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火の国編22話

オオカは玉座の間に向けて歩いていた。


(さーてと。すんなり渡してくれればいいけど。なんて説明しようか)


思いに更けながら歩いていた。






一方玉座の間ではスサノオ達が変わらず集まっていた。

スサノオは下をうつむき申し訳なさそうに物思いにふけっている。

アマテラスが怒っている。


「自分の子供をあんなにボコボコにするなんて!何を考えてるのよ!うちの国王は!!」


「だいぶスパルタですよね。うちの爺さんよりももっとスパルタかも」


「生き別れの親子なのに!なんであんなにボコボコにするのよ!ほんとわけわかんない!」


スサノオは顎に手を当てで考えていた。


「スサノオ!あんたはどうも思わないわけ?私達の弟でしょ!?」


「………弟?」


「そうよ!一応私たちは王族なんだし!私たちの弟でしょうが!!!」


「弟………」


「まぁまぁ」


少し口論になりかけそうなところでラムチが止める。


「しかし心配ですね。カグツチのお見舞いいきたいけど」


「オオカのやつ。早く戻ってこないかしら!」


スサノオはオオオミの方を向く。


「………オオオミさん。1つ聞きたいことが」


「………なんでしょう?」


「イザナギ国王はどのような方なのですか?普段から世界を駆け巡られてるみたいで。我々はほとんど話したことはなく、姿をたまに見かけるくらいです。より関わりの深いオオオミ大臣なら、何かわかるのではないですか?」


オオオミは黙っている。


「………オオオミさん?」


「………イザナギ様は」


「どうもー」


オオカが玉座の間に入ってきた。

スサノオが声をかける。


「カグツチの状態は?」


「無事に目を覚ましましたよ。ただ………」


「ただ?」


「………今はあんまり人とは会いたくないかも。かなり落ち込んでました」


「………何故?」


「イザナギ様に何もわからずにやられちゃったみたいですから、それはもうこてんぱんに。それに加えてお大恥もかいちゃったとなると………」


「なるほど」


「本当あんのクソ国王!許せない!」


アマテラスがぷいぷい怒っている。


「励ましに行ってやるわ!お菓子付きで!」


「あー。ちょっとお待ちを。」


「何よ!」


「お見舞いはしばらく控えた方がいいかなって思ってるんですよね」


「なんでよ!」


「男って生き物はですね。あんまり人に情けないところとかを見せたくない生き物だったり、そうでなかったり」


「どっちよ!」


「あんまり情けないところを大人数に見られたくないと思います。しばらくはそっとしておければと思い」


「………じゃあどうすんのよ。落ち込んだカグツチを放っておけって言うの?」


パンとオオカが手を叩く。


「ここで私作戦を考えたんです!」


オオカはバッとロスカに指を指す。


「カグツチ様最愛のロスカ姫に近くにいてもらって、カグツチ様に元気になってもらう作戦です!」


「………え?ちょっと待ちなさいよ。あんたさっき情けないところは見られたくないって言ってたじゃない」


「いやー。男にはですね。もう一つ性質があって、好きな子の前ではカッコいいところを見せたい生き物なんですよ。だから最愛のロスカ姫に近くにいてもらうことで元気を取り戻せるはずだ!と踏んでいます。」


オオカはスサノオを見る。


「………スサノオ様もきっとカグツチ様に謝罪をしたいと思われてると思いますが」


「!」


スサノオは驚きの表情を見せる。


「自分のせいでこの状況にカグツチを追い込んでしまったという負い目を感じてるかもしれません。ただ落ち込んでるときに謝りに行っても、謝罪は身に入らないことがあったりするので!」


「いや。別にスサノオのせいってわけじゃないでしょうが!」


「ここは一旦私にお任せいただけませんか?ちょっと上手く行かなかったらまた相談させてください!」


オオカは手を合わせてお願いをする。

スサノオは俯き考える。

そして口を開く。


「………分かりました。よろしくお願いします」


オオカは笑顔になる。


「はい!このオオカにお任せください!アマテラス様もよろしいでしょうか?」


「………わかったわよ」


アマテラスは少し不服そうに返答する。


「あ、すみません。」


ラムチが声をかける。


「私はついて行ってもいいです?」


「?えっと」


「あぁ。私ロスカ姫のお世話係のラムチと申します。」


「あぁ。お世話係の」


「姫のお側にお世話係も必要かと思いますので、私はついていかせていただきたいのですが」


「………」


オオカは少し黙り込む。


「オオカさん?」


(………まぁ妥結点か。変に断っても変に疑われそうだし)


