及川の意図を探ろうと尋ねた。
「儂は普通の通行人としてここを通りかかったのじゃ。」
老人は静かに説明した。
「だが、あのレストランの前を通った時、特徴的な顔立ちの若者を見た。お前はこの道を通るだろうと思った。ジャーナリストのソマーズの家に一番近いからな。間違っておるか?」
「なんで琴を知っとるんですか?」
ジークはためらい、監視されているような感覚に陥った。
「あの娘はいつも儂にインタビューしに来ておった。儂が引退した後、それをした数少ない一人だ。少しばかりの友情を築いた。まず共鳴本部を訪ねたが、お前はいなかった。受付の女性が、お前は他の二人と一緒に去ったと言った。それからソマーズに連絡し、お前の居場所を確認した。無礼はしたくなかったので、ここでお前が通りかかるのを待つことにしたのじゃ。」
ジークは警戒心を持って彼を見た。
業界の巨人が、自ら彼を追っていたのだ。
しかし、どんな意図で?
「それで、俺に何の用なんですか? なんでそんなに俺を探すんですか?」
「儂はお前に契約を申し込むために来た。白鷺に入れ。父の遺産を継げ。儂がお前に不自由させないことを約束しよう。お前が真の価値を証明すれば、贅沢な生活が待っておる。」
及川は、スコットランド育ちのジークにとって不気味なほど落ち着き払った口調で言い放った。
ジークは黙っていた。
頭の中は混沌としていた。
なぜ今なんだ? ちょうどアキと沢蟹の連中に会ったばかりなのに?
決断の重みが胸を圧迫した。
「及川さん、ご厚意はありがたいですけど……考える時間をいただけませんか。あまりに突然すぎて。」
「よく考えろ、小僧。明日の朝までだ。連絡を待っておる。お前の父は……偉大な共鳴者だったが、それ以上に良い人間だった。彼は当時、白鷺の礎の一人だった。儂は彼に多くを負っておる。彼を敬い、その遺産を完成させろ。ではな。」
及川は杖の助けを借りて立ち上がり、金色に刻まれた個人番号入りのカードを差し出した。
そして手を挙げると、高級黒塗りのセダンを運転する運転手を呼んだ。中には、貴族的な雰囲気の女性――おそらく孫娘――が待っていた。
ジークは車が遠ざかるのを見送り、これまで以上に方向を失った気分になりながら、琴の家へと走り出した。
答えよりも多くの疑問を抱えて。
◇
完全に動揺したジークは、コラムを執筆中の琴の家にたどり着いた。
「どうしたの、ジークさん? 目がどこか遠くを見てるよ……」
琴は画面から目を離さずに言った。
「混乱しとるんや……琴、及川って爺さんを知っとるか? 杖をついた年寄りや」
「及川さん! もちろん知ってるわ。彼との取材のおかげで、新聞社で良い地位につけたんだから。去年はずっと彼のインタビューに費やして、その記事を出したら年間最優秀記事賞を取ったの。会ったの?」
「お前、俺の居場所を教えたんか?」
ジークは疑心暗鬼になって尋ねた。
「ええ。ジークさん、居場所がないって言ってたでしょ? だから彼に電話して、白鷺に入るように伝えたの。及川さんは録音を聞いて衝撃を受けて、自ら探しに行ったのよ。今仕上げている記事が出たら、あなたの名前は小倉中に広まるわ。だから、あなたのキャリアを支える大きな事務所が必要なの」
「でも、俺はもう別の事務所に入るって決めたんや! 知らない二人に会った後、レストランにいるって話したやろ? そしたら、その二人が俺をスカウトしに来た奴らで、結局承諾してしもうた……もうどうしたらええか分からん。ええ暮らしがしたいのは嘘やない。でも、彼らを蹴り落としたら、約束を破ることになる気がするんや」
琴はタイピングの手を止め、状況を理解した。
落ち込んでいるジークに近づき、自分が事態をややこしくしてしまったのだと悟る。
「どうする?」
「『どうする』って、なんでお前が決断に加わるんや!?」
ジークは叱ったが、その口調は怒りというより苛立ちだった。
「だって、あなたが受けなかったら、及川さんに対して立場が悪くなるでしょう……ごめんなさい、もう別の事務所と決めてたなんて知らなかったの!」
琴は畳に額をすりつけ、正式な土下座をした。
それを見て、ジークの苛立ちは静けさに変わった。
「気にするな、琴。お前のせいやない。俺のために最善を尽くしてくれたんやろ? 今日が終わるまでに、ちゃんと返事を考えるわ。明日、及川に電話して決断を伝える。立場が悪くなることは心配するな、お前に何も起きへん」
◇
不安に満ちた夜が明けた。
琴が狭いベッドで規則的な寝息を立てる間、ジークはソファで寝返りを打ちながら、天井を見つめていた。
(本当に白鷺に入りたいんか? ええ暮らしがしたい、うまいもんが食いたい、ゆっくり休みたい……親父やったらどうするやろ?)
