二人の柱 ~別離と完全決裂!?~
■ 2022年8月11日 ウォレスビーチ
ウォレスビーチの太陽は焼けつくようだった。
ジークがそれに気づいたのは朝の九時。まだ寝ていたかったが、光がそれを許さなかった。
そして――
リーン。
「もしもし……? 誰や、こんな早くに?」
「ジーク! 来てほしいの。緊急よ」
「ああ、アキさんか。すぐ行くわ……」
「すぐじゃないの! 今すぐ来てほしいの――」
ジークは電話を耳から離し、一瞬見つめ、通話を切った。
着替えた後、彼はロビーに降りた。
ミルトンホテルのコンチネンタルブレックファストは、普通の人間の基準からすれば寛大なものだった。
ジークは普通の人間ではなかった。
彼がテーブルから立ち上がると、シェフたちは空のトレイを見つめ、恐怖とプロとしての称賛の間で揺れる表情を浮かべた。
「ありがとう」
彼はそう言い、自分が残した衝撃には全く気づいていなかった。
◇
タクシーが彼を、他の事務所のメンバーが滞在しているシャレーまで運んだ。
「ジークちゃん、電話を切らないでよ!」
アキが扉に現れ、明らかに怒っていた。
「いや……えっと……電波がなかったんや。で、なんで呼んだん?」
「決まってるでしょ、ジークちゃん」
アキは、この朝の時間には似つかわしくないエネルギーで手を叩いた。
「訓練の時間よ!」
ジークは彼女を見た。
それから他の連中を見た。
そしてまた彼女を見た。
(これだけのためにそんなに急がせたんか……)
彼は思った。
新しく借りた車で、一行はビーチへと向かった。
着くと、男たちは着替えて水着になり、アキと華凛は軽装で観客のような態度で現れた。
場所を見つけると、アキは戦いを前にした将軍のような厳粛さで計画を広げた。
「よし、チーム。これは簡単よ」
彼女は笑った。
「まず、海岸沿いを走って持久力を高めるの。次に、トーナメントに向けて反応を高めるために私が用意した障害物コースをやるわ。そして最後に、神具は公の場では使えないから、私が持ってきた木の武器でお互いにスパーリングよ」
そう言って、アキは驚くほど効率的にコースを設置し、華凛の方を向いた。
「華凛ちゃん、日傘を取ってきて。かなり暑いから」
「なあ、華凛」
瞬が少し眉をひそめて口を挟んだ。
「なんでお前は訓練しないのか、聞いてもいいか?」
華凛は指で眼鏡を直し、完全に明白なことを説明するかのような自然さで答えた。
「明らかでしょ、瞬。第一に、五人になったら練習で一箇所空くでしょ。第二に、私はウォレスビーチで競うつもりはないの。第三に、やる気がない。以上」
彼女は小さく手を振った。
瞬は口を開いた。
「行くわよ、瞬く……瞬さん、訓練よ!」
アキは彼が言い終える前に、彼を砂の方へ押しやった。
その後に続いたのは、交渉の余地のない太陽の下での長い午前だった。
魁斗は最初の瞬間から飛び出した。論理的な起源を持たないように見えるエネルギーで、まるで海岸沿いを走ることが、その日もともと計画していたことであるかのように。
アレクサンドロスは一定で確実なペースを保ち、急ぐことも緩めることもなく、これまでにもっと酷い訓練を見てきた者のような穏やかな表情で。
瞬は顎を食いしばり、自分の期待を下回るまいとする者の表情で進んだ。体が違う意見を言い始めても。
ジークが最初に音を上げた。
痛みは努力によるものではなかった。
それは残響だった。小倉のトーナメントが残した絶え間ない証で、未払いの借金のように筋肉に染み付いていた。
彼はペースを落とし、歯を食いしばり、続けた。
日傘の下から、アキは全力で彼らを励ました。その熱意は、彼女自身がしている努力に反比例していた。
隣の華凛は、冷たい飲み物を手に携帯をチェックし、やる気のない表情だった。
第一段階が終わった。
四人の男たちは、ビーチのシャワーで体を冷やすために歩いた。疲労の度合いは違えど、再び人間に戻る前に一瞬を必要とする者の、同じ沈黙をまとっていた。
