第八話 ホムラ式紫牙刀
翌朝。
ナインは誰よりも早く家を飛び出した。
目指す先はもちろん鍛冶屋ホムラ。
◇◇◇
「ホムラさーん!」
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勢いよく鍛冶場へ飛び込む。
朝早いにも関わらず、鍛冶場は既に稼働していた。
炉の炎。
響く槌音。
飛び散る火花。
いつ見ても胸が躍る光景だった。
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「朝から元気だな」
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鍛冶師ホムラが苦笑する。
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「完成したって聞いた!」
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「聞いたなら話は早い」
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ホムラは布の掛かった台を指差した。
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ナインはごくりと唾を飲む。
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そして。
ホムラが布を取った。
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そこにあったのは――。
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紫と紅を基調とした和装防具。
ドスジャギィの鱗を加工した装甲。
軽量ながら堅牢な造り。
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ホムラ式紫牙装束。
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そして。
その隣には一本の大太刀。
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美しい反り。
鋭い刀身。
鍔には王冠トサカを加工した意匠。
柄にはドスジャギィの皮が丁寧に巻かれている。
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ホムラ式紫牙刀。
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「おおぉ……」
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ナインは思わず声を漏らした。
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格好いい。
その一言に尽きる。
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「着てみろ」
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ホムラが言う。
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ナインは急いで更衣室へ向かった。
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数分後。
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姿を現したナインに、鍛冶場の職人たちが思わず見惚れた。
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白金色のポニーテール。
蒼海のような青い瞳。
ホムラ式紫牙装束。
そして背中にはホムラ式紫牙刀。
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見習装束とは全く違う。
新人ではある。
だが。
もう見た目だけなら立派なハンターだった。
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「どうだ?」
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「すごい!」
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ナインは身体を動かす。
軽い。
動きやすい。
しかも安心感がある。
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ホムラ式紫牙刀を抜く。
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シャリン――。
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以前より重厚な音。
しかし不思議と扱いやすい。
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軽く素振りをする。
風を切る音が違う。
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「これならもっと戦えそう!」
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ホムラは満足そうに頷いた。
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「お前が初めて狩った大型モンスターの装備だ」
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「大事に使え」
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「もちろん!」
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ナインは満面の笑みで答えた。
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その後。
集会所へ向かう。
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新装備を見た受付嬢が目を丸くした。
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「完成したんですね」
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「うん!」
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周囲のハンターたちも視線を向ける。
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「ドスジャギィ装備か」
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「似合ってるじゃねぇか」
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「ありがとうございます!」
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少し照れながら頭を下げる。
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そして。
掲示板の前へ立った。
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ナインの視線は迷わず一枚の依頼書へ向かう。
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牙獣種討伐依頼
アオアシラ討伐
報酬:6000z
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新人ハンター最大の壁。
牙獣種アオアシラ。
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以前なら不安の方が大きかった。
だが今は違う。
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ホムラ式紫牙装束。
ホムラ式紫牙刀。
桜花気刃斬。
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準備は整った。
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「受けます」
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受付嬢が頷く。
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「依頼受理しました」
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ナインは依頼書を受け取った。
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ついに挑戦の時が来た。
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ドスジャギィよりも強い相手。
初めての牙獣種。
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それでも。
ナインは笑った。
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いつか全てのモンスターを狩る。
その夢のために。
まずは目の前の一頭から。
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こうして新人ハンター、ナイン・アステリアはアオアシラ討伐へ向けて歩き出した。