彼は琴の眠りを妨げないよう、心の中で呟いた。
答えを探しながら、ジークは静かにアパートを出て、弘司に電話をかけた。
コールがしばらく鳴った後、父親が出た。
『もしもし、ジークか?』
「こんな時間に起きとるんか? 寝なくてええんか?」
『どうしたんや、息子よ。金が必要か? 貸したるで』
弘司は短く笑ったが、その笑いはジークの次の言葉を聞いた途端に消え去った。
「及川って爺さんに会ったんや。それで、白鷺って事務所に入れって言われとる」
数秒間、沈黙が支配した。父は適切な言葉を探しているようだった。
『……おお、義雄さんに会うたんか。どうしてまた? あの爺さんは、そう簡単に才能を狩りに出るような人やないで』
「島に馴染むまで数日泊めてくれてる友達がおってな。その友達が彼とええ関係やったから、俺を推薦してくれたんや。及川さんは俺の姓を聞いて、迷わず探しに来た。親父の遺産を継いでほしいって。おかんのそばかすで俺だって分かったらしい。問題は、同じ時に別の人たちにも会って、その事務所に誘われてしもうて、どうしたらええか分からんのや。全部が一度に来すぎて、混乱しとる……」
『あの頑固爺……。俺が彼の事務所を辞めて、お前のおかんと働くのが耐えられんかったんや。いつも彼女に恨みを持っとったが、俺のことはまだ愛しとった。俺が彼のために働くのをやめたんは、お前が生まれた時や。及川は年齢の割にかなり貪欲でな、稼いだ金の八割を持って行きよった。でも、お前が生まれた時、俺は最高の決断をした。お前たちのためだけに働くってな。お前たちのためによりええ未来を築きたかったんや……』
「親父やったら、どんな決断をする?」
苦悩するジークが尋ねた。
『うーん……その人たちのこと、どう思う?』
「全部は知らんけど、恥ずかしい思いもさせられた……でも、一緒に食卓を囲んどる時、一体感みたいなもんを感じたんや。家族に似た感覚……」
ジークは目頭を熱くしながら言った。
『はは、なるほどな……お前の気持ち、分かるで、ジーク。確かに白鷺におったら何も困らんやろ。でもな、共鳴者が一番苦しむんはそれや、空虚な贅沢や。全てを持ちながら、誰とも分かち合えへんほど辛いもんはない。実業家なんてハゲタカと同じや、きっちり自分らの取り分を差し出す時だけ仲間ヅラしよる。心の声に従って決めろ。俺はお前の決断を尊重する。何しろ、もう大人やからな。でも、いくつになっても親父と話せることに変わりはないで。こんな難しい時に俺の顔を思い出してくれて、おおきにな』
「ありがとう、親父。話は変わるんやけど、あと三十万円送ってもらえへん?」
『一ヶ月で五十万円返したらな、ははは』
弘司は銀行の支店長のように、真面目なトーンで答えた。
ジークはそれを聞いて苦笑しながら電話を切った。そして、最終的な答えを胸に、琴のアパートへと戻っていった。
◇
■ 2022年8月9日
太陽が昇り始め、ジークは二時間ほど眠ることができた。
朝の五時。
まあ、これが「早朝」ってやつなんやろな。
ジークは琴を起こした。彼女の凄まじい寝息は、スコットランドの農場での日々を思い出させた。
彼女は突然目を覚まし、上司に見つかった会社員のような顔をして、急いでパソコンに向かった。
「琴、落ち着け。まだ仕事の時間やないで」
「こんにちは、シェケ……寝てなぁいよ……目閉じて考え事してただけ……怒らないでねぇ……」
琴は起きているのか寝ているのか分からない様子で言った。
ジークは彼女を洗面所に連れて行き、冷水のシャワーの前に顔を向けさせた。一瞬で我に返る琴。
「ごめん、まだ寝てたわ。どうしたの、ジークさん? もう行くの? すごく早いね……」
「ああ。時間が早うてすまんな。早朝に返事をすると約束したから、そろそろ伝えに行かんと」
「分かったわ、ジークさん。でも……なんで電話するだけじゃダメなの?」