障害物コースが彼らを待っていた。
ビーチの公衆浴場は、機能を果たすためだけに設計されたあらゆる場所の、実用的な魅力を持っていた。
四つの冷水シャワー、色あせたタイル、そして高い窓から入り込む海の絶え間ない音。
四人は無言で、あるいはほぼ無言でシャワーを浴びていた。
「あの華凛の態度な……」
瞬は水流の下で呟いた。
「あの気取った態度にはうんざりだ」
「弟よ」
隣のシャワーから魁斗の声が、いつものように気楽に届いた。
「彼女のことは気にすんな。試合に集中せえ。残響もそろそろ終わりやろ」
「瞬さん、最後に試合したのはいつですか?」
ジークが尋ねた。
「小倉だ。お前と会う数日前、記憶が正しければな」
「そんなに厳しいトーナメントやったんか?」
「そういうわけじゃない」
瞬は短く間を置いた。
「俺の神具のせいだ。定期的に試合に出るのがそんなに負担にならないように、練習する方法があるんだ」
ジークは黙ってそれを処理した。
(自分の使い手を傷つける神具があるんか? 奇妙やな……)
「瞬、お前にはカットの練習とここで試合をする十分な時間がある」
アレクサンドロスが奥から、声を張らずに言った。しばらく聞いていて、ちょうどいいタイミングで口を挟む者のように。
「お前の神具はどんなんや?」
ジークが尋ねた。
「見る時間はあるさ」
瞬は蛇口を閉めた。
「行こう、続けなきゃ」
コースに着くと、アキは手首を指さして芝居がかった仕草で彼らを迎えた。全員が確認しているはずの想像上の時計を持っているかのように。
「遅刻よ、この馬鹿者ども!」
彼女は誰も聞きたくないような場所からホイッスルを取り出し、第二段階を開始した。
二十分後、コースは全員を終わらせた。
ビーチの塩気のある空気は、もう涼しくなかった。この時点では、呼吸のたびに重くなるだけだった。
魁斗は汗をかいていたが、まだ立っていた。彼のエネルギーは、他の者とは異なる規則で動いているようだった。
(何や? 肺が四つでもあるんか?)
アレクサンドロスは疲れていたが、それは自分がどこまで行けるか正確に知っている者の、制御された疲労だった。
瞬は顎を食いしばり、視線を地平線の一点に固定していた。疲れ果てていたが、それを完全には認めていなかった。
ジークは打ちひしがれていた。残響がますます重くのしかかっていた。
「ジークちゃん! これをもっと真剣に受け止めなきゃ……」
アキが言った。
「そうやない。真剣に受け止めとる。でも……」
彼は膝に手をついた。
「もう限界や……」
アキは一瞬彼を見て、ホイッスルをしまった。
「よし、チーム。少し休憩しましょう。フルーツを持ってきたわ、食べて!」
その軽食は、アキの熱意が果たせなかったことを成し遂げた。共鳴者たちを、生きていることに近い状態に戻したのだ。
水分補給が助けになった。果物の糖分がもっと助けになった。
アキが再び立ち上がった時には、四人のうち三人が準備できていた。
ジークはまだ砂の上に座り、コースのそばに積まれた木の武器を見つめていた。
(もう少し続けられる……)
彼は思った。それが本当かどうかは分からなかったが、それでもそう思った。
「よし」
アキは、頭の中のリストをすでに整理して、グループの前に立った。
「スパーリングは各自のコンディションを考慮したわ。瞬さん、あんたはアレクちゃんと。自分の神具に似た木の剣で練習して」
「アレクサンドロス、あんたは大剣で」
二人は頷いた。
「そして、ジークちゃん、あんたは魁斗くんと。あんたが話してくれた通り、木の剣を持ってきたわ。魁斗くん、ほら」
彼女は木の刀を投げた。
魁斗は宙でそれを受け止め、見つめ、片眉を上げた。
「おい。持ってこれるもんの中で、なんで一番普通の武器を俺に渡すんや?」
「文句言わないで。これについてはたくさん考えたのよ。そんなに多くの武器は持ってこれないわ」
(そんなに多くの武器? 神具を複数持てるんか?)
