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第八話 ホムラ式紫牙刀



翌朝。


ナインは誰よりも早く家を飛び出した。


目指す先はもちろん鍛冶屋ホムラ。


◇◇◇


「ホムラさーん!」


◇◇◇


勢いよく鍛冶場へ飛び込む。


朝早いにも関わらず、鍛冶場は既に稼働していた。


炉の炎。


響く槌音。


飛び散る火花。


いつ見ても胸が躍る光景だった。


◇◇◇


「朝から元気だな」


◇◇◇


鍛冶師ホムラが苦笑する。


◇◇◇


「完成したって聞いた!」


◇◇◇


「聞いたなら話は早い」


◇◇◇


ホムラは布の掛かった台を指差した。


◇◇◇


ナインはごくりと唾を飲む。


◇◇◇


そして。


ホムラが布を取った。


◇◇◇


そこにあったのは――。


◇◇◇


紫と紅を基調とした和装防具。


ドスジャギィの鱗を加工した装甲。


軽量ながら堅牢な造り。


◇◇◇


ホムラ式紫牙装束。


◇◇◇


そして。


その隣には一本の大太刀。


◇◇◇


美しい反り。


鋭い刀身。


鍔には王冠トサカを加工した意匠。


柄にはドスジャギィの皮が丁寧に巻かれている。


◇◇◇


ホムラ式紫牙刀。


◇◇◇


「おおぉ……」


◇◇◇


ナインは思わず声を漏らした。


◇◇◇


格好いい。


その一言に尽きる。


◇◇◇


「着てみろ」


◇◇◇


ホムラが言う。


◇◇◇


ナインは急いで更衣室へ向かった。


◇◇◇


数分後。


◇◇◇


姿を現したナインに、鍛冶場の職人たちが思わず見惚れた。


◇◇◇


白金色のポニーテール。


蒼海のような青い瞳。


ホムラ式紫牙装束。


そして背中にはホムラ式紫牙刀。


◇◇◇


見習装束とは全く違う。


新人ではある。


だが。


もう見た目だけなら立派なハンターだった。


◇◇◇


「どうだ?」


◇◇◇


「すごい!」


◇◇◇


ナインは身体を動かす。


軽い。


動きやすい。


しかも安心感がある。


◇◇◇


ホムラ式紫牙刀を抜く。


◇◇◇


シャリン――。


◇◇◇


以前より重厚な音。


しかし不思議と扱いやすい。


◇◇◇


軽く素振りをする。


風を切る音が違う。


◇◇◇


「これならもっと戦えそう!」


◇◇◇


ホムラは満足そうに頷いた。


◇◇◇


「お前が初めて狩った大型モンスターの装備だ」


◇◇◇


「大事に使え」


◇◇◇


「もちろん!」


◇◇◇


ナインは満面の笑みで答えた。


◇◇◇


その後。


集会所へ向かう。


◇◇◇


新装備を見た受付嬢が目を丸くした。


◇◇◇


「完成したんですね」


◇◇◇


「うん!」


◇◇◇


周囲のハンターたちも視線を向ける。


◇◇◇


「ドスジャギィ装備か」


◇◇◇


「似合ってるじゃねぇか」


◇◇◇


「ありがとうございます!」


◇◇◇


少し照れながら頭を下げる。


◇◇◇


そして。


掲示板の前へ立った。


◇◇◇


ナインの視線は迷わず一枚の依頼書へ向かう。


◇◇◇


━━━━━━━━━━


牙獣種討伐依頼


アオアシラ討伐


報酬:6000z


━━━━━━━━━━


◇◇◇


新人ハンター最大の壁。


牙獣種アオアシラ。


◇◇◇


以前なら不安の方が大きかった。


だが今は違う。


◇◇◇


ホムラ式紫牙装束。


ホムラ式紫牙刀。


桜花気刃斬。


◇◇◇


準備は整った。


◇◇◇


「受けます」


◇◇◇


受付嬢が頷く。


◇◇◇


「依頼受理しました」


◇◇◇


ナインは依頼書を受け取った。


◇◇◇


ついに挑戦の時が来た。


◇◇◇


ドスジャギィよりも強い相手。


初めての牙獣種。


◇◇◇


それでも。


ナインは笑った。


◇◇◇


いつか全てのモンスターを狩る。


その夢のために。


まずは目の前の一頭から。


◇◇◇


こうして新人ハンター、ナイン・アステリアはアオアシラ討伐へ向けて歩き出した。

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