「俺らしくないんや。物事は面と向かってぶつかるもんや、知っとるやろ」
(……まあ、実際は電話するだけやけどな、へへ)
心の中で吐き捨てるように付け加える。
「行く前に、私が書いた記事、見てみない? 昨日編集部に送ったの。あと二時間もしたらポータルにアップするわ」
「心配するな。道中で見るわ。何しろ、小倉のニュースレターを購読しとるんやから……」
そう言いながら、会員費に大金を使ったことを少し恥ずかしく思った。くそっ、ナオめ。
「分かったわ」
琴は一呼吸置いた。
「ジークさん、お体に気をつけて。あなたが大きな道を切り開くって、分かってるから。この島には、歴史がまだ知らない怪物が溢れてる。行って、食い尽くしてきなさい」
「それは任せとき」
二人は堅い握手を交わした。それから、ヨーロッパの習慣に従って、ジークは彼女を軽く抱きしめた。琴は少し顔を赤らめた。
「ジークさん、ここではそんなことしないのよ……」
「知っとる。スコットランドの温もりってやつや……また会おう、琴」
スーツケースを掴み、ジークは部屋を出た。
間違いを許さないこの島で、彼はおおきな一歩を踏み出した。太陽が昇る中、ただ前へ進む。
◇
一方その頃、及川の邸宅では――
老人はすでに身支度を整え、一日の準備を終えていた。
広々とした居間のソファに身を沈め、電話が鳴るのを辛抱強く待っていた。
待った。
そして待った。
しかし、電話は鳴らない。
時間を守らないことに怒りが頂点に達し、立ち上がろうとしたその時――
リーン、リーン。
『もしもし? ジークか?』
及川は記録的な速さで受話器を取った。
「及川さん、おはようございます。六田ジークです」
『時間を守らんことが何より嫌いなんじゃ』
及川は顔をしかめながら言った。
『で、迎えの車を送ろうか?』
「それは必要ありません、及川さん……」
『おお、では白鷺におるんじゃな! ちょっと待っておれ、今からそちらへ行く』
興奮気味に電話を切ろうとする老人。
「いいえ、そうじゃなくて……申し出はありがたいんですが……受けられません」
『何じゃと!? 自分が何を言っとるか分かっとるのか!? 全てを手に入れられるのを断るとは、どんな愚か者じゃ!』
及川の怒声が受話器の向こうで爆発する。
「及川さん、何時間も考えました、本当です。でも、一つ知っておいてほしいことがあります。全てを持っていたら、どうやって楽しむんですか? 誰と分かち合うんですか? 実は、あなたが俺を見つける前、あのレストランで……もう一つの申し出を受けていたんです。そして、決断の理由は単純すぎて、笑われるかもしれません」
『一体何を提示されたというんじゃ! 儂が提示できんものを!?』
「家族です、及川さん。申し出は本当にありがとうございました。でも、もう決断しました。……あ、それから、琴を怒らないでください」
ジークは一方的に通話を切った。
及川はその無礼さに激怒し、怒りに任せて電話を床に叩きつけた。
長い人生で、電話を切られたのは初めてだった。
そして――スカウトを断られたのは、人生で二度目だった。
しかも、その二人の男は――同じ『六田』の苗字を名乗っていた。
◇
アパートを出たジークは、約束の場所であるレストランへ向かった。
待ち合わせの時間。
「時間や。今日から俺の人生の新しい章が始まる」
スーツケースからコートを取り出し、羽織る。口から吐き出した白い息が空気に消えた。
小倉州は昼は地上の地獄、夜は冷たい墓場だった。
レストランのドアのそばに立ち、じっと待つ。
……誰も来ない。
朝の六時一分。通りには誰一人として歩いていなかった。
時間が過ぎる。ジークの忍耐が限界に達し、及川に再び電話して、靴を舐めるような真似をしてでも白鷺に入れてくれと懇願しようかと考え始めた、その時――
「ジークーー!」
遠くから甲高い呼び声が響いた。
振り返ると、秋田アキ――彼の新しい、そして恐ろしく落ち着きのない上司が走ってきた。