その考えは、ジークが避ける前に彼の頭をよぎった。彼はそれを未回答のままにした。
「まず、ジークちゃん対魁斗くん」
アキが宣言した。
「このエリアから出た方が負けよ」
アキは枝で砂の上に大きな円を描いた。戦場を設計する者の集中力で。
「――始め!」
魁斗は、明らかな理由もなく数字を数え始めた。
ジークは即座に襲いかかった。本物のトーナメントにいるかのような真剣さで。
肩への一直線の、飾り気のない一撃を試みた。
魁斗はそれをしっかりと防いだ。
反撃を試みたが、届かなかった。
ジークは全力で腹部への一撃を放った。
魁斗は、この暑さと蓄積された疲労には似つかわしくない優雅さでそれをかわした。まるで、午前中の努力が彼に何の代償も請求していないかのように。
ジークの連続攻撃は続いた。
魁斗はそれを受け、そらし、流し、彼にしか見えない何かを研究していた。頭の中で、数えていた。
118、119……120!
「――今度は俺の番だ!」
魁斗が浮かべた笑みは、嘲笑ではなかった。
それは、ようやく自分が来た目的を果たせる者の笑みだった。
彼は攻撃した。
魁斗の一撃ごとに、ジークの木の剣が柄から肩まで振動した。
三撃の後、腕が痺れ始めた。
強度は、休みなく、礼儀もなく、着実に増していった。
ジークはデッドポイント、反撃の隙を探したが、見つからなかった。
気づかぬうちに、円が狭まっていた。
「――そして、ここで終わりだ!」
魁斗は圧倒的な力で最後の一撃を準備した。それは以前のものとは比べ物にならなかった。
ジークはそれをわずかに読み、本能が残りを為し、横に飛んだ。
「――ピー! 終了!」
アキがホイッスルを下ろした。
「ジークが円から出たわ!」
ジークは自分の足を見た。確かに、外に出ていた。
「いつ……!?」
「気にするな、ジーク」
魁斗は木の刀を肩に置いた。
「お前ができた最善だった。信じろ、あの一撃を食らっていたら、意識を失っていたぞ」
「――ノックアウトする気やったんか!?」
「もちろんや。じゃなきゃ、なんのために訓練するんや?」
ジークは、かわさなかった場合に何が起きていたかを脳裏に投影した。
結果は心地よいものではなかった。彼は海風とは無関係の悪寒を感じた。
(これが……あいつのレベルなんか……?)
彼は呟き、日陰に退いて砂の上に身を投げ出した。
「ジーク、顔色が悪いわよ。大丈夫?」
華凛が日傘の下から、携帯から完全に目を離さずに言った。
「ただ……こんなに力があるとは思わんかったわ」
「魁斗はそういうやつよ。道化師だけど、うちの意見では事務所で一番強いわ」
「ほんまか?」
「まあ、アレクさんもかもしれないけど。あの二人が最強よ」
彼女は間を置いた。
「見て、もう次の試合が始まるわ」
「――第二試合、開始!」
アキがホイッスルを吹いた。
瞬とアレクサンドロスが円の中に立った。
瞬は、すでに結果を計算している者の構えで、木の剣を掲げた。
彼が計算していなかったのは、アレクサンドロスの最初の動きだった。
木の大剣が、その体格には全く意味のない軽やかさで上がった。
瞬は瞬きをした。
(なんてこった。最初から神具を最大出力で使っているようなものだ)
アレクサンドロスは、穏やかな冷静さで武器の上から彼を見た。
「覚悟してください、チビ」
「チビ!? 俺は180センチあるんやぞ!」
その後に続いたのは、正確には戦いではなかった。
アレクサンドロスは、誇りの入り込む余地もない効率で、瞬のガードを解体した。
井上の弟は角度を探し、それを失い、別の角度を探し、そして二撃目と三撃目の間のどこかで、攻撃するのをやめて生き残り始めた。
瞬は逃げた。
アレクサンドロスは、長く静かな歩みで彼を追い、自分だけが聞く音楽のリズムを刻むかのように、木の大剣で空気を打った。
戦術の天才は、逃げ道を失った。
