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十国十魔剣伝  作者: 禄之羽礼
水の国編
8/30

水の国編3話

トリトン率いる100名程度特別作戦部隊とカグツチたち一行はチューン城へと向かう。

ちょうど中央にカグツチたち一行の馬車があり、護衛をされながら進むような形となっている。

当然変わらず馬車の運転はカグツチが行っている。

そんな場所の近くにトリトンとアエリが馬に乗って一緒に進んでいた。

「トリトン様」

「ん?どうしたの?」

「先ほどの賊ですが、近々俺たちの時代が来るんだ。覚悟しておけなどと言っているそうです。」

「なるほど。………それはすごい時代だね。この前捕まえた賊も似たようなこと言ってたよね?」

「はい。現在並行して取り調べは進めています。」

「そっか。ありがとう。」

トリトンは考え事をしながら進んでいく。

そしてトリトンが顔を上げる。

「見えた!あれが我らがチューン王国です!」

目の前を見るとクリオネッタ王国の10倍はあろう広大な城下町が広がっている,

ほとんどか白く四角い建物と露店で広がる広大な城下町、左側には真っ青な海に大きな漁港、そして更に奥には青を基調としたデザインのチューン城がそびえ立っていた。

ここからでは街の全貌を見渡すことが出来ず、かなり巨大な街であることは分かった。

風が吹くとうっすらと潮の匂いが漂ってくる。

耳を澄ますと船の音や、うっすらと店や市民の喧騒が聞こえる気がする。

「カグツチさんとラムチさんとロスカ姫はチューン王国は初めてですか?」

「私は初めてですね」

「私も内弁慶なので初めてです!姫も案外初めてだよねー?」

馬車の中からラムチが回答する。

「そうなのですね!チューン王国おすすめのスイーツがあるので今からどうです?」

「………今からですか?」

「もしスイーツが嫌でしたら魚串でも。食べ歩きにぴったりです。」

「えぇ!?行きたいです!ロスカ姫スイーツに目がないので!」

馬車の中からラムチが肯定の意見を出す。

「しかし………」

「姫も長旅でお疲れですよー、少し一息つきたいよねー?」

ラムチが馬車の中でロスカとじゃれ合っている。

アエリが口を開く。

「恐らく王は今の時間帯は会議中で、会えるまでに少し時間がかかるかと思います。なので少しは休憩してもよいかと思われます。」

「てなわけでスイーツ食べて小休憩しましょう!」

「………分かりました。」

ちょっと複雑な表情を浮かべつつ、ロスカのためならと了承するカグツチ。

「てかロスカ姫はスイーツ好物なんすね 覚えときます!」

アエリはいつもよりさらに強まった仏頂面でトリトンを横目で見ている。

話をしているうちに街の入り口へと到着した。




街の前で部隊一同が横5列が整列する。

その眼前にはトリトンとアエリがいる。

「皆任務お疲れ様!今日もありがとう!今日は解散で!」

トリトンが敬礼をすると部隊一同も敬礼を返す。 

そして各々が街の中へと消えていった。

街に入ると馬車が10台は並行して通れるほどの大きな通りが広がっており、様々な露店と人で賑わっている。

その中をカグツチ一行は馬車で、トリトンとアエリは馬で進んでいく。

街行く人や店の店主にトリトン王子ーと声をかけられ、トリトンは手を振っている

「さーて。レッツスイーツ!」

「ここから近いのですか?」

「意外と近い!………です。すみません。つい」

「いえ。どんなスイーツなのですか?」

うーんと悩むトリトン。

「ゼリーみたいなやつ!