アキは近づく途中で歩道のくぼみに盛大につまずき、顔面から真っ逆さまに倒れた。短い呻き声の後、ジークに無表情で抱え起こされる。
「おい、今何時か分かっとるんか? もうすぐ朝の七時やぞ」
「謝罪を要求するわ……」
彼女はぐったりしながら言った。半ブロックを走ってきた疲労で限界のようだ。
「『謝罪を要求する』やなくて『謝罪を申し出る』やろ?」
「それ! それだよ! ごめん、ちょっと疲れててさ……」
アキは気合いで疲労を吹き飛ばし、胸を張った。
「沢蟹へようこそ! これを身分証として受け取って!」
渡されたのは、安っぽいカニのピンバッジだった。
(あ……可愛いな)
いや、待て。ダサい……。
ジークは誰にも見られないよう、素早くそれをポケットに隠した。
「で? 他の連中はどこや?」
その時、角の向こうからプープーと間抜けなクラクションが鳴り響いた。
ジークは巨大なキャンピングカーか、ウォレスビーチへ向かう豪華なリムジンを想像した。
しかし、曲がってきたのは――
方向指示灯が片方壊れた、ボロボロの小さな中古ミニバンだった。明らかに違法改造車だ。
「着いたよぉ!」
アキが胸を張る。
ジークは顔を覆った。時間を巻き戻して、白鷺のセダンに乗り込みたい気分だった。
ミニバンが止まると、運転席のアレクサンドロスが巨大な体を折り曲げ、天井に頭をぶつけないよう必死になっていた。アキは素早く助手席に飛び乗る。
「さあ、ジーク! 出発の時間だよ! スーツケースは後ろに積んで、シートベルト締めて!」
ジークは半ば諦めて車に乗り込んだ。
後部座席では、三人のメンバーが半目で挨拶してきた。華凛だけは狸寝入りを決めていた。
彼は華凛の隣に腰を下ろし、ガタつくドアを閉めた。
かくして、沢蟹事務所のウォレスビーチへの旅が始まった。
◇
【デビュー編 エピローグ:異常なトーナメント ~ソマーズ琴~】
太陽が昇り始めた頃、ジークは時間になったことを思い出し、スマホで小倉ニュースレターのポータルを開いた。
琴が週刊コラムを公開していた。
読み進めるうちに、ジークの顔に小さな笑みが浮かんだ。
アキがルームミラー越しに、幸せそうなジークを見た。
「どうしたの、ジークくん? 私たちと一緒になって嬉しいのかい?」
彼女は得意げに鼻をこすろうとしたが、その時、道路の段差で手をぶつけ、小さな呻き声を漏らした。
「うん? ああ、そんなとこや……。」
ジークは生返事を返し、記事の続きに目を落とした。
小倉ニュースレター
セクション:共鳴記 | 07:00 AM
『異常なトーナメント』
著:ソマーズ琴
また私のコラムへようこそ! 毎週恒例、この私、ソマーズ琴が半年にわたってお届けしているこのコーナー。今回は、正直に言って、地元のサーキットについて知っていた全てを考え直させるような内容になりました。
今週は全く別のテーマを用意していたのですが、そんなのどうでもいい! 私が目撃したことの方がはるかに重要なのです。
私は新人共鳴者、六田ジークに同行する光栄を得ました。
まだ十八歳のこの若者は、この辺りでは本当に異国的な土地――スコットランドから、我々の島に降り立ったばかりです。霧が濃すぎて周りが見えないと言われるあの場所です。
この少年は、ハイランドの奥地からやって来て、溢れんばかりの才能を見せつけました。
ちなみに、疑問に思っている方もいるでしょうが――いいえ! 彼は大西洋島の出身ではありません。栄光への道を歩むため、あえて太平洋共鳴島を選んだのです。
私は友人のジークが己の価値を証明しようとするのに同行しました。向かった先は小倉州第173闘技場。そこは、ほとんどの共鳴者や観客が聞いたこともないような場所です。
これからお話しするのは、プレオープントーナメントで起きたことですが、断言します――そのレベルはエリート級でした!
