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RE/SONANCE  作者: ねずおあきとし
別離と心境編
22/26

Challenger Soul ~北欧の巨人戦!~

リンボに戻ると、ジークはタラニスとラヴィアナの隣でスクリーンの前に座った。


「第二準決勝はもう始まったか?」


「始まるところじゃ。座れ」


 三人は期待を込めて観察した。


 そこから勝ち上がった者が、決勝でのジークの相手になる。


「よく観察するんじゃ」


 タラニスが言った。


「奴が勝てば、厳しい戦いになるぞ」


「大きい人やな。体力だけで勝てるとは思えへん」


「始まる前に……」


 タラニスは手を伸ばした。


「最後にもう一度、メレニスに入らせてくれ」


 ジークは何も聞かずに神具を渡した。


◇


 タラニスは目を閉じ、魂の平面へ入った。


「こんにちは、こんにちは……おるか?」


「オレンジ色の髪の女神よ。お前の願いについて考えた」


「で、どうじゃ?」


「断る。若きジークは、約束を果たすとは何かを学ばねばならん」


「だが、武器を変えられなければ、彼は……」


「教えてくれ、女神よ。決断することを学ばなければ、彼はどうなる? 奴がずっとそのままで回路に留まるとでも思っとるのか?」


「そういう意味やない、ただ……」


「理由を言え」


 タラニスは間を置いた。


「もう一度、一人になりたくないんじゃ。彼に勝ってほしい」


 シャカはしばらく沈黙した。


「もしジークがお前の考えで勝てば、勝つのはお前だけじゃ」


 その声には残酷さはなく、帳尻を合わせる者の精密さだけがあった。


「女神の割には、かなり無能じゃな。お前に負けた自分が時々恥ずかしくなる」


「本気でそう思っとらんやろ。お前が潔く負けたことは分かっとる」


「我の答えは依然として否じゃ。だが、強調しておこう。お前の供物は美味かった。他に用がなければ、下がってよい」


「説得しにくい奴じゃな」


「我の信頼に値せぬ者には、のう。だが……全てが失われたわけではないぞ、タラニス」


 タラニスは振り返り、シャカを見た。


「もしお前がジークを信じるなら、彼は独りでに前進できるじゃろう。何しろ、お前は女神じゃ。人間の感情と自分の感情を混ぜるべきではない」


「……そうじゃな。またの機会に……」


◇


 タラニスの意識はリンボに戻った。


「あっちで何があったんや? これは一体何の話か教えてくれるか?」


「お前にサプライズじゃ」


 タラニスは笑った。


「決勝では好きな武器を使っていいぞ! シャカを説得できた」


 ジークの顔に笑みが現れた。


 長くは続かなかった。


(自分の言葉にあまり納得しとらん顔や。嘘をついとると思う)


 彼はそれを流した。


 スクリーンでは、盾の男が準決勝を圧倒的な勝利で締めくくった。分析するものはほとんどなかった。結果がすべてを物語っていた。


 ポータルが開いた。


「行く前に……パンを少しもらえへんか?」


 タラニスは応じた。ジークは三切れを取り、ゆっくりと食べた。神聖な食べ物の温もりが、いつものように胸に落ち着いた。


「ジーク。頑張れ」


 ジークの顔は決意に満ちていた。


 彼はポータルを渡った。


 十分間の休憩。


 そして、スタジアムの声が決勝戦士たちを中心へ呼んだ。


 一方に、ジーク。もう一方に、ラスムス・エリクセン。北欧の鉄壁。アレスの共鳴者。


 メインスクリーンでは、ジークの勝利確率が劇的に下がっていた。現在の確率はわずか十パーセント。


 ジークは完全には条件づけられていなかったが、アリーナの中心で相手を見た瞬間、そうなった。


 魁斗より背が高かった。アレクサンドロスよりがっしりしていた。携えている盾は、ジーク自身よりも大きかった。


 脚が動かなかった。


 決勝前に相手を詳しく観察しなかった罪が、今、最悪のタイミングで清算されていた。


「若きスコットランド人よ。個人的なことではない。だが、お前を終わらせるつもりだ」


◇


「――始め!」


 審判が宣告した。観客は歓声で応えた。


 ラスムス・エリクセンが神具、ペロポネソスを具現化した。完全な防御と消耗戦を象徴する、巨大な盾だ。


 ジークはシャカを具現化した。


(待て、何やこれ……?)


