タラニスの完璧な計画
ジークは通行人に道を尋ね、ウォレスビーチ第1共鳴本部にたどり着いた。地域で最大かつ最古の本部だ。
彼にはどうしても気になる疑問があった。
街の美しさとトーナメントの切迫感が、彼を手をこまねいてはいられなくさせていた。
「おはようございます、若き共鳴者よ」
受付で、若くてがっしりした男が挨拶した。
「おはようございます。なんで俺が共鳴者やと分かったんですか?」
ジークは驚いて尋ねた。
「あなたのエネルギーの一部が空気中を流れているのを感じ取れるからです。緑がかっていますが、とても透明ですね。以前は私も共鳴者でしたが、自分には向いていないと気づいたんです。それで、ご用件は?」
受付係はレオと名乗って説明した。
「ああ、リンボに入りたいんです」
「なるほど。共鳴カードを見せてください。それで訪問を登録できます」
ジークはカードを渡し、重要な変化に気づいた。元々は緑がかった色――共鳴の純粋なエネルギーの色――だったが、今は輝く赤みを帯びていた。共鳴している神の気配、彼の経験、そして最近の残響の反映だ。
レオはデータを処理しながら画面を調べた。
「六田青年、ご報告があります。あなたはローチャレンジャーに昇格しました。そして、次のカテゴリーであるチャレンジャーへの昇格まで、あと一つのトーナメントです。オープンかチャレンジャーで優勝すれば昇格できます。……ですが、これは珍しいことです」
「おお、それは良い知らせやけど……なんで珍しいんですか?」
レオは横に身を傾け、引き出しから一枚のパンフレットを取り出し、カウンターの上に滑らせた。
「どうぞ。ランク、トーナメント、ポイントのシステムについてです。知る必要のあることはすべて書いてあります」
ジークはパンフレットを受け取り、素早く目を通した。
そこには、共鳴ランクシステムが記されていた。
◇
【共鳴ランクシステム】
■ ルーキー(初心者)
■ ローチャレンジャー(平均的な共鳴者。本格的なトーナメントに対応できるレベル)
■ チャレンジャー(平均以上の実力者。ここからポイントランキングに参加)
■ クラシック(島の精鋭。トップ16が季節のクラシックに出場)
■ エリート(世界のトップ16。エリートに挑戦して勝利すれば昇格)
【ランクアップ条件】
■ルーキー / ローチャレンジャー:優勝2回
■ローチャレンジャー/チャレンジャー:オープンまたはチャレンジャーで優勝3回
■チャレンジャー / クラシック:500ポイント獲得(ポイントはトーナメントが定める規程量+実績により付与)
■クラシック/エリート:季節のクラシックで優勝し、挑戦権を得たエリートに勝利すること
【トーナメント区分】
■プレオープン:ルーキー向け
■オープン:ルーキー / ローチャレンジャー向け
■チャレンジャー:ローチャレンジャー / チャレンジャー / 低ランクのクラシック向け
■クラシック:チャレンジャー / クラシック向け
■季節のクラシック:ランキング上位16名のクラシック限定
■インヴィテーショナル:エリート限定(一般投票で選出された非エリートの共鳴者も特別枠として出場可)
◇
ジークは顔を上げた。
「待って……じゃあ、プレオープンとオープンで優勝したら、もうローチャレンジャーなん?」
「その通りです。実際、記録によれば、あなたはすでにローチャレンジャーに昇格しています。そして、チャレンジャーへの昇格まであと一つのトーナメントです」
「なんで珍しいんですか?」
「あなたの道のりが、決勝の相手である坂田仁青年と同様に短縮されたからです。ほとんどのルーキーは昇格に二、三のトーナメントを要します。小倉でのあなたのトーナメントは、例外的に高いレベルでした」
「坂田? そういえば、あいつはもう経験があったな……」