ゼリーの中に何だか気泡がふわふわ浮かんでて、

口に入れたらシュワシュワ~ってして、口の中に爽やかな甘さが広がって、それが口の中にとろける感じ!味がたまらなく美味しい!」

「あ!私が食べたかったやつ!」

「そういえばラムチさんおっしゃってましたね。」

「観光客にも、国内にも大人気なのですよ。ちなみにアエリの大好物」

「余計なことは言わないでください」

アエリがすぐさま口を挟む。

「何でも昔から先祖代々伝わるレシピで作ってるんだと。人の歴史は凄いね。とそんなこんなで着きましたぜ!」

そこには青い建物があり、看板にはアダムゼリー本店と書かれていた。

また店の前には馬車や馬を止めるスペースも用意されていた。

一同は馬と馬車を止める。

トリトンが降りてカグツチに小声で耳打ちする。

「ロスカ姫の状態極力市民の皆に知られない方がいいと思うから買ってきますわ。馬車の中で皆で食べようぜ!」

そう行ってトリトンは店の中へと走っていった。

そしてアエリもすぐにその後を追いかけていった。

カグツチは馬を降りて馬車の中へと入る。

馬車の中は案外広く、10人程度であればギリギリ座れそうなくらいの広さである。

馬車の中のロスカは変わらず目から光を失い、虚空を眺め続けている。

カグツチが馬車に入るとラムチが手を降って笑顔で歓迎した。

「ロスカ姫のご様子は?」

「特に変わらずかなぁ。」

「そうですか」

カグツチはじっとロスカを見つめ続ける。

「中々良い方ですねぇ。トリトン王子」

「………そうですね。先ほどは申し訳ございません。」

「カグツチが突っ走っちゃったシリーズ?」

「はい。先のアエリ様との話し合いで私が先に剣を抜いてしまいました。下手をすれば国際問題になりかねませんでした。」

「んー。ハッセルには内緒にしておくから安心して。雪だるまくらいには口固いから」

「柔らかくないですか?」

「まぁでもそういうところがカグツチのいいところでもあるんじゃない?ロスカ姫のことを最優先に動くの。それに今回はロスカ姫を危害から守れたじゃない。」

「………ありがとうございます」

続けてラムチがニヤニヤしながら話しかける。

「あなたが今回守りきったロスカ姫のお手々にぎにぎして報告したら?握り返してくれるわよ」 

ブフッとカグツチが吹き出す

「そそそそんな。勝手に女性のお体に触るのは触るのは絶対駄目です!」

「いいじゃんいいじゃん。お手々くらいなら許可無しで大丈夫よ」

「駄目です!ロスカ姫をお触りするなんて滅相もないです!」

「もしかしたら指を触ってあげると何かが変わるかもしれないわよ?握り返してくれるし」

「しかし………」

「大丈夫!もし怒られたらロスカ姫が戻った後に一緒に謝ってあげるし、今ロスカ姫と何かしら疎通ができる唯一の手段がこれよ?生存確認するのも直属護衛隊の立派な責務よ?」

「………しかし」

「お手々くらいで大げさよ!ほら手貸して!」

ラムチはカグツチの手を引っ張りロスカの手に近づける。

ラムチに引っ張られカグツチはロスカの眼前まで迫る。

銀色のきらめく髪に、水色の宝石のような瞳、ロスカ姫の姿形をまじまじと見つめカグツチの心拍数が上がる。

そしてロスカの綺麗で細長い指に手が触れる。

するとロスカはもぞもぞと手を動かしてカグツチの手を握る。

カグツチの手のひらにあるタコをこすったり、指を押したりなど手を触り続けている。

カグツチは頬を赤らめ、ラムチはそれを見てニヤニヤとしている。

するとロスカの瞳から一筋涙がこぼれ落ちた。

「「姫!?」」

2人で驚きの声を上げ、ラムチがロスカへと駆けよる。

「何がどうなって?姫わかりますか?いや。お泣かせしてしまい申し訳ありません。えっと何が起きて?」

「落ち着いてカグツチ。えっと……どういうことなのかしら?とりあえず涙は拭いましょうね。」

ラムチはハンカチを取り出し、ロスカの涙を拭う。

「何されてるんです?」

軽蔑した声が後ろから聞こえる。

振り向くとアエリが虫を見るような表情でこちらを見ていた。

「アエリ様?」

「様付けはやめてくだい。気持ち悪いです。普通にさん付けでいいです。そもそも軽々しく名前を呼ばないでいただけますか?ウーホスという名字があるのでそちらで呼んでください。」

「トリトン王子は」

「トリトン様なら女性店員と話されてますよ。すごく楽しそうに。この後戻ってこられるかと」

「そうですか。買い物に行っていただいてしまい申し訳ございません。」

「姫様に集まって何か作戦会議ですか?何かお話されるにしてももう少し人目につかないところでされたほうがいいですよ。」

「いえ、そういうことでは」

「そもそも私はあなた方を信用していません。トリトン様はお優しいのでああ言われましたが、何か嘘をついている場合即刻断罪しますので、そこはお忘れなく。それで一体何をされていたんですか?」

3人を睨みつけるアエリ。

「それは………」

ロスカの手を触っていたとは中々言い出せないカグツチ。

「それは?」

「いやーお待たせー!ちょうど作りたてだってさ!食べましょうぜ!」

そう話すとトリトンが5人分のゼリーが入ったカップを抱えて馬車の中に入ってきた。

「えっと………何か修羅場?」

トリトンは首を傾げた。

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