「分かりました。ではカグツチ様を励ましましょう!」


「はい!」


スサノオが再び声をかける。


「護衛もつけます。部屋の外で待機する分には、カグツチにも気づかれないでしょう」


(自分直属の部下、今この場にはいないんだよなぁ。断りにくい。妥結点その2)


「分かりました。よろしくお願いします。」


「クマノ!ツシマ!」


「はい!」


2人は玉座の間に入ってくる。


「ロスカ姫とラムチさんの護衛を。ただし大事な話があるとのことだ。部屋には入るな。」


「はい!承知しました!」


「ありがとうございます。では行きましょうか。」


そうして5人は玉座の間を後にした。

その後ろ姿をスサノオ達は眺めていた。


5人はオオカの家までの道を進んでいく。

オオカは思いを巡らせていた。


(多分。スサノオ様達はイザナギ様の目的は知らなそう。であれば敵か味方かはグレーゾーン。カグツチ様が傷ついたとすればカグツチ様の味方になりそうでしょうか?いずれ知られてしまう可能性はありますが、さてカグツチ様には敵と味方どっちの前提で伝えようか)


「いやー。クマノさん。ツシマさんすみませんね。ちょっと特殊な任務になってしまって」


「いえ」


「スサノオ様の命ですので」


(さてと。ここからどうしようか。このラムチさんって人どんな方なのか)


「ラムチさんもすみませんね。ついてきて頂いてしまって」


「いえいえ。こちらこそ。私が来たら作戦台無しになっちゃうかしら?」


「ロスカ姫やカグツチ様とはずっと?」


「えぇ。この子が小さい頃からずっと。凄くいい子たちで」


「………そうですか。早く元に戻してあげたいですね」


「………そうですね」


少し暗い表情でラムチは返す。


「私からイザナギ様に火の魔剣の力を貸していただけないか頼んでおきますよ!」


「!本当ですか?」


「はい!流石にこんな状況にしてしまったので。イザナギ様に頼みます!もし難しければ盗んででも」


「ありがとうございます!でも盗みは駄目ですよ」


「ハハハ。気合い入れみたいな感じです」


「ハハハ」


ラムチの顔に少し明るさが戻る。


「しかし魔剣を集める奴がいるというのは物騒ですね。」


「そうですね。水の国でも風の国でも事件が起きてましたし。物騒な世の中になっちゃいました」


「魔剣を集めて何をするつもりなのですかね?何か大層な目的でもあるのでしょうか?誰かを救いたいとか」


「さぁ?でも魔剣のために人を傷つけたりするのは許せません。」


「ですね」


(ラグナロクに協力しろと言ったら多分駄目なタイプかな。)




そう話していると、城の敷地の少し外れにあるオオカの自宅に到着する。


「ちょっとまずはカグツチ様の様子を見てくるので、ここで待っていてください。」


「分かりました」


そう話しオオカは鍵を開けて部屋の中に入っていく。

オオカは部屋の中に行くと、カグツチは今に座り込んでいた。


「ただいま戻りました。」


カグツチはバッとオオカの方を見る。

しかしそこにロスカはおらずキョロキョロと視線を移動させる。


「姫は?」


「安心してください。外にいますから。護衛2人にラムチさん付きで」


「姫」


カグツチは立ち上がり外へ出ようとする。

それを受け止めるオオカ。


「はい。暴れない。大声も出さない。あまり荒いことはしたくないですけど、やろうと思えばロスカ姫もラムチさんも殺せちゃいますからね。」


「!!!」


「スサノオ様の直属の護衛の方です。もし逆らえば多分ロスカ姫殺されちゃうかも。だから今はおとなしくしましょう」


「………」


カグツチは大人しくなる。


「ただご安心を。ロスカ姫だけはこの部屋の中に連れてきますから。それで色々話しましょう。今後のこととかね」


カグツチは沈黙する。

そして少しの間の後無言で頷いた。

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