「ええ、記録によると、坂田青年はあの戦いの前にすでに三つのプレオープントーナメントで優勝しており、その決勝に勝たなくても自動的にローチャレンジャーに昇格していました。彼はちょうどここ、ウォレスビーチでオープントーナメントを戦ったばかりです。また会うかもしれませんね……」
「できれば会いたくないな、少なくとも今は……。で、手続きは以上ですか?」
「はい、六田青年。部屋を有効にしましたし、あなたの神も承知しています。リンボへどうぞ。ありがとうございました!」
ジークはパンフレットをポケットにしまい、部屋へと歩いた。苦い思いが胸を侵食した。
(くそっ、これはおかしい。仁は俺と同じかそれ以上にボロボロやったのに、もう試合に出とるんか? 尚更タラニスに会わなあかんな……)
◇
暗い部屋の扉を閉めると、神の領域への移行は即座だった。
「やあ、小僧……いや、ジーク。調子はどうじゃ?」
あの、彼をこれほど苛立たせる声が挨拶した。
「まだ俺の名前で呼ぶのに慣れてへんのやろ?」
彼は答えた。
「前にも言ったであろう、時間がかかるのじゃ……」
タラニスは弁解した。
「まあいいわ。それより、まだ思うように動けへん問題があってな」
ジークは説明した。
「ああ、そうじゃった。ちょっと待っておれ。ラヴィアナ、こっちへ来い!」
女神が呼んだ。
「はい、タラニス様! ただいま参りますトン!」
遠くから小さな声が聞こえた。
ジークは困惑して瞬きをした。リンボに誰か他にいるのか?
影の中から、完璧な緑の制服を着た小さなエルフが現れた。
「こんにちは、ジーク師匠! あたしの名前はラヴィアナ! よろしくお願いしますトン!」
小さなエルフは元気よく挨拶した。
「……師匠?」
ジークは一瞬固まった。師匠? 俺が?
「えっと……こんにちは。どうやってここに来たんや?」
少年はどもりながら尋ねた。
「小さなジーク、この可愛らしいラヴィアナは、わしの助手じゃ。どうやらこの位面を統べる者たちが、わしに一人つけてくれたようじゃ。お前が来てから、いくつか追加で頼めるようになってな。ラヴィアナ、水を二杯持ってきてくれ」
タラニスが命じた。
「はい、師匠! すぐ戻りますトン!」
エルフは叫んで、走り去った。
「なあ……仲間ができてよかったな」
ジークは後頭部を掻きながら言った。
「当然じゃ。神々には、忙しい日々を送るための助手が必要なのじゃ……」
雷の女神は自慢した。
「はいはい、でも……もっと大きい助手はおらんかったんか? それ、児童労働って言うんやで?」
ジークは懐疑的に非難した。
「馬鹿なことを。あの子だけが、わしの厳しいスケジュールに適応できるのじゃ。それに……ああいう子がおると、なかなか心が和む……」
タラニスは認めた。
ジークの信じられない視線の前で、女神はついにため息をつき、最も正直な一面を見せた。
「分かった……あの子しか空いておらんかったのじゃ。じゃが、見てみろ! 従順で、とても愛情深い」
彼女は弁解した。
「お前を母親みたいに見とるからやないんか?」
彼は皮肉を込めて言った。
「まあ、そうかもしれん……じゃが勘違いするな。あの子は訓練するのにちょうどいい年齢じゃ、容赦ない助手になるであろう。じゃが、もうこの話はやめじゃ、あの子の性格が可愛くてな。で、ジーク、何しに来た?」
彼女は平静を取り戻して尋ねた。
「事務所に入ったんやけど……無力感を感じとる」
青年は目を伏せて告白した。
「嫌がらせでもされておるのか? 上司と話してみよ」
彼女は提案した。
「違う、そうやない。いい人たちや。でも、辛いんや。体はまだ痛いし、仲間の二人はサザンクラシックに出る」
「ああ、そうじゃったな。あと数日じゃが、お前はランクの関係で出られんじゃろ?」
女神は思い出した。
「そうや。でも俺の目標はクラシックランクに上がって、万済の秋のクラシックに出ることなんや。小倉で友達ができて、そこで競うって約束したんや」
ジークは決意を込めて説明した。