 試合が始まったが、ジークは動けなかった。


 眩暈は予告なく訪れた。


 準決勝の傷、光彩の消耗、そして何より、桃のジャムのせいで、すべてが同時に清算された。


 彼は膝をつき、状況を処理しようとした。


 一方、熟練の共鳴者であるエリクセンは待たなかった。


 盾の一撃が、あの巨大な体の重みをすべて乗せて届いた。ジークはアリーナの端まで吹き飛ばされ、仰向けに着地した。


(動け。立て。くそったれ……)


 背中が焼けるように痛むのを感じながら思った。


 ジークはゆっくりと立ち上がった。視界が二重になる。だが、生存本能が火をつけた。


 体格差を利用し、ジークは瞬光を発動した。ラスムスの視界から消え、その右側に現れ、巨人の肋骨目がけて槍を突き出した。


 ズドッ!


 槍はラスムスの側面に強烈に突き刺さったが、一ミリも沈まなかった。鉄の山を殴ったようなものだった。


 ジークは後退し、別の角度を探した。


 再び瞬光を使い、脚、背中、そして首を攻撃した。


 どの攻撃も速く、正確で、致命的だった……が、すべてが弾かれ、傷一つ残らなかった。


 ラスムスは動じず、傲慢さに満ちた笑い声を漏らした。


 ジークは体勢を立て直そうとしたが、脚を掴まれ、無残な力で地面へと叩きつけられた。


 地面から、北欧の戦士の巨大な姿を見上げ、自分の攻撃が無効化されているのを目を大きく見開いて観察した。


(こいつの体は鋼か? いや……そういうことじゃない気がする……俺は全力で攻撃しとるのに、届かへん……何かトリックがあるはずや……)


 ジークは少しずつ立ち上がりながら思った。


 しかし……。


 ラスムスは驚異的な速度で距離を詰め、恐ろしい握力でジークの右腕を掴んだ。彼は何の重さもないかのように地面から持ち上げた。


「ジーク、だったな? 何度でも試すがいい。だが、俺を傷つけるのは無駄だ。勝つために命を懸ける気がないなら、お前の努力はすべて無駄に終わる」


 ラスムスはジークをアリーナのバリケードへ投げつけた。ジークは真っ向から激突した。口の中が血の味で満たされ、頭部が地面で跳ねた。


(後頭部。後頭部から落ちた……クソ……もう無理や……立て……なきゃ……)


[――スコットランド人、ラスムス・エリクセンに一方的に叩きのめされています!彼がこの決勝の本命である所以です!]


 カイがスピーカーから轟いた。


 ラスムスは急ぐことなく、彼の方へ歩いた。ジークは反応しなかった。


 アリーナの合唱は二つに分かれていた。半分はジークを。もう半分はラスムスを。


「そろそろ終わりにする時間だ」


 ラスムスは足で彼を仰向けに転がした。そして冷徹で機械的なリズムで、スコットランド人の腹部に打撃を叩き込み始めた。


 一つ。


 二つ。


 三つ。


 四つ。


 ジークは息を失った。反撃の余地も、反応する余地もない。目が焦点を失い始めた。


 審判が近づき、試合を止めようとした。


 観客席で、瞬は歯を食いしばった。


「くそっ、ジーク完全に劣勢や……」


「――頑張れ、ジーク、あんたならできる!」


 アキが立ち上がった。


「――立てや、相棒!」


 魁斗が叫んだ。


 声が届いた。すべて同時に。仲間たちの声。観客の声。四方八方から。


 その焦点の定まらない叫びが、少しずつ聞こえ始めた。


 そしてジークの中の何かがそれを聞いた。


 ラスムスの盾が、とどめを刺すために彼の首へと落ちてきた。


「――さらばだ」


 盾が凄まじい力で首を目掛けて迫る。


 だが、無意識のうちにジークの両腕が割り込み、喉の数センチ手前で盾を受け止めた。


 背中が砂にめり込み始める。


 ラスムスは信じられなかった。あれだけの拷打を受けて、なぜまだ戦う意志があるのか?


