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火の国編26話

オオカは家の外に出る。

そして心配そうな表情を浮かべるラムチに話しかける。


「カグツチさんの状態ですが………」


ラムチは固唾を飲んで見守る。


「ロスカ姫のお陰で少し良くなったように見受けられます!」


「!!!」


ラムチ及び、護衛の二人は嬉しそうな表情を浮かべる。


「ちょっと私はイザナギ様とかに話さないといけないことがあるので失礼しますね。カグツチ様のことよろしくお願いします。」


「あ、はい。オオカさん。本当にありがとうございます。」


「いえいえ。とてもカグツチ様はお強いお方ですね」


「………はい。」


ラムチは嬉しそうに家の中へと入っていった。


「さて。ではすみませんが護衛の方よろしくお願いします。」


オオカはクマノとツシマの二人に敬礼する。

二人も敬礼で返す。

そしてオオカは家を後にした。




オオカは次なる場所として道場へと向かう。


(さーて。やることが盛り沢山だ。)


そして道場入口へと到着する。

入口に立てられた、国王使用中に付き立ち入り厳禁の板はそのままにして、オオカは道場の中へ入る。


「イザナギ様。オオカです。入りますね。」


イザナギは変わらず道場の中央で正座を続けている。

オオカが来たが、イザナギは何も反応を示さない。

床には血や焦げの跡が変わらず残っている。


(うーん。立ち入り禁止にしてるとはいえ、これ見られたら絶対アウトだよな。)


「イザナギ様。他の人は入ってきませんでした?」


イザナギは何も答えない。


(うーん。神のみぞ知る)


オオカは困った表情のまま続ける。


「カグツチ様は無事に目を覚ましましたよ。まだ戦闘は出来なさそうですが。」


イザナギがピクリと反応する。


「ちょっと動けるようになるのは時間がかかりそうです。少なくとも1週間くらいは待ったほうがいいかと」


「連れてこい」


「………え?」


「連れてこい」


「いや。ちょっと動けるようになるにはまだ時間が」


イザナギは魔剣を抜く。

そして勢いよく道場にそれを振り下ろす。

道場の床が傷つき穴が空く。


「あいつと姫を連れてこい」


「………」


オオカは苦笑いを浮かべる。


「えっと。今カグツチ様は戦闘ができない状態です。戦って打ちのめすことは出来ないかと。」


「俺は何も出来なかった」


「はい?」


「あいつは今も今は何も出来ない。だから何も出来ない状況で、あいつの目の前で最愛の姫を殺す。」


「………」


オオカは冷や汗を滴らせながら苦笑いで佇む。


「えっと。多分カグツチ様、ロスカ姫の目の前だと今日戦った時よりもさらに強くなると思うんですよね。その目の前で戦って勝った方が、よりカグツチ様に絶望を与えられるのではないでしょうか?」


「先に姫を殺す。目の前で。そうすれば愛する者を失った復讐心で強くなる。その状態の奴を殺す。」


「………」


「復讐が成し遂げられないことを知った絶望の中を殺す。」


「えーっと。カグツチ様、多分ロスカ姫が死んだら自害しちゃうかも。カグツチ様ロスカ姫の護衛って言ってたし」


「死なん。お前がいれば」


「………いやー。私にそんな話術は」


「お前の魔法で再生させろ。腹を切っても再生させろ」


「………でも再生させても強くなるとは限りませんよ」


「なら復讐を続けるだけ。気が済むまで殺す」


「………姫を実は生かしておくというのは?実際に傷つけたあと自分がこっそり再生させて。その方がカグツチ様も何度も姫を傷つけられたくない思いが強くなるかも」


「駄目だ。そこに希望が生まれる。完璧に殺す」


オオカは苦笑いのまま固まってしまっている。


(………ヤバい。どうする?カグツチ様を切り捨てる?いやとなると火の魔剣が使える人間がいなくなる。こいつ以外に正統な王族はいない。でも火の魔剣を確保するだけでも一応万々歳か?クソ。どうする………?………あ。待てよ………)