「素晴らしい。万全の状態で臨むには、肉体的・精神的訓練が不可欠じゃが、まずは昇格せねばならんな。受付で何と言われた?」
彼女は尋ねた。
「オープンで勝てばチャレンジャーに昇格できるって。でもそれが問題でな。今すぐまた戦うには、肉体的に無理があるんや」
彼は苛立ちを込めて認めた。
「ちょっと見せてみよ。腕を上げろ」
タラニスが命じた。
雷の女神は読神―神々に生まれつき備わった能力らしい―を発動させた。
彼女の目が輝き、ジークの構造をスキャンし、胸の一点―残響の残滓―で止まった。
「あとどれくらいこのままでいなあかんのや?」
彼は不安そうに尋ねた。
「待て、お前の肉体状態を見ておる……なるほど……思った以上にボロボロじゃな……じゃが、それほど戦いたいというのなら、これに頼るしかあるまい……」
タラニスは謎めいた笑みを浮かべて言い始めた。
タラニスの領域に緊張が走った。
「早く言うてくれ!」
「ははは、分かった分かった。それは心境じゃ」
――心境。
「心境?」
ジークが言った。
「タラニス様、水を持ってきましたトン!」
小さなエルフがその瞬間を遮り、輝く笑顔でグラスを差し出した。
「ありがとう、小さな子」
タラニスは少しだけ口調を柔らかくして答えた。
「城に戻っていいぞ。何か必要なら呼ぶからな」
「了解ですトン! じゃあね、ジーク師匠!」
ラヴィアナは手を振って、跳ねながら去っていった。
その中断にもかかわらず、緊張は消えていなかった。むしろ、ジークの顔に集中していた。彼はもう好奇心に耐えられなかった。
「なんでそんなに勿体ぶるんや? 早く言うてくれ……」
彼は腕を組んで主張した。
「説明させてくれ」
タラニスはグラスの一つを取り、ゆっくりと一口飲み、冷たさを楽しんだ。一方、ジークはいつものように、一気に飲み干した。
「心境、すなわち心と精神の共鳴は、共鳴を活性化させ続ける高度な精神状態じゃ」
「状態?」
「そうじゃ。その状態では、神具を具現化し、複雑なシナリオを精神化できる。じゃが、深い集中に到達する必要がある」
「で、何をすればいいんや?」
「この場合、お前の任務は張と接触し、戦闘外でメレニスを変換させることじゃ。前回のトーナメントでは、変換は幸運な一撃じゃったが、今回は自分の意思で使えるようにならねばならん。誰が知ろうか? もしかしたら別の魂とも接触できるかもしれん……エイリクのじじいでなければな」
ジークはその名を聞いて背筋に冷たいものを感じた。
「エイリク? あの殺意の声のことか?」
「そう、それじゃ」
タラニスは真剣な表情で彼を見た。冗談を許さないような表情だった。
「名前を知ったからといって、呼ぶでないぞ」
「分かった……」
ジークは唾を飲み込んだ。
「で、どうやってその心境とやらの訓練を始めればええんや?」
「簡単じゃ。手に共鳴カードを持ち、深い集中状態に入る必要がある」
ジークは一瞬目を閉じ、仲間たちを想像した。
叫び声、口論、混沌としたエネルギーの賑わいを想像した。
彼は床に膝をつき、完全に打ちのめされた。
「あいつらが近くにおったら、どうやって集中できるんや?」
その時、彼らの後ろでポータルが開き始めた。その次元の時間は尽きていた。
「それはお前の責任じゃ、ジーク」
タラニスは彼をそっと出口へ押しながら言い放った。
「さて、時間切れじゃ。幸運を祈る。何か考えろ、わしは知らん……お前の担当じゃ」
ジークは別れを告げる暇もなく、現世へと吸い戻された。
そしてついに、彼は共鳴本部へ戻り、その場所を後にした。
◇
旅の最初の眩暈の後、彼は施設での訪問登録を終え、アキから送られてきた住所のメッセージを確認し、出発した。
場所に着くと、彼は入り口の前で凍りついた。
「こ、これは……普通!?」
ジークは期待を地の底まで下げて歩いていたが、そのファサードを見て、アキの判断が驚くほど的確だったことを認めざるを得なかった。