 二人の力比べが始まった。


 時折、盾が喉仏に擦れる。


 またある時は、盾が押し返される。


 人々の無条件の応援が、ジークにセカンドウィンドを与えた。


 努力の末、彼は両腕を上げ、盾を押しのけた。


 ラスムスはその信じられなさから、後退した。


「――俺を舐めとるなよ、盾野郎!」


 ジークは肺を燃やしながら叫んだ。


 ラスムスは止まった。


 彼の不信感は、魅了へと変わった。


「ほう! まだ力が残っとるのか?」


 彼は一歩下がり、距離を取った。


「来い、ジーク! 立て、そして武器を取れ!」


 ジークはゆっくりと立ち上がった。


 体は動くたびに抗議したが、アドレナリンが彼を立たせていた。


 彼は両手を上げ、天の平面に向かって必死に叫んだ。


「――タラニス! 光彩を発動してくれ! 頼む! 動くために必要なんや!」


◇


 リンボでは、タラニスが立ち上がり、感動に震えていた。ラヴィアナもジークを応援していた。


(この子の意志……シャカ、お前の言う通りだったようじゃ……)


 タラニスは思い、ジークの願いに応えた。


[願いを聞き届けよう、ジーク。絶対に外すんじゃないぞ!]


◇


「――ああ!」


 応答は即座だった。


 光彩が完全に同調した。


 ジークのオーラが変わった。いつもの淡い緑から、強烈なオレンジへ。輝くような、紛れもなくタラニスを象徴する色。


 ラスムスは目を大きく見開いた。


「――驚いた! 誰かが光彩を使うのを見るのは初めてだ! つまり、お前はここに来るまでに相当なものを乗り越えてきたんだな!?」


 賛辞の後、北欧の巨人は息を吸った。


「褒めるのはここまでだ。準備しろ」


「来い、ラスムス」


 二つの衝動が同時に激突した。盾兵の側からと、槍兵の側から。


 衝突は短く激しい突風を生み、砂を舞い上げた。


「――食らえ!」


 神聖なエネルギーを帯びたジークの槍が頭部へと向かったが、ラスムスは盾で止めた。


 しかし、ジークはあることに気づいた。


 ラスムスの盾に、小さな、しかし紛れもない凹みがある。


(まさか……凹んだんか!?)


 ラスムスもそれに気づいた。一瞬それを見た。


(これはまずい。この男、どれほどの力を持っているんだ?)


 無意識のうちに、ラスムスは本当にこの相手に負けるかもしれないと考えた。


 頭では否定するが、心が疑い始めていた。


 勇気を取り戻そうと、彼はジークを煽った。


「――お前の覚悟を見せろ、小僧!」


「――後悔するんじゃないぞ!」


 その後に続いた光景は、居合わせた全員の視界を満たした。


 息をつく暇もないほどの連続する攻撃と防御。ラスムスの盾が衝撃を次々と吸収し、シャカの槍が可能なあらゆる角度を探る。


「――なんというスペクタクル! ジークもエリクセンも全力を尽くしている! 我々は巨星の衝突を目撃している! さあ、輝く星はどちらだ!?」


 カイの問いに、ジークが熱く応えた。


「――俺や!」


 最後の一撃の衝撃は盾に防がれたが、盾は徐々に剥がれ落ち、損傷していった。


 盾は打撃を蓄積し、ついに両者に疲労が見え始めた。


 ジークの腕が重くなる。テンポが落ち、エリクセンはそれを見逃さなかった。


 彼は盾の一撃でジークを遠ざけ、息を整えた。


「お前は俺をここまで追い込んだ最初の共鳴者だ」


 彼の声のトーンが変わった。


「戦いの中で、俺の防御がお前に屈するかもしれないと思った。だから……俺はすべての防御を捨てる……」


(どういう意味や……?)


「一撃で終わらせてやる……!」


 彼は凹んだ盾を右手で掴んだ。


 左手で表面に触れ、その怪力だけで変形させ始める。


「――見よ! ペロポネソス! アトレウス・フューリー!」


 ラスムス・エリクセンの神具、ペロポネソスが、巨大な盾から巨大な槍へとその形を変えた。あの体格の者でなければ持てないようなものだ。


(角度を見つけなあかん。防御を捨てたなら、一撃当てるだけで……一撃で終わる……)


 ラスムスも同じことを考えていた。


(今こいつに打たれたら……確かに貫かれる。次の一撃で終わらせなあかん……)


「――ついにクライマックスだ! 勝利を手にするのはどちらだ!?」


 カイが吠えた。


 二人は見つめ合った。


 一秒。


 そして二人は同時に突撃した。


「――アアアアアアアッ!」

「――オオオオオオオッ!」


(俺が負けるはずがない!俺の覚悟は奴より上だ!)