アレクサンドロスは一歩前に出て、全力で突撃した。
衝撃は、単に物理的なものではない重みで、瞬のガードに炸裂した。
井上の弟は、岸辺まで吹き飛ばされた。円から五メートル。
「――終了! アレクサンドロスの勝ち!」
アキが叫んだ。
「降参すべきでしたね、チビ」
「――もうチビって呼ぶなや!」
瞬は砂だらけの服と、回復途上の尊厳で立ち上がった。
「それに、アキの訓練の組み方が間違っとる! お前が魁斗とやるべきやったんや!」
二人が岸辺で言い争う間、ジークは日陰から見続けていた。
「華凛さん、魁斗が一番強いって本当か?」
「簡単に答えるなら、そうね。でもアレクサンドロスも負けてないわ。何しろ、あの二人が事務所の二本の柱なんだから」
「二本の柱?」
「そうやなあ」
華凛は短く間を置いた。
「もし事務所が瞬とうちに頼っとったら、とっくに破産しとるわ」
「でも、もう破産しとるんやないか?」
「黙りなさい」
◇
アキは木の武器を回収し、トラックのトランクにしまった。すでに別のことを考えている者の効率で。
「よし。シャワーを浴びて、昼食にしましょう。お腹空いたわ」
彼女の胃が、議論の余地のない勢いで轟いた。全員が聞いた。
「急いで!」
一行は訓練を終え、昼食が届くのを待った。午前の暑さと努力を後にして。
一行は穏やかに、和やかに、楽しく食事をしていた。
しかし、魁斗もアレクサンドロスも、言葉を交わさずに食べていた。
彼らは気づいていた。この瞬間から、彼らは仲間ではなく、ライバルなのだと。
トーナメントが始まる前に、もう一度だけ戦いたかった。
海鮮料理でいっぱいの皿を平らげながら、魁斗とアレクサンドロスは同時に手を上げた。
「おかわり」
二人は同時に言った。
視線の衝突は即座だった。電撃的だった。
アキは理由も分からず、体に鳥肌が立つのを感じた。
テーブルの反対側では、ジークの跳ねた髪の毛が勝手にカールし始めた。
(元に戻るんかな……?)
彼は思った。最悪のタイミングで、科学的な好奇心を持って観察しながら。
瞬と華凛は、何気ないコメントで場を和ませようとした。
うまくいかなかった。
「さあ、戦おうぜ、大男」
魁斗は、少しも無邪気ではない笑みを浮かべて、テーブルに肘をついて言った。
「殴られたいのですか? なら、来てください」
アレクサンドロスはすでに立っていた。
「二人とも、お願い!」
アキが間に割って入ったが、彼女の言葉は、存在しなかったかのように空気に溶けた。
事務所の二本の柱は、まだ砂に描かれた円へと歩いていった。
ジークは本能で、武器を探しに直行した。
「ジーク、大剣」
「ジーク、刀」
二人は同時に、彼を見ずに言った。
ジークは無言で武器を配った。起きるべきではないことに参加していると知っている者の表情で。
円の中の緊張は触知できた。
二人は、スポーツとは無縁の集中力で見つめ合っていた。
彼らは武器を掲げた。
「――やめなさい、二人とも! これは訓練の一部じゃない!」
アキが叫んだ。
「――なんでダメなんだ!?」
二人は同時に答えた。
「――だって、これはエゴを鎮めるためにやろうとしてるんでしょ? それがチームの他の連中に見せる手本なの?」
続いた沈黙は気まずかった。
二人はゆっくりと武器を下ろした。質問の重みが突然のしかかったかのように。
彼らは反省した。
誇りは反対を求めていたが、それでも反省した。
◇
下がるのではなく、形を変えただけの緊張を抱えて、一行はシャレーへと戻った。
衝突は台所で勃発した。
「――くそっ、誰が俺のエナジーバー食ったんだ!?」
「俺だ、大男。何か問題でも?」
魁斗は振り向きもしなかった。
アレクサンドロスは言葉で答えなかった。
右ストレートが本能で放たれ、魁斗の顔面へ直行した。
魁斗のアッパーカットも同じく放たれ、ギリシャ人の顎へ直行した。
ドゴッ!