彼の前には、モダンな外観の二階建てシャレーがそびえていた。
まだ驚きながら、彼は扉をノックした。
扉を開けたのは華凛だった。
「入って。うち、待ってたわよ」
「お邪魔します……でも、なんでそんなに急いで待っとったん?」
「アキが家を見せてくれなくてね」
華凛は諦めのため息をついて説明した。
「あんたが来るまで、私たちを居間に閉じ込めてるのよ」
ジークは一行に合流し、他のメンバーの挨拶を受けた。アキは彼を見ると、興奮して飛び跳ねた。
「よし! 全員揃ったから……ハウスツアーの時間よ!」
「そのためだけに一時間もここに座らせたのか?」
瞬が限界に達した忍耐で非難した。
「もちろんよ! 他に誰がジークにガイドツアーをするって言うの?」
「一人で見つけられたやろ……」
ジークは呟いたが、誰も耳を貸さなかった。
一行は、プロのガイドのように身振り手振りをするアキの後ろをぞろぞろと歩き始めた。
「とりあえず、まずは居間よ。奥がキッチンで、隣が訓練用のジム。庭にはバーベキュー場とリラックス用のプールがあるわ。外はかなり暑いけど、中は空調完備よ」
彼らは階段を上って二階へ向かった。
アキは努力と興奮で少し息を切らしながら踊り場に着いた。
「そして……ここが……寝室よ。六部屋ある適切な家を選んだわ」
「アキ……五部屋しかないぞ」
アレクサンドロスが平坦な声で口を挟んだ。
「違うわよ、この大馬鹿者! 数えてみなさい!」
アキは指で扉を指し始めた。
「一つ、二つ、三つ……四つ……あ」
「アキ」
ジークは信じられない様子で彼女を見た。
「六人なのに五部屋の家を選んだんか、本気で?」
「ああ、それは……何か数え間違えたの……」
「アキ、予約は小倉でやったよな?」
アレクサンドロスが 腕を組んで尋ねた。
「そうだけど……小倉のトーナメントで華凛が見た子をリクルートするって、ちゃんと考慮に入れてたのよ……」
ジークは突然、ホテルの二日間のパスをまだ持っていることを思い出した。
彼の頭の中の歯車が回り始めた。
一方、アキは神経衰弱の瀬戸際にいるようだった。
「ごめん、ジーク……私の計算ミスだった……」
アキは必死に鞄を探り、ジークが仲間外れに感じないようにしようとした。
「ほら、これを受け取って!」
彼女はクイーンシティのミルトンホテルの二日間のパスを差し出した。
ジークの目には、そのカードが神の啓示のように輝いた。自分のクーポンを足せば、四日間の絶対的な平和が手に入る。
「特別な週末のために取っておきたかったけど……まあ、楽しんで! ただし、残りの二日は自分で払うのよ!」
「ははは、心配するな、アキ!」
ジークは突然の喜びに満ちて叫んだ。
「よしみんな、滞在を楽しんでくれ。じゃあな、また明日!」
ジークは誰かが反論する前に、家を飛び出した。
ホテルの部屋で一人で心境を練習できるという見通しは、あまりに完璧だった。
扉は彼の後ろで乾いた音を立てて閉まった。
「なあ……あいつ、それを望んでたように感じなかったか?」
魁斗が顎を掻きながら尋ねた。
「きっとそうね」
華凛は半分微笑んで答えた。
「アキ、明日どこで訓練するか、彼にメッセージして」
「分かった……」
アキは自分の物流ミスへの苛立ちで涙をぬぐいながらすすり泣いた。
「とにかく、行くぞゴリ助、訓練だ!」
魁斗が元気よく宣言した。
「ステレオをつけるぞ!」
「そんなに上げるなよ、近所迷惑だ」
瞬が離れながら警告した。
アキは懇願する目で他の少女に近づいた。
「華凛……夕食を作るから、一緒に来てよ、お願い……」
「とんでもない」
華凛はきっぱりと言い放った。
「また全員を中毒させる気? 出前を頼みましょう」
遠く離れたところで、ジークは満面の笑みでスーツケースを引きずりながら大通りを走っていた。
彼は手を上げると、まるで魔法のように、最初に通りかかったタクシーが彼の前に止まった。
間違いなく、今日は彼の幸運な日だった。