 ガキィン!


 ラスムスの一撃がジークの腹部に着弾した。


 スコットランド人の目玉が飛び出しそうになり、血と生命力を失いながら、彼は気づいた。


 槍はエリクセンの心臓から数センチのところで止まっていた。


 巨人の槍は、完全に相手の腹部を貫いていた。


 しかしジークは、残されたすべての力で、北欧の巨人の力を内側から食い止め、足から肩まで押し返した。


「どう……して……そんなことが……」


 エリクセンは完全に困惑して言った。


 ジークは、もう何も残っていない者の壊れた声で話した。


「お前の人生がどんなだったか知らん。どれだけ訓練したかも、どれだけの道を歩んできたかも知らん」


「……何……?」


「でも……お前の意志は、俺の覚悟を超えられへん!」


 彼はその勢いを利用した。


 右手で均衡を取り、シャカの槍がエリクセンの心臓から数センチのところまで迫る。


 巨人はその動作を見て、自信満々に言った。


「分かっていた。お前にはその覚悟がない。見ろ、俺を貫けなかった……」


 ジークは笑みを浮かべ、物理的な説明のつかない力で、エリクセンの胸を突き刺した。


 深い切り傷が、エリクセンの胸から腹部までを引き裂いた。神の治癒が後で抑え込むはずの致命傷だったが、彼の体はその瞬間、無視できなかった。


 巨人は膝をついた。


 ジークは震え、明らかに傷つきながらも、立っていた。


 彼はエリクセンの肩に寄りかかり、槍の先をその首に当てた。


「参……った」


 巨人の意志は完全に消え去った。


「――終了!」


「――そして勝利はジークの手に!」


 カイが轟いた。


◇


 ジークの勝利の雄叫びがアリーナ中に響き渡った。そしてその後、彼は疲れ果てて倒れた。


 アリーナが轟いた。ジークに賭けた観客たちは跳びはねていた。


 賭けなかった者たちは、金を失っても価値のあるものを見たという静かな諦めで拍手した。


 光彩が解除された。


 すべてが同時に訪れた。


 異常なトーナメントの残響。トーナメント全体の痛み、準決勝の傷、腹部への槍の一撃、バリケードへの後頭部。


 残響が、いつもの容赦ない正確さで作用し始めた。


 ジークは気を失わなかった。だが、一人で動くこともできなかった。


 魁斗がアリーナに降りた。


「――やったな、ジーク。おめでとう」


「お前の助けと指導がなければ……できんかったわ……魁斗。ほんまにありがとう」


「もう話すな」


 魁斗の目は潤んでいた。


「喋るほど、痛みが増すぞ」


 ラスムスはアリーナの反対側から、残響がすでに彼にも作用する中、苦労して立ち上がった。


「ジーク。勝利おめでとう。いい試合だった」


 ジークは答えようとした。痛みがそれを許さなかった。彼は親指を立てた。


 魁斗は彼を医務室へ運んだ。


 アキと瞬はできるだけ早く降りた。


 クレオは少し遅れて彼らを追い、プロフェッショナルな笑みと封筒を手にしていた。


「――勝利おめでとう、若きジーク! 約束は守るわ。今日の賞金は三十万円よ」


「ありがとうございます」


「それに、直接チャレンジャーに昇格よ。ロー・チャレンジャーを飛び越えての昇格、おめでとう! これからはより厳しく、より激しい戦いが待っているわ。それに耐えるために、厳しい訓練が必要よ」


