火の国編27話
スサノオは質問する。
「大きい計画とは?詳しく聞かせてくれないか?」
「分かったでいし」
バジリスクは変わらず暴れているが、しっかりイズモが抑え込んでいる。
「よく分からないんだけどいし。マガハラに昔から潜入してる奴がいるみたいなんでいし。」
「「!!!」」
スサノオとイズモは再び驚く。
「それで火の魔剣を奪うタイミングをずっと狙ってるみたいなんでいし。それで近々やっとそれを奪う計画が本格始動してるみたいなんでいし」
「………その計画の詳細は分かるか。」
「えーっと………確か。何かいなくなった王子が戻って来るとかで、国王がその王子に強い恨みを抱いてて復讐を沢山するとかで、何か………それを上手く使ってて魔剣を奪う計画を立ててるみたいでいし!」
「「!!!」」
スサノオとイズモは驚愕する。
「潜入?いやそれより国王がカグツチを憎んでる?」
スサノオはオオカに抱きかかえられ、失神していたカグツチを思い出す。
「………そういうことか。繋がった。」
スサノオは申し訳なさそうに顔を伏せる。
「カグツチ?あーっ!まさかあいつでいしか?」
「知っているのか?」
「チューン王国で戦ったんでいし!あの卑怯者でよくわかんないやつ!!!」
「………すまない。潜入者の情報は知っているか?」
「うーん。顔も見たことないから分かんないでいし。でも序列が高くて、何でも傷を治す魔法を使えるらしいでいし!あと部下もたくさん!部下も近々ここに来るらしいでいしよ。その状況ならこいつがいけるって言ったんでいしけどね………」
イズモは驚きでバジリスクを抑えていた手を離してしまう。
バジリスクは暴れ出す。
「お前!!!馬鹿か!!!何で言っちまうんだよ!!!」
「え?だって兄貴を助けてくれて!!!」
「てめえもてめえの兄貴もラグナロクだろうが!!!」
「………あ!しまったでいし!!!はかったでいしな!!!」
「漁夫の利はおろか作戦自体ヤバいじゃねえか!!!」
「漁夫の利って何でいしか!!!」
「イズモ。ついてきてくれ。」
「あ、はい。」
そう言って牢の中で騒ぎ立てているのを無視して、地下牢を出る。
地下牢への入り口付近で2人は話す。
「状況を整理するぞ。………まずカグツチの招集の目的はカグツチを国王にすることではなく、カグツチに復讐をすることだ。………カグツチには申し訳ないことをしてしまった。」
スサノオは目を伏せる。
「そしてこの国に内通者がいる。ラグナロクからの潜入者で、火の魔剣を狙ってる。傷を治す魔法を使うがそれ以外の特徴は不明。」
「はい。」
「課題は2つ、この国の安全。そしてカグツチの身柄の安全だ。信用できるのは我々の部隊のみ。隠密部隊の皆。聞こえているか?」
そう言うとどこからともなく、忍者装束の4人が出てきた。
「情報を探らせてくれ。この城、街まんべんなく。」
「「はい!!!」」
そう言うと忍者装束の4人は四方八方に捌けていった。
「イズモ、ヤサカ、クマノ、ツシマはカグツチ、ロスカ姫、ラムチさんの保護を頼む。オオカさんの家にいるらしい。その後アマテラスとツクヨミも含めて護衛を頼む。他の者に遭遇し、何を言われてもこれは遂行してくれ。頼む。」
「!!!分かりました。」
「要望が多くてすまない。頼むぞ」
「はい!!!」
そう言ってイズモは走っていった。
スサノオは考える。
(これでひとまず身柄は安全。………であれば誰に伝える。国王のイザナギ様、大臣のオオオミさん、側近のオオカさん。………まずは国王か。)
スサノオの脳裏にイザナギがカグツチに復讐しようとしていることが反芻する。
(何故国王はイザナギを………。そもそもオオオミさんとオオカさんはこのことを知っているのか?………いやそれは後だ。懸念は伝える。疑念は後に回す)
スサノオは訓練場へと走っていった。
スサノオはそして訓練場へと到着した。
訓練場の目の前には現在国王使用中につき立ち入り禁止とあるが、緊急事態のため無視して、入っていく。
イザナギは変わらず中央で正座をしている。
スサノオは道場にある血や焦げた跡を見る。
(あの焦げ跡………血………復讐という話に間違いはないのか。)
スサノオはオオカに運ばれた時のカグツチを思い出す。
(これだけ攻撃の後があるのに、カグツチは綺麗だった。相手の魔法は人の傷を直す魔法………。………まさか)
スサノオの脳裏にオオカの姿が浮かぶ。
(………いや。それは後だ。まずは状況の共有だ。)
「国王。マガハラ武士団団長のスサノオです。ご報告です。この国に内通者がおり、魔剣を狙っているとのことです。お気をつけください。」
「………」
イザナギは何も反応せずただ正座している。
(………何も動かない。しかしこの人なら襲われても返り討ちに出来る。カグツチのことを問いただすのは今は後だ。今やるべきことをやる。)
そう言ってスサノオは訓練場を後にした。
(オオカさんは今一番怪しい。だがオオカさんの家にいるカグツチ達は急いでイズモたちに護衛には迎わせている。となれば………オオオミ大臣。この国の実務を握っている人間に話をするのが先決だ)
そう考えながら再び訓練場を後にする。
イズモはオオカの家へと走る。
(まずはクマノとツシマにこのことを伝えないと。ヤサカにはその後で伝える!)
城の中を走っていると、偶然歩いていたヤサカと遭遇する。
ヤサカと遭遇して嬉しそうな表情を浮かべる。
半面ヤサカはイズモを見て不快そうな表情を浮かべる。
大きな声でイズモは叫ぶ。
「ヤサカ!!!ちょうどよかった!」
「げっ。イズモさん」
そそくさと逃げようとするがイズモに肩を掴まれる。
「何ですか?ろくでもないことです?」
「ろくでもない奴がいる!内通者がいて、火の魔剣が狙われてる!」
「ヤバいじゃないですか」
「後カグツチたちも命も狙われてるみたいだ」
「超ヤバいじゃないですか」
「オオカさんの家にいるって言ってた。スサノオ様の命でカグツチ達を護衛する。お前もついてこい」
「分かりました!走りながら詳しく状況説明してくださいよ」
そう言って二人はオオカの家まで走り出した。
スサノオは玉座の間に到着する。
オオオミは変わらず玉座の間に座っていた。
オオオミはスサノオの方に目線を向ける。
「オオオミさん。報告です。」
「………何でしょう?」
「この国に賊が侵入して火の魔剣が狙われています。またイザナギ国王がカグツチに復讐しようとしているみたいです。それに乗じて魔剣を盗む算段のようで。」
オオオミは動じていない。
「ひとまず私の管轄の元カグツチたちは保護させていただきます。また潜り込んでいる賊も継続して調査中です。潜入者は人の傷を直す魔法。となると今一番疑わしいのはオオカさんです。これからオオカさんを探して話を聞きに行きます。」
「そうですか」
全く動じていないオオオミに対し、スサノオの脳裏に疑念が生まれる。
「………オオオミさん」
「何でしょうか?」
「………あなたは知っているんですか?カグツチとイザナギ国王のこと、火の魔剣が狙われていること」
「はい。知っていますよ。全て」
「………!!!」
スサノオの表情は険しくなる。
「一体どういうことですか?」
スサノオはオオオミに詰め寄った。