どちらも目的地に届かなかった。
ジークが間に割って入ったのだ。
両方の拳が同時に彼の顔面に命中した。反対側から。
両方の衝撃は、ジークの顔を一ミリも動かさなかった。
続いた沈黙は、さっきとは質の異なるものだった。
「――やめろ、お前ら二人とも!」
ジークの声には、誰も聞いたことのない調子があった。
「グループの結束を壊してることに気づかへんのか? チームで一番新しい俺が、お前らの違いを仲裁せなあかんのか? 俺より年上やろ、もっと自覚を持て!」
アレクサンドロスはアキを見た。彼女は目に見えて涙をこらえていた。
魁斗は瞬を見た。心配そうに。そして華凛を見た。彼女は頭を垂れていた。
「すまん。ちょっと部屋に戻るわ」
魁斗はそう言い、誰かが答えられる前に去った。
アレクサンドロスは残った。
彼はチームに心から謝罪し、居間のソファに沈み込んだ。
残りは周りに座り始めた。何と言えばいいか分からないが、去りたくもない、重い沈黙の中で。
◇
ジークは魁斗を探しに行った。
部屋の扉は半開きだった。
魁斗は背を向け、平然と荷物をスーツケースに詰めていた。それが、先ほど起きたこととは対照的だった。
「何してるんや? 喧嘩で出て行くんか?」
「そうじゃない、ジーク」
魁斗はTシャツを急がずに畳んだ。
「ここにいたら、違いが続くだけだ。しばらく離れる。少なくとも、トーナメントが終わるまで」
「話し合って解決したらええやないか?」
「それは無理だ」
彼は苦々しさなく言った。天気を説明するかのように。
「本能的に戦い続ける。二人とも同時に気づいたんだ。もう仲間とは見てないって」
ジークは答えなかった。
「で、どこに行くんや?」
魁斗はスーツケースを閉じ、振り返った。眉の緊張を和らげるには至らない、軽い笑みを浮かべて。
「お前、ミルトンにいるって言ったよな? そこにするわ」
ジークの内面世界は静かに崩れ落ちた。
ホテルは彼の聖域だった。
父が語った絶対的な静けさを見つける場所。
心境はそれにかかっていた。
そして今、魁斗がそこに引っ越してくる。
◇
二人は一緒に居間に降りた。チームの残りが彼らが現れるのを見た。
「魁斗、そのスーツケースは何?」
アキが尋ねた。
「決めたんだ。トーナメントが終わるまで、別で訓練する。それが一番だ」
「で、どこに行くんだ?」
瞬が尋ねた。
魁斗は笑みを浮かべた。眉はついてこなかった。
「ミルトンだ、ジークと一緒に」
彼は顎で示した。
「部屋を取るわ」
彼はアレクサンドロスに向き直った。
「そしてお前、大男。俺たちの違いはトーナメントで解決する。精々頑張れよ」
ジークが何が起きているかを処理する前に、魁斗は彼を板のように抱え上げ、扉の外へと連れ出した。
「助けてくれ……」
ジークは小声で頼み、後ろを振り返った。
誰も動かなかった。
魁斗はジークを腕に抱え、その日一日中持っていたのと同じエネルギーでミルトンホテルまで運んだ。まるで訓練が存在しなかったかのように。
彼はジークをペントハウスの廊下に、重要な荷物を届けるかのような儀礼的な優しさで下ろした。
「よし、愛しのジーク。着いたぞ」
「おい、受付に部屋を頼みに行かんのか?」
ジークはまだ希望を抱いている者の声で尋ねた。
「必要ないで」
魁斗は劇的な間を置いた。
「へっ。お前には光栄なことに……」
沈黙。
「――俺と同居する権利がある!」
「――はああああああああ!?」
ジークの叫びは、ミルトンホテルの16階を上から下まで駆け巡り、ロビーに反響し、回転扉からクイーンシティの夕暮れへと飛び出した。