「それは俺たちが引き受ける。ご安心を」


 魁斗が言った。


「有志寄付を受け取りに銀行へ来るよう、こちらから連絡するわ。私からは以上よ。ではまた!」


「重ねてありがとう」


 クレオは退出した。瞬がその沈黙を利用した。


「ジーク、銀行口座を開いたらどうだ? そうすれば直接振り込まれる」


「ああ。お前の言う通りや。いい考えや」


「――このクソジーク!」


 アキが一歩前に出た。


「この金が事務所にとってどれだけ助かるか分かっとるんか!」


 三人の男は同じ表情で彼女を見た。


 アキはその視線に一秒耐えたが、感情が演技を上回った。


「でも今回は全部あんたが取っていいわ。事務所なしで出たから、特別よ」


 彼女は彼を指さした。


「明日、所属させるからね、このクソ野郎!」


 彼女はチームの残りとシャレーに戻らなければならないと言い、誰かが答えられる前に去った。


 瞬は魁斗とジークをミルトンホテルまで送った。


 午後六時だった。


「気をつけてな、弟よ。ソファで休ませろ」


「言われなくても分かっとるわ、バカ」


「二人とも。ここで大丈夫や。ありがとう」


 瞬はテーブルの端に座り、しばらく彼を見た。


「いいトーナメントやった、ジーク。お前と同じくらい耐えられたらいいんやけど」


「何度も言ったやろ、心境を練習せなあかんって、バカ!」


 魁斗が身振りを始めた。


「れ・ん・しゅ・う!」


 一音節ごとに、不随意の打撃がジークのどこかに着弾した。


 ジークは一発ごとに魂が抜けていくのを感じた。


「魁斗……やめてくれ、頼む」


「――すまん! 気づかんかった!」


「一つ頼まれてくれるか?」


「静かにする?」


 瞬が先回りした。


「心配するな、少し席を外す」


「いや、違う。共鳴カードを渡してくれへんか」


 瞬はジークのウエストポーチを開け、カードを取り出した。


 残ったわずかな力で、ジークはメレニスを導き、魂の平面へ入った。


 外から魁斗と瞬が見たのは、ソファで半分眠ったようなジークの姿だった。錆びた剣を手に、目は半分開いていた。


 兄弟は顔を見合わせた。


 音を立てずに出て行った。


 魂の平面では、それは別のものだった。


「ジーク。すべて見ていた。お前の偉業に祝意を表す」


「ありがとう、かな。で、どう決めたんや?」


「我は証人となった。そして決断を下した」


 シャカは間を置いた。


「お前は我が槍を携えるに値する」


 その姿が初めて完全に具現化した。


 力強い体格のアフリカの戦士。ジークが最初から聞いていた声と100パーセント一致する存在感。


「槍に触れよ」


 ジークは触れた。


 シャカの姿はゆっくりと武器に溶け込み、消え去った。


「これで二人目や。ほんまにありがとう。結局、お前は描いとったほど悪い奴やなかったな?」


 シャカは穏やかな口調を保った。


「慈悲は弱さではない、若き共鳴者よ。それに値する者にとっての権利じゃ」


「その言葉、ありがとう、シャカ。裏切らへん」


「良いものを期待しておる。低レベルのトーナメントは始まりに過ぎん。我が言葉に同意するじゃろう……」


「もちろんや」


「下がってよい」


 ジークは地上の平面に戻った。


 井上兄弟を探し始めたが、ペントハウスは静かだった。


「結局、帰ったんか。静けさが必要やった」


 彼はソファで楽な姿勢を取った。そしてそれを見た。


 携帯が反対側の端、ソファの肘掛けの横の床にあった。


 彼は右足で届かせようとした。


 届かなかった。


 携帯が床に落ちた。


 ジークは上から動かずに、かなりの間それを見ていた。


 そして、他の状況では一考にも値しなかった努力で、腕を伸ばし、それを拾い、かけた。


「もしもし? ルームサービスか?」


 心境の精神的訓練は、満足のいく形で完了した。


 ジークはチャレンジャーに昇格し、そのランキングはまだ不明である。


 サザンクラシックは明日だ。

最後までお読みいただきありがとうございます!


ジークは正式に「チャレンジャー」ランクに昇格しました!

ここから彼の道はさらに険しくなり、秋のクラシックを目指すためには、より強力な敵たちと戦わなければなりません。


次回からは、いよいよ新章「夏のクラシック編 - 一年目編」がスタートします!どうぞお見逃しなく!


もしこの物語を面白いと思っていただけたら、ぜひブックマークと評価(★)をいただけますと嬉しいです。

皆様の応援が、私が全力で執筆を続けるための何よりのモチベーションになります!

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