火の国編25話
「これが私の知っている情報です」
「………なるほど。何故か国に追われていたカグツチを助けたと………。カグツチが王族であること知っている人は?」
「当時ついて行った兵士以外はいません。火の国で拾ってきた。会談はできなかったとだけ伝えましたから」
「………そうですか。何故カグツチは襲われて?」
「わかりません。ただ他の国では後継争いで子供が殺されるという事案もよく聞きます。後継争いで消されそうになった子供ではないか。そう自分は予想してます。生まれたばかりの子供を殺すなど………私には考えられませんが」
ハッセルは憤っている。
「なるほど。だからハッセルさんはマガハラに行くことを反対していたのですね。それを知っていたからマガハラの使者が来ても断っていたと」
「………はい。」
「そうですか………」
アエリも黙ってそれを聞いていた。
そこに白いローブを着た集団が近づいてきた。
その内の一人が近づいてくる。
「こんにちは」
ローブの中から笑顔が見える。
それに対してハッセルは返答する。
「この度は急遽乗せていただいてしまい申し訳ありませんでした。」
一同はカグツチがいなくなったあと、クリオネッタ王国の東にある港街に向かい、船がないか探していた。
港町には数多くの船が停まっていた。
しかし国交のないマガハラ行く船、行きたがる船など存在せず、船探しは難航化していた。
「やはり中々いませんね」
「そうですね」
「船が無いなら行くことは難しいですね」
アエリは少し上機嫌に話す。
船がないなら仕方ない。戻りましょうというムードを醸し出すアエリを尻目に一同は船を探していた。
アエリ以外のメンバーが少し焦りながら船を探していると、そこで白いローブの男たちが近づいてくる。
「何かお困りですか?」
そこで出会ったのが白いローブの宣教師集団であった。
アエリは突っかかる。
「急に何ですか?特に困っておりません。」
「まぁまぁ。アエリ落ち着いて」
「怪しいです。」
「まぁまぁ」
アエリをなだめるトリトン。
そしてシューが無邪気に話す。
「あのね。マガハラに行きたいんだけど中々行けないんだー」
「ほうほう。どんな目的で?」
「友達を探しに。友達がマガハラに行っちゃって。」
「!!!シュー王子!!!」
アエリが少し怒りを表明する。
「ちょうどよかった。我々の船がこれからマガハラに向かうんです。よろしければ一緒にどうですか?」
「!!!」
アエリ以外の面々は驚き、嬉しそうにする。
アエリは変わらず突っかかる。
「流石に都合が良すぎます!信用が!」
「アエリごめんね」
トリトンは口の前に手をかざす。
そこで勢いよくまくし立てようとするアエリの唇が、トリトンの手のひらにあたる。
「あっ。ごめん。」
少しの間の後、アエリの頬が一気に赤くなる。
「ーーーーーっっっっっ!!!」
言葉にならない声を上げて、その場でジタバタする。
そしてその後少し黙り込んでしまう。
そんな姿を見て宣教師は声をかける。
「………大丈夫そうですか?」
ハッセルは回答する。
「………はい。すみませんが、お願いしてもよろしいでしょうか?」
「はい。喜んで!」
そうして今に至る
宣教師は手を前に振り、お構いなくのジェスチャーをする。
「いえ。お気になさらず。偶然我々も間が腹に行く途中でしたし、困っているからを助けるのが我が神の教えですから」
「神の教えですか?」
「はい!我々はイーコト教の宣教師なんです!」
「イーコト教とは?」
「はい!イーコト様の教えに従う者たちです!困ってる人を助けること!その積み重ねをすることで、死んだ後も楽園に行けるんです!」
「楽園?」
「はい!死んだ後は楽園が広がっていて、そこにいいことをした人はみんな暮らしているんです!だから我々もそこに行けるよう日々精進しているというわけです!」
「もしよければこれを」
一同はもう一人の宣教師から人数分冊子のようなものを渡される。
「辛いときに読むともしかしたら救われることがあるかも知れません。」
「………ありがとうございます。」
「あ、1個質問!」
シューが質問する。
「何でマガハラに?」
「実はマガハラには未だかつて我々教団でも行ったことがないのです。きっとマガハラにも困っている人迷える人がいると思い、計画していたんです。」
「なるほどー」
「なので我々は到着しましたら、まずは王都に向かいます。そこで国王と接触しようかと」
「………なるほど。この度は本当に乗せていただいてありがとうございます。」
「はい!」
宣教師は笑顔で語る。
「もうすぐ国に着くと思いますので!それでは!船旅を楽しんでください!」
そう言って宣教師達は捌けていった。
「いい人たちですね」
「………ですね。さて一旦丸くなりましょう」
遠くにいた水の国の兵士たちも呼んで丸くなる。
そこにはゼストスとクリオスも態度得していた。
そして一同は円を作る。
「到着したらまずは王都に向かいましょう。そこでスサノオ王子と接触する」
ハッセルは置き手紙を持ってきていた。
「こんな手紙を残す人です。話は通じる人でしょう。そこでカグツチのことについて聞く。………もし接触が難しい場合は」
「俺たちの出番ですね」
「………はい。あまり避けたいですが、もしカグツチのことを聞けなかったり、何かしらの理由で接触が出来ない場合は………まずは聞き込みをしてカグツチの情報を探りましょう。そして分かり次第、魔剣使いによる秘密潜入を行い、カグツチを救出する。きっと王子の手紙があるということは王都にはいるということだと思うので」
「前も言いましたが私は反対です」
アエリが口を挟む。
「そんなことをしたら国交のないマガハラ王国とチューン王国は敵対することになってしまう。魔剣使いがいるなら尚更です。そんな危険な場所にトリトン様を送り込むなんて考えられません。別の作戦を考えるてください。」
「まぁまぁアエリ」
「落ち着いてなどいられますか!!!第一私はここに来ること自体反対だって言ったじゃないですか!!!シュー王子が代わりに行くっていう話も出てたのに!!!なんでトリトン様はいつもいつも!!!あの女のためですか???」
「ごめん。友達を放ってはおけないからさ」
「ーーーーっっっ!!!」
アエリが爆発しそうになる。
「アエリさん。申し訳ありません。配慮足らずでした。潜入作戦は一旦白紙にしましょう」
「んー?僕だけでいいなら潜入してもいいけどー?」
「いえ。アエリさんのおっしゃるとおりリスクが大きすぎる。………まずはスサノオ様に接触。それが難しければ各兵士に接触して状況を聞く。これでどうでしょう?」
「………」
プイッとアエリはそっぽを向く。
「それなら大丈夫だと思います。アエリも良い?」
アエリは何も反応しない。
「多分大丈夫だと思います。」
「ありがとうございます。じゃあ火の国への到着を待つとしましょうか」
船はマガハラへと変わらず向かっていく。




