表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十国十魔剣伝  作者: 禄之羽礼
水の国編
9/30

水の国編4話

5人は馬車の中で円になって座り、一同の前にはゼリーが置かれている。

「さーて皆さんお待ちかねのスイーツです!」

トリトンがゼリーの蓋を開けると、そこには水色にきらめくゼリーがあった。

中には気泡が浮かんでおり、耳を澄ますとシュワシュワという音も聞こえてくる。

「こうして会ったのも何かの縁ですし、皆仲良くしていきましょう!」

トリトンは笑顔で話す。

アエリは不機嫌そうにゼリーを見つめ、カグツチとラムチは少し気まずそうにしていた。

「じゃあいただきます!」

トリトンがゼリーをスプーンで掬い、口に入れる。

口の中でゼリーが解け、シュワシュワとした食感や、爽やかな甘みが口の中を広がる。

そしてシュワシュワとした感覚が喉を通る。

「んー!美味しい!」

アエリもゼリーを開けて口の中に入れる。

目を瞑ってゼリーを味わい、表情も自然と微笑んでいた。

トリトンがその姿を見て微笑む。

「アエリ?美味しい?」

「はい」

「すっごい表情緩んでる」

「!うるさいです!」

「ははは!御三方もどうぞ食べて」

「では毒味を」

「毒見なら私が」

カグツチの言葉を無視して、ラムチがロスカの前のゼリーの蓋を開ける。

そしてスプーンで掬って口の中に入れる。

「ん~!すっごい美味しい!爽やかな甘みとシュワシュワがたまりませんね!」

トリトンが美味しそうに食べる姿を見て笑顔になる。

カグツチもゼリーを食べ、表情が微笑む。

アエリは気にせずに黙々とゼリーを食べ続けており、もう半分以上食べていた。

「これは………美味しいですね。姫もお好きかと思います。」

「お待たせしました。じゃあ姫も。」

そう言って、ロスカ用のスプーンでロスカのゼリーを掬い、ロスカの口の前まで持っていく。

ゼリーがロスカの唇に触れると、ロスカは小さく口を開け、ゼリーを口の中に入れた。

そしてロスカの喉が動き、ゼリーを喉元を通る。

すると虚空を無表情で眺めていたロスカの口角が若干上がったように見えた。

その表情の変化を一同は見逃さなかった。

カグツチとラムチとトリトンは驚きの表情を浮かべロスカを見つめ、アエリはわなわなと震えている。

一瞬の沈黙の後ラムチが口を開く。

「あれ!?姫様ちょっと微笑んでる?」

「姫!?元に戻られたのですか?」

アエリが立ち上がり、剣を抜く。

「やっぱりこの女!我々を騙していたんです!何が意思疎通が出来ないですか!美味しいものを食べて表情を緩めているのが動かぬ証拠!即刻処刑します!」

カグツチもすぐさま立ち上がり剣を抜く。

ラムチが庇うようにロスカの前に陣取る。

「姫に危害を加えるというのなら許しません」

「分かりました。貴方もろとも全員処刑して差し上げます。」

アエリの手に気泡の入った水が出現する。

それを見てカグツチもポケットに手を突っ込み、樹の実の握る。

パチンと手を叩く音が聞こえる

「はいストップ!喧嘩しない!いったん深呼吸!」

トリトンが座ったまま話す。

「2人とも冷静になって。詳しいことは分からないけどさ、これだけ物騒なやり取りしてるのにロスカ姫は微動だにしてない。ってことはアエリが思ってるであろう演技ってことはないんじゃないかな。」

トリトンは腕を組んで考えながら話す。

「だけど元々は手を触ったら握り返してくれるくらいしか反応がないって聞いてたから、もしかしたらラムチさんたちが知らない何があるのかもしれない。とは言いつつこの場では分からないことも多いから、国の学者さんとかにも聞いてみよう。」

アエリが聞こえないくらいの小声で呟く。

「………やはりトリトン様はロスカ姫に甘過ぎます。許嫁だからですか?」

「アエリごめんね。聞こえなかった。もう1回いい?」

「なんでもありません!分かりました!」

そっぽを向いてアエリは剣をしまった。

それを見てカグツチも剣をしまう。

「またもやすみません。トリトン王子」

「いいよいいよ。気にしないで」

「………実は先ほど、自分が姫の手を触ったときに………姫が涙を流したのです。」

「ふむふむ。ん?何で触ったの?」

「えっと………」

無言でラムチに視線を渡し、助けを求めるカグツチ。

「姫様の状態を定期的に確認するために普段は私がお触りしていたのですが、カグツチがどうしても確認したいとおっしゃるので」

「………なるほど。………それは深掘りしたいな」

「誤解です」

「ふふ。冗談です。まぁ私が提案したのです。直属の護衛として姫様の状態を把握することも責務と判断してです。」

ハハハと笑った後にゴホンと咳払いをするトリトン

「ごめん。脱線した。ラムチさんが普段触っているときには涙は流していないのですか?」

「はい。今まで特に表情の変化等は見られませんでした。」

「なるほどね。………カグツチと触れ合ったときと、スイーツを食べたときに変化………。もしかすると」

「!?何かおわかりになったのですか?」

「………いーや。何でもない。やっぱり城に行って学者さんの意見を聞くか。何がともあれ変化があるのはいい兆候かな?」

パチンとトリトンが手を叩く。

「てなわけで気を取り直して残りのゼリーをいただくとしようか」

トリトンが辺りを見渡すと、アエリのカップが既に空であることに気付く。

「早いな!」

「どうぞゆっくりお食べになってください」

アエリは語気を強めに言い放つ。

「いやー。アエリがごめんなさいね!小さい頃から一部の人にはこんな態度で。根はすごく優しい子なんです。」

「へー!アエリさんとトリトンさんは小さい頃から一緒だったのですか?」

「気安く呼ばないでください」

「こらアエリ。そうなんです!幼馴染で!ずっと一緒に育ってきたっていうか。凄く優秀なのでいつも助かってます。」

「わー!幼馴染って素敵ですね!」

ニヤニヤとトリトンとアエリを見つめるラムチ。

「実はロスカ姫とカグツチもずっと一緒だったんですよー」

「おー!カグツチとロスカ姫幼馴染なんだ!」

「カグツチはロスカ姫を守るために騎士になったんだもんね!」

「ちょっと………ラムチさん」

ふふふと母親のごとく話すラムチ。

「ロスカ姫もそんなカグツチのことを直属の護衛騎士団に指名したんですよ!」

アエリはその言葉を聞いて少し驚きの表情を浮かべる。

「なるほど………。…………カグツチは何で騎士になりたいと思ったんだ?」

「………父が騎士でしたので。その姿に憧れまして」

「………そっか。また後でもっと話そう」

一瞬の沈黙の後微笑むトリトン。

そんな話をしているうちに一同のゼリーはもうすぐ空になろうとしていた。

「ごちそうさまでした!さてさて!スイーツも堪能したことだしお城に向かうとしますか!」

こうして一行は再び城へと向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