その時オオカはあることを思いつく。

カグツチ達と玉座で初対面した時のことがオオカの脳裏に浮かぶ。

その光景にイザナギはいなかった。


(イザナギ様。ロスカ姫の顔知らないじゃん。なら適当な人を急いで見繕って連れてくればいいか)


「………分かりました!じゃあ連れて参りますね」


イザナギは何も返答せずただ鎮座している。

オオカはそそくさと外へと出ていく。

そして廊下を走る。


(んー。どうしよ。とは言うものの急いで綺麗な女の子見繕ってこないとか。いや王女が綺麗とは限らないし、適当な村娘でもいいか?カグツチ様に事情も説明しないとだし。あー。)




一方その頃。

スサノオ達は変わらず玉座の間にいた。

アマテラスやツクヨミはそこにはおらず、オオオミとイザナギだけが今はその場にいた。

玉座の間でスサノオはオオオミに問いかける。


「さっきの話の続きですが、イザナギ国王はどのようなお方で?」


「スサノオ様!!!」


話しかけたところでイズモが部屋に入ってくる。


「この前の石の賊が目を覚ましました!」


「!」


スサノオが立ち上がる。


「すみません。オオオミさん。お話はまた後で。」


そう言ってスサノオはイズモと共に地下牢へと向かう。




地下牢へ着くとそこにはコカトリスとバジリスクが目隠しと手枷を付けられて入れられていた。

コカトリスは地べたに座り、バジリスクはベットに寝させられていた。


見張りの兵士が複数人同行を見張っている。

そんな中で二人は暴れている。


「クソ!ここは?」


「早く出せでいし!」


「ここはマガハラの地下牢だ。」


地下牢の鍵を開け、スサノオは中に入っていく。


「お前たちの知っていることを話してもらうぞ」


「………交換条件だ。俺をここから解放するなら考えてやる」


「そうか。では話すことはない」


そう言って地下牢から出て扉を閉めようとする。

その中でコカトリスが口を開く。


「お前ふざけんなでいし!お前に協力すれば兄貴を元に戻すって言うから!!!」


「あぁ!?うるせえよ!黙って俺に従ってろよ!」


「早く兄貴を元に戻せでいし!!!」


「………」

 

(………この子は無理やり従わされていたのか?)


それを聞いてスサノオは再び牢に入る。

そして喚くコカトリスの前に立つ。


「おい」


「!?何でいしか!?」


「君の兄はどんな状態なのだ?」


「え?こいつに!こいつに石にされたんでいし!!!」


「はぁ!?お前!ふざけんな!何で敵に!!!」


「静かにしろ!!!」


イズモも牢屋に入ってきて、布団でバジリスクの口を押さ付ける。

モガモガとバジリスクが暴れている。


「魔法な解除条件はこいつを失神させることだ。それは既に果たされている。私がこの前失神させたからな。だから君の兄さんは無事だ。だから色々と話してくれないか?」


優しく語りかける。


「!!!本当でいしか?」


「あぁ。本当だ。」


「!!!あ、ありがとうでいし!!!もう元に戻らないかと思ったでいし!じゃあこいつに従う必要なんてもうないでいし!!!」


モガーモガーとバジリスクは変わらず暴れている。


「無理やり従わされていたのか。」


「そうなんでいし!!!こいつが急に兄貴を石にしてきて!!!」


「話してくれないか?君たちの目的や何を狙っているのかを」


「分かったでいし!兄貴を救ってもらった恩義はこれで返すでいし。僕たちは火の魔剣を狙っていたのでいし」


「なるほど。それは何故」


コカトリスのトーンは少し怒りで染まる。


「こいつが!マガハラは今は誰も狙ってないからいけるって!それにマガハラで大きな計画が進行してるから、美味しいところだけ持っていけるって!!!こんなに強い奴らがいるなんて知らなかったでいし!!!」


「「!!!」」


スサノオとイズモは同時に驚く。

そしてバジリスクは変わらずモガモガと暴れていた。

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