この異常なトーナメントで、私は卓越した戦いを目撃する幸運に恵まれました。三つの名前を覚えておいてください。個人的に追跡するつもりです:
六田ジーク:華々しいチャンピオン。そして彼の予測不能なメレニス。
坂田仁:「小倉の王」として知られ、トーナメントの準優勝者、そしてオーディンの共鳴者!
山:恐るべき若者。その潜在能力はまさに絶大です。
準決勝は伝説の戦いでした。特に、スミス対六田。なんという激しさだったことか! 打撃が絶え間なく飛び交い、ついに一太刀がスコットランド人に勝利をもたらしました。もう一方の山では、坂田が山との激戦を制しました。
(ああ、なるほど……琴は山を守るために嘘をついたんやな……優しいやないか)
――ジークは胸の中で静かに思った。
そして……決勝。夢のような決勝戦!
その時、観客席は満員で、周囲の人々が観戦しようと押し寄せ始めていました。中にはスマホで撮影している人も(ネットで検索して、私の真実性を確認してください!)。
それは栄光に飢えた二人の戦士の衝突であり、入り混じった感情に満ちていました。坂田が最後の技を繰り出した後、ジークは屈しなかった! 絶望的な反撃で、彼はついに鉄の剣メレニスで坂田を刺したのです。
心臓が止まるような結末でした。衝撃の後、二人とも賞杯を手にしようと立ち上がることができませんでした。耳を聾するような熱狂の数秒後、ジークが勝利を収めました。
素晴らしかった。
そして正直に言うと、テレビ中継がなかったことがとても嬉しい。だって、私は絶対的なスクープを持っているのですから! 運命が、そんな怪物たちを質素な第173闘技場で戦わせたのかもしれませんが、観客たちがこのトーナメントを忘れることはないでしょう。私も忘れません!
これらの名前を忘れないでください:山、坂田仁、そして六田ジーク。
未来の伝説。
信頼できる特派員、ソマーズ琴がお送りしました。
また来週、偉大な功績を求めてお会いしましょう。
それでは!
◇
沢蟹事務所のメンバーを乗せたミニバンがいよいよ小倉を離れ、新しい舞台・ウォレスビーチへと向かっていきますね!
ゼークの決断により、チームが正式に決定しました!
【沢蟹事務所】
創設者:秋田アキ、22歳、北海道出身。
メンバー:
アレクサンドロス・レツォス、28歳、ギリシャ出身。 (契約神:???)
井上魁斗、21歳、大阪出身。 (契約神:???)
神崎華凛、24歳、名古屋出身。 (契約神:???)
井上瞬、19歳、大阪出身。 (契約神:???)
六田ジーク、18歳、京都出身、スコットランド育ち(NEW!!!!)(契約神:タラニス)
こうして、個性豊かなメンバーが集まりました。
彼らがこれからどんな物語を紡いでいくのか、どうぞお楽しみに!
次章からは、第二編「沢蟹編」が始まります!




